万年筆初歩の初歩入門
\ででーん/
はい。今私が持っているペンです。
文具のオタクはすぐ見せびらかしたがります。気をつけなはれや。
こんにちは文具のオタクです。
アンケートを取ってみたらオタクの怪文書を読んでみたいという稀有な方が数名いらっしゃったので、折角のことだからと万年筆に導ける指南書でも書いてみようかなと思います。
・「万年筆ちょっとカッコよさげだけどわからん」
・「ペン1本が高いんじゃぁ……!(ノブ調)」
・「扱いが複雑なんじゃないの?」
このあたりの疑問を解決するために、とりあえずわたしが綴れることを綴っておきます。
参考になるかならないかはあなた次第。活用できるかできないかもあなた次第。
質問されたらアフターサービスはばっちりやっていく所存なので、このコメント欄なりお題箱なりマシュマロなり使っていくらでも聞いてやってください。
①万年筆ってそもそも何よ?
万年筆とは、ざっくり言っちゃうと
「すげー長持ちのペン」
です。だって「万年」書ける「筆」と書いて万年筆なんだから。
英語だと"Fountain pen"で、意味合い的には「泉のようにインクが湧き出るペン」ってことらしいです。
私たちが普段よく手に取る数百円のシャープペンやボールペンとかは、最初から使い捨てすることが前提だったり、替え芯を使い続けてもせいぜい2年保てばすごい!ってくらいだったり(「ワイのボールペン、10年はつことるで」という人は物持ちがめちゃくちゃいい人なのでそれはそれでオッケー)なのですが、万年筆は少なくとも10年単位で使えることを想定して作られています。
そりゃもうご長寿。
そこそこ高級なものなら大切に使えば子なり孫なりに継承もできるんじゃないかな。物持ちのいい人ならガチで万年使えるんじゃないでしょうか?知らんけど。(関西人お得意のやつ)
そんなペンが万年筆な訳です。だから筆記具1本にしちゃあ高いのは当たり前と思ってください。ブランド品、嗜好品寄りのものなんです。でも実用でだって活躍する。むしろめちゃくちゃ字を書くことに対しては高機能。
②どこで買えるんよ?
この答えは簡単です。割とどこででも、です。
どういうことかというと、ぶっちゃけモノを選ばなければすごく身近なところで売ってます。東急ハンズとかロフトとか。でも、大きな文具店に行けば確かにきちんとしたものが買えます。
さっき万年筆は高いのが当たり前とか言いましたが、ハチャメチャに安いやつもいます。それがこれ↓
https://www.platinum-pen.co.jp/fountain_preppy.html
プラチナ万年筆の「preppy」。なんと税抜き300円。(やっす〜い)
300円ながらもカラバリがすごい。なんでこんなに多色なんやってくらいある。まるでそこらへんのボールペンみたい。
ペン色で選んだらちょうどその色のインクで出てくる。わかりやすい。なんかもう全部スゴイ。
「とにかく安く万年筆ってものを触ってみてぇなあ(鼻ほじ)」って感じの人はまずプレピーを入手するのがいいですね。さっき言ったように東急ハンズとかロフトとか、若者が行く定番大型雑貨店みたいなとこならあるはずです。
あ、使う前に鼻ほじってた手は洗ってください。
こんなに安いと書き味ガサガサなんじゃないの?とかインク出ないんじゃないの?とか色々不安に思うところはあるかもしれませんが、そんなことない。
300円でも充分な働きをしてくれます。むしろ安価だから怖々触らなくてもいいし気楽かも。
「安いのってプレピーだけ?物足りんのだが……」という人はロフトでもうちょっとぐるんと見渡してみてください。
PILOTの「kakuno」があるはずです。
https://www.pilot.co.jp/products/pen/fountain/fountain/kakuno/
こちらは税抜き1,000円。
これって結構大革命。万年筆ってとにかく黒とかブラウンばっかりで、なんか金属のパーツとかあって、重厚な……って感じのイメージだったところにポップでマットな色を放り込んできているわけですから。
それに、ペン先にかわいいお顔のマークが付いているおかげで、「お顔がいつも見えるように持つ」と意識するだけで正しい持ち方が身につくわけです。
あれ?「もっと万年筆っぽい、"それっぽい"やつが欲しい」?
うーん仕方ない。ここは書店に行ってもらうしかない。
どないや!?これならちょっと金属パーツとかあって万年筆っぽいんとちゃうか!?
これは「Fonte」という、書店にしか置かれていない万年筆です。おいくら?税抜き600円。(これまたおやっす〜い)
Fonteは文具屋にありません。なぜなら、これを出している日販さんが「書店に置いてほしい商品」として作っているから。取り扱い店舗はここ(https://hon-hikidashi.jp/live/76848/)で調べられますので、お住まいの都道府県を選んで店舗を見つけてから買いに行ってくださいね。
そんな具合で、比較的すぐ入手できそうかつ安いものをまず紹介しました。じゃあ、手に入れたら使わんといかんわけですね。
③どうやって使うんよ?
最近、瓶インクとかが目立ってるイメージがありますが、ここは初歩の初歩なので。
できるだけカンタンに、楽をします。万年筆はカートリッジインクを入れれば使えます。
替え芯入れるようなもんですね。
このカートリッジインクですが、挿す方はきっちりと密封がなされています。ここからはわたしの手元にあるペンとインクのお写真で失礼しますね。
こんな感じ↓
こいつを、グッサリ挿します。ためらうな、行け。
プチっと何かが破れた音とか手応えがあるまで差し込んでください。
挿すと、こう。↓
なぜためらうなと言うかって、破らないとインクが出ないから。密封を破ってやっとインクの補充になるのです。
興味のない人は少し飛ばしてもらって構わないのですが、万年筆インクは「毛細管現象」のおかげで出てきます。液体は狭くて細いところめがけて移動するっていう現象です。液体は重力に逆らってでも細いところへ移動する。すごいですね。
だから、インクが太いところ(カートリッジ内)から細いところ(ペン先)へ移動していくことで万年筆は書けるんだな〜と知っていてください。
さあ!インクが入ったなら!
れっつ筆記。
あんまり気張らず、普段使いするつもりでかまいません。わたしなんて捕まえてないポケモンわざわざリストアップして「ポケモン抜けずかん」とか作ってた。
④書けないのだが?
普通に書けたよーという人はここは見なくても大丈夫です。いくら引いても引いても線が現れない人用コーナー。初っ端がうまくいけばいいんですが、どうしてもうまくいかない時はある。人生だってそう。知らんけど(2回目)
さて、ここでは起こった状況ごとに、その原因と思われることを説明して、解決策を提示します。それでも無理なら直接そのペンのメーカーさんへご連絡するのが良いですね。わたしも答えられる限りは答えますがメンテナンス屋さんではないので、やはり専門の人に聞くのが一番です。
変にいじった後に持って行ったら保証だってしてもらえないかもしれないし。
(1)線、書けぬ。
カートリッジインクを挿して少しの間は、インクが一生懸命外に出ようと頑張っている時間となります。じわじわとペン芯(注1)の中を通っています。それを待ってみてから書く、というのはどうでしょう。
また、待っても待っても書けない場合。
カートリッジがうまく破れていない可能性があります。
もう一度しっかり差し込んでみてください。
(2)線、途切れる。
全く出ないわけじゃなく、ちょっと出たら消えたりする。そんな場合は、切り割り(注2)が狭すぎる可能性があります。
マニアの人は自己責任ということでこちょこちょいじって拡げることもあるようですが、そうでないならプロに。
「ペンクリニック」で検索して、ペンクリニックさんがお近くに来てくださる日がありそうなら、持って行って相談しましょう。メーカーさんに尋ねてもいいかもしれません。
(3)インク、出すぎ。
これは先ほどとは逆に、切り割りが広すぎることが考えられます。ペン先からインクが散ったりぽとぽとするレベルなら、ペンクリニックに持っていくかメーカーさんに尋ねるか、ですね。
ただこれは、「想像してた字の細さよりなんかちょっと太いな……」くらいでは不良ではないと思います。あくまで書くのに支障があるほどまずい時に、相応の場所を頼りましょう。
……というわけで、とにかく初歩の初歩について書いてみました。
もしこれの他に、万年筆の選び方なり探しかたなりでわからないところがあれば、聞いてくださればわたしのできる範囲でお応えします。
たぶんこの説明だと、「欲しい万年筆に"F"とか"M"とか種類があるらしいんだけどこれは何……?」みたいな疑問が絶対出てくるはずです。そこの説明は、また纏められたら書きたいと思います。
取り急ぎ、入り口を示しました。間違っている箇所があれば気付き次第訂正していきます。
よい万年筆ライフをお過ごし下さいね。
【注釈欄】
注1:ペン芯……ペン先を裏返したところにあるあばら骨みたいなやつ。これがあるおかげでインクが出すぎず出なさすぎず書ける。
注2:切り割り……ペン先の中心にあるスジ、隙間。金属が切って割ってあるところ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?