イワクラと吉住の番組 ハンターハンター 〜冨樫先生からのお手紙〜 前編

【質問①】HUNTER×HUNTERは物語をどこまで考えて描き始めたんですか?

→最初の3話分です。
「ハンターという職業にスポットを当てた、異世界の物語」という大まかな設定が出来た時点で、いくらでも続けられるという手応えがありました。そこで連載の目標を「出来る限り長く続ける事」とし、ハンター試験に主人公が挑むところから始めようと思いました。連載スタート時に決まっていたのは3話分のネームと主人公が試験に落ちて、場面が1〜数年先まで飛ぶところまでです。その間の試験内容は(何が起きるかわからない状況を自分自身も楽しみたいので)直前まで決まっていません。結局ゴンが試験に落ちるという案は、担当と話し合ってボツになったので、作中に採用されたという条件を付与すると質問の答えは最初の3話分という事になります。
ただ、物語の柱となる仲間(キルア)と悪役(ヒソカ)を試験の序盤で登場させるのは予め決めてました。ストーリー構成上やる必要のある事を先に決めておき、ディテールはギリギリまで気持ちを高めて一気に取り掛かる感じです。そういう意味でいうと、かなり先まで大まかには決まっていましたが、1〜数年後に飛べなくなったのでその手前を描く事になり、大まかな部分も修正しました。多分その週は原稿を落とした記憶があります。


【質問②】時系列、キャラクターの設定が全て繋がっていると聞きましたが、キャラクターの設定を考える時何を参考にしていますか?

→キャラクター設定は、①顔②性格③境遇に大別されてストーリーの流れの中で順不同に決まっていきます。例えばキルアの場合は、ゴンと同年代の仲間というストーリー構成上の流れから始まって超人的な身体能力・暗殺一家等の境遇が大まかに決まり、その境遇・背景に合う顔が作られて、最後にゴン達3人と会話させてみた結果ああいう性格になりました。

①の顔を決める時に参考にするのは今まで触れてきた漫画や小説、映画・音楽、歴史上の人物、文化人・芸能人やスポーツ選手などの脳内ストックです。キルアの場合は暗殺一家の何番目かの子供にしようと決めたあたりで黒夢の「少年」・「上條淳士」・「多重人格探偵サイコ」等が頭に浮かび、あの見た目になりました。初登場の全身図、輪郭の一部を光で飛ばしている所に、上條氏や田島氏の作画への憧れが垣間見えます。

②の性格の参考になるのは圧倒的に「自分で作り出す場面・局面にキャラクターを置いた時」です。大まかに性格を決めていても、具体的な局面で登場人物同士に会話をさせてみたら、想定した展開の方向に行かない、という事が多々あります。例えば「正義感が強い」と性格設定しても、正義の設定や当人の境遇で立場が変わります。相手の反論に対し、どう反応するかで性格や境遇に修正・補充の余地が出来ます。この作業が創作の醍醐味であり、人物造形の生命線なのでキャラクター同士が話し合った結果、方向性に納得しなかったら後の展開を変えます。あとは登場人物が「作者の分身」にならない様に敢えて私自身が受け入れ難い価値観や信念、行動傾向、趣味嗜好等をキャラごとに入れるよう意識していて、その最たる存在がゴンだったりします。

参考にするものでおすすめは討論番組です。自分で局面を設定する際も討論やディベートの様に意見の対立が生じる状況を積極的に導入して作り込んでいきます。③の境遇で参考にするものは私の年令によって変化してきた様に感じています。若い時は面白い作品を手本にし、ある程度経験を積んでからは失敗作からもヒントや学びを得て、現在は史実やノンフィクションの影響が大きいです。


【質問③】HUNTER×HUNTERにでていた櫻坂のメンバーらしきポスターは櫻坂メンバーですか?

→作中のポスターは有美子さんを含む櫻坂46のメンバーを描いたもので間違いありません。長く同じ絵柄を描いていると、しんどくなる波が時折やって来るのですが、そんな時に「あと○ページ進めばポスターが描ける.ᐟ‪‪」と、自分を鼓舞する為のご褒美カットです。

【櫻坂46の魅力についての余談】
→一言で表すなら「真摯」です。
特に楽曲を届けようとするひたむきな姿勢は、欅坂46の頃から一貫していて現在では楽曲のコンセプトをより高い精度で安定して提供出来る位に経験を積んで強くなっていると思います。バラエティ適性のあるメンバーが冠番組を持てた事は本当に嬉しいです。これも各メンバーが役割を察し、真摯に取り組んだ結果だと思います。坂道グループの皆さんは実名で活動をしている為、仕事とプライベートとの線引きの捉え方がより難しい中、メンバーの真摯さは確実に櫻坂46のイメージカラーを美しく透んだものに染めてくれていると思います。


【関有美子からの質問④】
私がHUNTER×HUNTER好きっていつ知ってくださったんですか?
→欅坂46時代のブログを読んで知りました。当時私は欅坂46のメッセージからブログに飛ぶのを習慣にしていたのですが、書見時は本当に只の一般人なので作品名が目に入り、街で突然誰かに声を掛けられた位どぎまぎしました。
更にその時を上回って度肝を抜かれたのが、「そこ曲がったら 欅坂?」の新年会企画で、有美子さんが挙げてくださった「ハンターハンター全巻セット」です。視認した瞬間から意味不明に「何とかせねば…!」と思いながら仕事場をウロウロしていました。ただ、絶望的にコミュ障でネガティブ系の自意識過剰気質なので「気を使わせてしまっているのでは?」だの、「本当に送りつけたら迷惑なのでは…?」などとグダグダ悩み、意を決するまで丸2年かかりました事、誠に申し訳ありません。

【関有美子からの質問⑤】
1番好きな念能力は何ですか?

→好きで言うと姉(第10王子)の"二人セゾン"です。ネームを描いている時に某局で振り付け師のTAKAHIROさんが二人セゾンの振り付けの意図と曲の解釈について話していて、それに感動し触発されて一気に描き上げました。ライブのセトリでこの2曲が並んでいると、感情の均衡が崩れる位好きです。はい、能力というか曲が好きです。

使ってみたいで言うと妹(第11王子)の"秘密の扉"です。旅費も時間も節約できそうですし、もしも旅先で腰が爆発しても這って地元の病院まで行けそうです。

イワクラと吉住の番組 
#TVer

11月14日(火)放送分 配信終了まで1週間以上

★保存用に書き起こししましたが、現在TVerで配信されている「イワクラと吉住の番組」を見た方が資料付きで解説されているので分かりやすいです。是非見て見てくださいね。

後編はこちら https://note.com/lovely_moose444/n/n324de249a6f6?sub_rt=share_b

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