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影裏

家族と年末の買い物に付き合って、待っている間に買った本。芥川賞受賞との帯に惹かれ読みました。 3話のオムニバスでしたけど、どれも良かった。

全て背景描写や心理描写のみによって進む話に新しさというか、古めかしさと言うか、我輩は猫であるというか、エンタメ小説ばかり読んでいた私には逆に新鮮でした。

オチのないすべらない話みたいな、オチはまだかと期待するけど期待させたまま最後まで読ませる文章力が良かった。

だんだん見えてくる登場人物の背景に何かを期待してしまうけど、淡々とモヤモヤとした日常を切り取るのみ。

本当に上手く綴るので自分の痛い過去がフラッシュバックしたり、今抱えているモヤモヤに心移りしたりと、あまり慣れてないところに手の届く文章に感心する。

感情移入出来ないのや、ラストのモヤモヤは自分がノンケだからなのか?

一番びっくりしたのは、この本買った次の日、男はつらいよ見に行って、予告でこの影裏を見た事。

えーっ!映画化されてたの?

でも、オチないよ?映画にできるの?などと思いながらも、どんな映像になるのか少し楽しみです。

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