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「モナルダ婦人の涙」  出来立てホヤホヤ童話です

ヒラヒラの、赤い羽根をつけたモナルダ婦人は、今日もシャナリシャナリ…。
引きずりそうな真っ白のドレスを着て、
「どいて!どいて!」と右手で何かを避ける素振り…。

そして、「ふぅ。」とため息一つ…。
空を見上げて涙もヒトシズク…。
ヒラヒラの赤い羽根も小刻みに揺れる…。

風のせい?
いえいえ、涙のせい?
いえいえ、ため息かしら?そばて見ていた天道虫が、そう呟いた…。

何も聞こえないモナルダ婦人は、
胸元から、またまた真っ白のハンカチを1枚取り出し、指先につまむ…。

それを、自分の顔に近づけて、
涙を拭いた…。
少し落ち着いたのか、羽根の揺れはおさまった…。

あー!よかったぁー!
と喜んだのは、アリンコです!
羽根に乗ってたではアリませんか!
そう、アリンコは地震かと思ったらしい。
顔も少し青ざめておりました。

そんな事は知りません!
モナルダ婦人は何にも知りません。
そしてモナルダ婦人は柿の木の下の
椅子の上でひと休み…。「あぁ、何だか悲しかったわぁ〜」と呟きました…。
でも…モナルダ婦人は…、何で悲しかったのか?がわかりません…。

モナルダ婦人は、すっかり涙も乾ききって、心地よい風に吹かれウトウト…。
深い、深い眠りに着きました…。

すると、先程のアリンコは、ルンタッタルンタッタ…とお散歩です!小高い丘を超え、
黒い林を抜けて、また登りそしてーーー、
コロコロスッテン!!

「あぁーーーーー!」と大きな声を残し、
谷底へ落ちて行きました…。
もう、はい上がる事は出来ません…。

しばらくすると、モナルダ婦人は目覚めました!口をモゴモゴさせています…。

一部始終を見ていた天道虫さんは、モナルダ婦人へ叫びました。
「あっ!あっ!さっき、アリンコさんが貴女の口の中へ転がって行きましたよ!」と…。

しかし、
しかし、
残念です…、
モナルダ婦人には、天道虫さんの声は、
小さ過ぎて聞こえませんでした…。

モナルダ婦人は、また空を見ていました…。
あら?あら?
またまた涙が、ヒトシズク…。

そして、そのヒトシズクをよくよく見てみた
天道虫さんは、大喜び!
何と、先程のアリンコさんがーーー!
「いたーー!」と天道虫さんは大声で叫びました!

「おいおい、アリンコ!!大丈夫か!?」
と天道虫さんが
声を掛けると、アリンコは頭をグルグルと1回回し、「ウン!大丈夫!」とこたえました。

ほぉ~危なかったねぇ〜。

そんな一部始終を知らないモナルダ婦人は、
また真っ白なドレスを引きずりながら、
お家へと帰って行きました…。

しかし…、
何を泣いていたのかねぁ??
と、天道虫さんは首を傾げるばかり…、

その理由は、誰も解らないのでありました…。   

          おしまい。




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