顧客の囲い込みとは?メリットと具体例を詳しく解説!

近年「顧客の囲い込み」という言葉をよく耳にします。多くの企業が顧客の囲い込みを狙い様々なアプローチをしていますが、顧客の囲い込みを何のために行っているのでしょうか?どのようなメリットがあるのでしょうか?顧客の囲い込みの基本をおさらいしていきましょう。

そもそも顧客の囲い込みとは何なのでしょうか?


「顧客の囲い込み」とは、一言でいうと「顧客との長期的で良好な関係の構築」のことを指します。顧客の囲い込みの狙いは、現在の顧客を固定客化し、リピート購買を促すことによって安定した売上の向上を図ることにあります。さらには見込顧客の獲得につながることにもなります。いかに顧客ロイヤリティを高めることが出来るかということをテーマとして販促活動を行っていくことで、より多くの顧客の固定化を狙います。
安定した経営を行うためには、現在の顧客をつなぎとめ長期的で良好な関係を構築することが重要とされています。現在の顧客を固定客化させることが出来れば、顧客のリピート購買により顧客の生涯価値が高まり、より効率的に利益を上げることが可能になります。
近年、新規顧客を獲得することが困難となっており、新規顧客の獲得に必要とされるコストも大きなものとなっています。さらには企業の売上の大部分が固定化した顧客のリピート購買によるものであり、「顧客の囲い込み」が効果的なマーケティングの一環として期待されています。顧客を固定客化させ、長期的な取引を行うことが経営の安定につながります。


顧客の囲い込みによるメリット


顧客の囲い込みによるメリットは大きく分けて4つあります。

1. 継続的な利益獲得への期待
顧客を上手く囲い込み固定客化させることができれば、リピート購買が見込まれるため、継続的な利益の獲得が期待できます

2. 新規顧客獲得頻度の低下
そもそも新規顧客を獲得するためには、現在の顧客を固定客化させるために掛かるコストよりも、多くのコストが掛かってしまいます。数字にして5~10倍のコストが掛かると言われています。
顧客を囲い込むことで継続的な利益を上げることが出来るため、無理に新規顧客を獲得する必要が無くなり、多くのコストが掛かる販促活動を行わなくても済むようになります。

3. 顧客単価/カスタマー・エクイティの向上
現在の顧客を囲い込み固定客化、ファン化させることが出来れば、顧客単価/カスタマー・エクイティの向上につながります。カスタマー・エクイティとは、企業が持つ顧客の生涯価値の合計のことです。現在の顧客が企業の製品やサービスに満足することで、優良顧客となる可能性が高まります。特にこの優良顧客は、リピート購買や継続した来店や購買によって、企業に多くの利益をもたらす可能性も高い存在です。
このように現在の顧客の固定客化させることが優良顧客を増やすことにつながり、顧客単価やカスタマー・エクイティの向上を期待することが出来ます。

4. 顧客データの蓄積
顧客の囲い込みにより固定客化した顧客が、継続的な購買・サービスの利用をすることによって顧客データが蓄積します。蓄積した顧客データは企業にとってとても有益なもので、その後行う販促活動や商品開発などの参考として活かすことが出来ます。蓄積した顧客データは、実際に行われた顧客の購買・サービスの利用から得られるものであるため、効果的なマーケティングを行う上で有力な根拠となります。
このように顧客データが蓄積することは、企業にとって大きなメリットとなります。


顧客の囲い込みの具体例


顧客の囲い込みの具体例として5つのものがあります。

1. 携帯電話業界の例

「学割」で学生の携帯利用料金を安くし学生層を新規顧客として取り込み、学生期間の終了後も利用してもらえるようにすることで固定客化を狙います。

携帯電話業界には「継続利用割引」という、3年以上の継続利用で月額料金を10%割引するなどのサービスがあります。このサービスによって顧客の固定客化・維持につなげます。さらに新規顧客の獲得を狙い「家族割引」の割引サービスを実施し、家族の携帯電話需要を促します。

「ポイントサービス」はポイントが累積していくサービスのことで、次の携帯電話機器購入時などに累積したポイント利用させることで割引を行います。これが継続利用につながり、顧客の固定客化・維持への効果を期待することが出来ます。

他社への乗り換えを防止するために「無料通話分の料金繰り越しサービス」を実施し、競争力を上げることで顧客の固定客化・維持を狙います。

2. ポイントカードの例

ポイントカードは第一に顧客の囲い込みを狙って作られたもので、顧客のリピート購買を促すための販促活動の一つとして使われています。ポイントカードには「自社ポイント」形式のものと「共通ポイント」形式のものの2つがあります。

自社ポイント形式のものは、自社で独自のポイントカードを作り顧客がそれを利用する成り立ちのものです。自社ポイント形式のポイントカードのメリットには、自社が運営するため自由度が高く自社の実情を考慮した運用が可能であることや、顧客情報を獲得することが出来ることがあります。自社のポイントカードを上手く活用することが他社との差別化につながることもあります。ここで得られた顧客情報を元にマーケティングを行うことで顧客の満足度を上げリピーターを増やし、顧客の囲い込みを狙います。

共通ポイント形式のものの代表例として、Tポイントや楽天ポイントが挙げられます。共通ポイント形式のポイントカードのメリットには、同じポイントカードの導入先との相互送客が可能となり知名度が高まりやすいことや、多くの店舗やサービスで使えるため顧客がポイントを貯めやすいことなどがあります。このように共通ポイント形式のポイントカードには、企業側にも顧客側にもメリットがあります。全ての加盟店の広い範囲で顧客の囲い込みを狙います。

3. 航空会社の例

航空会社が導入する「マイル」というサービスも一種のポイントのようなものです。マイルのメリットには顧客管理が出来ることや、他社と提携することにより顧客がマイルを貯めやすいことがあります。このように他社と提携しポイントを貯めやすくすることで、顧客に利用してもらうことを狙います。

4. 電子マネーの例

電子マネーとは、現金の代替としてチャージしたカード・クレジットカードでの後払いを設定したカードや携帯電話などで支払をすることが可能な電子のお金のことを言います。

電子マネーのメリットには財布を持ち歩かず済むなどの利便性の高さや、ポイントが貯まること、得たポイントを電子マネーとして使用出来ることがあります。電子マネーの利便性やポイントが貯まる仕組みなどが、顧客の固定客化につながります。

5. クレジットカード(マイルなどの貯まるサービスについて)の例

クレジットカードのメリットには、利便性が高く現金を持っていなくても支払が出来ること、自動で後払いが出来ること、利用するとマイルが貯まることなどがあります。

クレジットカードのマイルにも、ポイントカードと似通った部分があります。例えば顧客が買い物の支払いの多くをクレジットカードで行い、生活費を全てクレジットカード払いにすることで多くのマイルを獲得することが出来ます。これは顧客のメリットです。企業側には、顧客が獲得したマイルを使用するためにリピート利用してもらえることなどのメリットがあります。


顧客の囲い込みのための基本まとめ

顧客の囲い込みは、企業側からの一方的な思いだけでは実現出来ません。あくまでも顧客目線で見て、メリットを感じさせ、接点やチャネルごとの施策を打ち出していく必要があります。


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