《ゴブリンの小役人》を発動させるためのデッキを作りたい



 興味があったのでクソカード医学会のためにデッキを作りました。
 とはいえ、結果だけ見れば使っただけとも言えるので記事タイトルは弱めの主張となりました。

クソカード医学会に求められるデッキについて考える

 まずはどのようなデッキを持ち込めばいいのか?という疑問から始まります。私は次の3つを基準にしました。

  • キーカードが一般的に使われにくいこと

  • キーカードにできるだけ早いターンで確実にアクセスできること

  • キーカードが何らかの要素で勝利に貢献すること

 妨害を遠慮してもらう代わりに、あらゆるリソースを使ってキーカードにアクセスし、キーカードが役に立つ状態を生み出し、デュエルに勝つ。これが大事だと判断しました。
 一発勝負なので、成功率をとにかく高めていきます。
 なお、キーカードはクソカードです。

《ゴブリンの小役人》について


 《ゴブリンの小役人》
 永続罠
 相手のライフポイントが3000ポイント以下の場合に発動する事ができる。
 相手のスタンバイフェイズ毎に相手ライフに500ポイントダメージを与える。


 発動条件に相手のライフポイントを要求するカードを調べましたが、《ゴブリンの小役人》と《ヒロイック・ギフト》の2種類しか見つけることができませんでした。

 効果は相手のスタンバイフェイズにバーンを行うカードで、LP8000スタートかつ現在のカードプールで採用する理由を見つけるのは困難です。
 LP4000スタートならどうなるかを検討したところ、《マシュマロン》の効果が発動すれば一応《ゴブリンの小役人》は使えます。相手が効果破壊できなければデュエルに勝つことも可能だとは思いますが……。明らかにエンタメではない。

 また、相手スタンバイフェイズにバーンを行うので自分のターンに行う無限ループに取り込むことができません。それでも、自分スタンバイフェイズにバーンを行うだけのカードよりはなんとかなりそうです。

デッキ構築の前に考えること

デッキの構築方針

 《ゴブリンの小役人》は特殊な動きができたり、爆発力のあるカードではありません。とにかくお膳立てをします。
 他のバーンカードを《ゴブリンの小役人》に置き換えても成立しないという点が採用理由です。効果がバーンしかないにも関わらず、専用のデッキを組むことになります。ある意味特殊勝利するカードと同じ扱いなんですよ。
 《ゴブリンの小役人》のためにデッキを構築したということは誰の目から見ても明らかなので、デッキ作成者が満足するまで練り上げます。

やるべきこと

  • 《ゴブリンの小役人》をサーチする

  • 相手のLPを500以下にする

  • 《ゴブリンの小役人》で500ダメージを与えて勝利する

  • 永続罠なので相手の除去から守る姿勢を見せる

  • 《燃えさかる大地》との差別化

 《燃えさかる大地》は「相手のスタンバイフェイズ毎に相手ライフに500ポイントダメージを与える」効果を含む永続魔法です。《燃えさかる大地》とは差別化を図る必要があります。

引き起こしてはいけない状況

 《ゴブリンの小役人》というカード、引き起こしてはいけない状況が多いです。

  • 《大逆転クイズ》

《大逆転クイズ》は先攻ワンキルできるデッキが確立されていますので、避けます。

  • 戦闘ダメージを与える行為

 サーチをする過程でモンスターを展開するのですが、展開が完了したときに自分フィールドにモンスターがいることが想定されます。総攻撃をしかけたら勝ってしまうかもしれないですし、LP調整のために攻撃するモンスターを選ぶというのはよくないです。

  • 固有の数値だけ効果ダメージを与える行為

 《ファイアーボール》のようなバーンカードを複数積めばよくなってしまうので、相手のLPを0にすることが可能な効果ダメージを与えるカードの採用は控えます。

  • 理由を伴わないバトルフェイズの放棄

 相手のターンをスキップする手段は探せばあるのですが、相手のターンをスキップしたうえで自分のバトルフェイズをスキップする理由がないです。
 バトルフェイズに入れるにも関わらずエンドフェイズを選択するのはよくないです。

展開ルートの確定

 やるべきこと、引き起こしてはいけない状況を改めてまとめます。

  • 疑似後攻ワンキルデッキを作る

    • できるだけ1ターンで揃える

    • 相手のターンになる事実は変えられないので、《ゴブリンの小役人》を守る手段をアピールする

 この条件を踏まえたうえで、最終盤面から必要なパーツを逆算していきます。


最終盤面に必要

 コンボに必要なカードです。ターンをかけられない以上、コンボになるのは仕方のないことです。

  • 《オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン》

  • 《時械神ハイロン》

  • 《H-C クレイヴソリッシュ》

《オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン》

 相手のLPが500以下のときに《オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン》が自分フィールドにいると相手は任意効果の発動ができません。また、相手のLPが500ちょうどの場合、強制効果は発動しますが、相手は500LPを払うためデュエルに勝利できます。
 相手が効果を発動できなければ、《ゴブリンの小役人》を除去されることはありません。

《時械神ハイロン》

 戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、自分のLPが相手のLPよりも少ないとき、LPの差のダメージを与えるモンスターです。
 戦闘ダメージを与えたあとに《時械神ハイロン》の効果が発動します。そのため、《時械神ハイロン》でダメージを与えるターンは戦闘ダメージに意味はありません。
 つまり、どれだけモンスターを展開しても1ターンだけは戦闘ダメージを放棄して相手のLPを500だけ残すことができます。
 ただし、時械神というテーマはモンスターを展開しながら出すことは想定されていないため、安定した特殊召喚の方法を構築する方法があります。《鎖龍蛇-スカルデット》の効果で出せば解決ですね。

《H-C クレイヴソリッシュ》

 戦士族レベル4モンスター×2で出せるエクシーズモンスターです。
 「②:500LPになるようにLPを払って発動できる。」というコストが書いてあります。コストを払うために出します。


展開でお世話になるカード①

 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》の展開以降で使うカードです。主に最終盤面を構築するために起用されています。一部のカードのみ詳しく説明します。

  • 《鎖龍蛇-スカルデット》

  • 《世海龍ジーランティス》

    • 《レスキューフェレット》

      • 《時械巫女》

      • 《ゲール・ドグラ》

        • 《虹光の宣告者》×2

      • 《幻影騎士団サイレントブーツ》

        • 《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》

  • 《トロイメア・グリフォン》

  • リンクマーカーが下方向に3つ向いているリンク3

  • 《召喚僧サモンプリースト》

  • 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》×2

《トロイメア・グリフォン》

 《永遠の淑女 ベアトリーチェ》で《ゴブリンの小役人》を墓地に落として回収します。《トロイメア・グリフォン》でセットしたカードはそのターン発動ができないので、《燃えさかる大地》と差別化はできました。
 《召喚僧サモンプリースト》で《ランカの蟲惑魔》を特殊召喚すればセットカードを手札に戻すことができますが、考慮しません。

リンクマーカーが下方向に3つ向いているリンク3

 《レスキューフェレット》の効果のためにリンクマーカーが下方向に3つ向いているリンク3が必要になりました。縛りのないリンクモンスターで検索したところ、条件に合致するカードは4種類でした。

  • 《天威の龍拳聖》

  • 《トラフィックゴースト》

  • 《スケアクロー・トライヒハート》(※)

  • 《ダークナイト@イグニスター》

 リンク2モンスターを含むリンク召喚を行う予定なので、《天威の龍拳聖》が若干有利です。ただ、モンスター3体でリンク召喚をするケースが多かったため、《トラフィックゴースト》を採用しました。

※なお、《スケアクロー・トライヒハート》を出すとモンスターが守備表示になり、《怒れる類人猿》が破壊されるので避けました。

展開でお世話になるカード②

 初動から《永遠の淑女 ベアトリーチェ》の展開までに使うカードです。いわゆる出張パーツです。このあたりはネットで調べながら理解していった部分になります。
 コメントが必要そうな部分だけ記載します。

  • 《V・HERO ヴァイオン》初動

  • 《聖騎士の追想 イゾルデ》

    • ①:戦士族レベル7以上のペンデュラムモンスター

    • ②:《焔聖騎士-リナルド》

  • 御巫+《焔聖騎士-リナルド》

  • 《クロシープ》

《V・HERO ヴァイオン》

 初動に使います。また、戦士族レベル4モンスターのため《H-C クレイヴソリッシュ》のエクシーズ素材にもなります。使わない理由がないです。

戦士族レベル7以上のペンデュラムモンスター

 《オッドアイズ・アドベント》ではペンデュラムモンスターをリリースして儀式召喚をします。今回はレベル7以上のペンデュラムモンスターが必要です。
 《聖騎士の追想 イゾルデ》の①の効果でサーチするのが楽なので、戦士族という条件も付け加えましょう。
 2024年4月現在、遊戯王マスターデュエルで使用できるモンスターの中で条件を満たすのは2種類のみです。(2024年3月時点では1種類)

  • 《黄昏の忍者-ジョウゲン》

  • 《ヴェーダ=ウパニシャッド》

《クロシープ》とリンクマーカー先の融合モンスター

 《D-HERO デッドリーガイ》をリンクマーカーの先に置いて効果を発動すると、墓地からレベル4以下のモンスターを特殊召喚することができます。
 《クロシープ》のリンク召喚よりも先に《D-HERO デッドリーガイ》を融合召喚するため、事前に配置するモンスターゾーンを決めておきましょう。
 《ネメシス・コリドー》をリリースして《超雷龍-サンダー・ドラゴン》を特殊召喚して条件を満たしてもよいのですが、エクストラデッキが14枚埋まっていたため避けました。


まとめ

  • 《ゴブリンの小役人》の発動条件は珍しかった

  • 《ゴブリンの小役人》で複数回バーンを行うことは考えなくていい

  • 《ゴブリンの小役人》は相手スタンバイフェイズにバーンを与える永続罠であるため、とにかく《オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン》で防御

デッキレシピ

クソカード医学会(2024.3)当時のデッキ

使用したデッキ。ロック解除を兼ねて《転晶のコーディネラル》が入っています。

 ヴァイオン+闇属性モンスター+魔法カード1枚があれば安定する「クソカード医学会」専用のデッキです。
 ライフコストが捻出できなくなることを理解したうえで《ヒーローアライブ》を投入していたり、素引きしたら困るカードを全部2枚積んだりしています。
 また、自分からLPを減らす都合上、《甲化鎧骨格》を投入しています。ドローは必要ない構築にできたので、入れるだけ得。

改善版

2枚初動になったので、適当に汎用魔法を入れた構築。若干ソロモードに強く出れるか。

 欠陥が1つあるのですが、《幻影騎士団シェード・ブリガンダイン》を採用しているので後攻デッキにも関わらず汎用罠が入りませんでした。

大きな変更点は2つ。
 《No.60 刻不知のデュガレス》を採用することで初動枚数が1枚減りました。《召喚僧サモンプリースト》の効果の発動回数が1回減ったためです。
 そのため、ヴァイオンと闇属性モンスター、ヴァイオンと魔法カード1枚の待ちの広い2枚初動になりました。

 《ゴブリンの小役人》のサーチ手段を《ファラオニック・アドベント》にして永続罠に限定しました。《虹光の宣告者》のサーチ先を《イリュージョン・オブ・カオス》に変えたらできました。

 ただし、「”相手のターンに入ることなく決着がつく”から《ご隠居の猛毒薬》を使ったほうが望ましい」といった指摘が入っています。永続罠に限定したサーチをすればいいというわけではないようです。
 そのうち《召喚僧サモンプリースト》の効果をやりくりして《プロミネンス・ドラゴン》を出せばいい、まで到達すると思うのでこの話はここでおしまいです。

感想

 なんとかはしたかな、とは思っています。ちゃんとデッキを組まないと発動ができない状態から始まっているため、他のカードと比較されるところまで持っていけただけで十分。
 なにか言われてもこれ以上どうにもならんぞ……という気持ちです。


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