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記憶に刻む②

「じゃあ行こう」
と言うことでマップで調べたホテルに向かう。
繁華街の裏にポツンと忘れられたような古いつくりのビルにまぎれたホテル。中に入ってみると、懐かしさというか、ここは平成初期?スタイリッシュとかオシャレとは無縁な、またなんというか…レトロ感満載。
ちょっと古ぼけたモニターを見ると、20室近くあるようだけれど、まだ18時前だと言うのに空室は既に残り3つ。立地がいいからすぐ埋まるのか?
平日のこの時間からみんなやるねぇ。と、自分たちの事は棚に上げて、ギリギリだったね、と言いながらチェックイン。

休憩時間も、いつも使う街のホテルより良心的なお値段。フロントがなくて、部屋に機械がついているタイプのホテルで、なんだかこう言うタイプ久しぶりだわぁ〜と言いながら笑った。さすがにエアーシューターではなかった。(カードやコード決済はフロントに行かないとダメだったみたいだけど)
余談だけど、ホテルの部屋をパネルで選んだら部屋の鍵が開いて「ようこそ!!この部屋です!」みたいに光ってるの、いつも笑っちゃう。

部屋に入ってからはとにかくこの日ずっとしたかったキスを。公園では軽くキスをしたりハグしたけれど、ここはもう二人きり。誰にも見られない。
彼くんの唇はほんとに気持ちいい。
相性がいいのかなぁ。本人にも直接言っているけれど、彼くんとのキスはずっとしていても多分飽きない。

ここでイチャイチャを始めたいところだけれど、自転車で動き回ってた私達。汗かいたしお風呂入ろうか。と言うことで私は化粧落を落とす。
いつもホテルに行く時は大体遅くて時間が無いので化粧を落としたりすることはないのだけれど、今日はいつもよりは時間もある。
どうせならスッキリさっぱりしたい。その間にお風呂を入れる。

「一緒に旅行に行って、お泊まりするってなったらこんな感じなのかな、彼くんと2人でお泊まりしたいなぁ」
とぼそっと呟く私。
旅行して、あー、疲れたねぇなんて言いながら宿泊地に入る時のあの感じって、きっとこんな風だな。と思いながら。
『そうですねぇ、でもなかなかお泊まりは難しいですけどね』
と、夢の無いことを言う彼くん。
でもダメって言われてないし、可能性ゼロじゃない!2人で旅行してお泊りするのが今の私の最大の目標と決めている。

お湯が入るまでキスをしていたけれど、当然お互いに我慢できなくなり、お風呂に入る前にイチャイチャからのセックスが始まった。
汗をかいた身体はちょっとしょっぱかったけれど、久しぶりの彼くんの身体は気持いい。
挿入してすぐに最初からもう『イキそう』という彼くん。我慢して、いったん休憩をはさみつつ、
彼くんが『口でして』と言うので、口でたくさんしてあげた。
私は男の人が気持ちよくなってくれるのを見るのが好きなので、ずっとできるタイプ(笑)彼くんにも喜んでもらえるし、男の人が無防備になる瞬間を見れるからすごく好きだ。
ただし、夢中になってずっとしていると、キスがあんまりできなかったりして、これもまた加減が難しい。

一通りの行為をして、お互いに満足してから初めて一緒にお風呂に入った。彼くんの知らない一面も見ることができたし、お風呂でも背中を洗ってあげられたし、お風呂でイチャイチャもできた。

お風呂から出てまったりしつつも、でも、家に帰る時間は来てしまうもので。
帰りたくないけど電車の時間も迫っていたのでチェックアウト。
部屋を出ると、どこかの部屋からの喘ぎ声が聞こえてきた。ホテルのレトロさのせいか?フロアに良く響いていて、二人で顔を見合わせながら笑う。

「やばいねぇ、私たちの声も聞こえていたかもね?いつもしてる時は彼くんの名前読んじゃうから危ないねぇ(笑)」
『ホントですね、知り合いとかに聞かれてたらまずいですね』
というかそもそもホテルで知り合いに会う時点でアウトなんだけれど。

食事の時間を削ったので、夕食は車内で。彼くんは飲みつつ、街の名物をテイクアウトしたお弁当を食べる。これもまた美味しかった。

今日楽しかった事も、すごく嬉しかったことも何回も言って。そうしたら自分の中に秘めていた事をどうしても言いたくなって。

「奥さんがいてもいいから、私のことも好きでいてね」

と耳元で囁いた。
それを聞いて驚いた顔をした彼くん。
何も言わなかったけれどキスで返事を返してくれた。その時の彼くんはちょっと目がウルウルして、その後目頭を押さえていた。
どんなふうに思ったのかな?
嬉しかった?
悲しかった?
なんの涙だったのかな?

その答えはわからないけれど、私は自分の想いはもうこれ以上ないぐらいに伝えた。
「今日で人生終わっても大丈夫な感じの満足感です!!」
と言ったら
『死なないでw』
と笑われたけど、本当にそう思った。

家族がいることも、子供がいることも、お互いに配偶者がいることも、全部全部わかった上で、それでも好きだという気持ちがあって、受け入れてもらえて、触れられること、お互いの事を考える時間があること、普通に生活してたらこんなことにならなかったこと、色んなことがあるけれど、ほんとーに、ただ彼くんが好きで。
いつも一緒にいれなくても、あなたがいるだけで幸せっていう気持ちに、いつも感謝してます。
これからも何回でもありがとうって伝えたいなー。と、そう思った、そんな1日でした。

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