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サラブレッド系統分類⑤ミスタープロスペクター系

2023/02/25
こんにちは、mokomoko競馬です。
 前回に引き続きサラブレッド系統分類をやっていきます。今回は20世紀末から21世紀にかけて急速に勢力を伸ばし、現在最も勢いのあるミスタープロスペクター系を紹介します。

 馬の名前が系統を表していて非常にややこしいので『』を大系統、《》を中系統、【】を小系統(派閥)とし、単一の馬を指す場合は〈〉で表すようにしています。


ミスタープロスペクター系

 今回は『ミスタープロスペクター』で、世界中に子孫が存在しますが、〈ミスタープロスペクター〉自身は重賞を勝ったことがない馬なので種牡馬として大逆転を果たしたといえるでしょう。拠点ともいえる米国では『ノーザンダンサー』を上回る活躍を見せ、欧州でも以前紹介した《サドラーズウェルズ》や《ダンジグ》に唯一対抗できている系統といえるでしょう。
 現在繋がっている系統は《ファピアノ》《ゴーンウェスト》《フォーティナイナー》《シーキングザゴールド》《マキャヴェリアン》《キングマンボ》《スマートストライク》などです。その他〈アフリート〉や〈ウッドマン〉などのラインは《ミスタープロスペクター》として扱います。

ミスタープロスペクター系一覧

ファピアノ

 米国の中心となる系統で『ミスタープロスペクター』の中で最も規模が大きく、距離を問わずダートで活躍しています。また、〈ミスタープロスペクター〉の2年目の産駒ということで他系統に比べて世代交代が進んでいることも特徴です。
 【アンブライドルド】は後継として《ファピアノ》の勢力を繋いでいます。37年ぶりに米国三冠馬に輝いた〈アメリカンファラオ〉が有名で、日本には産駒の〈カフェファラオ〉がいます。
 【アンブライドルド】の更に下に【アンブライドルズソング】がいます。日本では三冠馬〈コントレイル〉の母父として有名です。当時の世界最高獲得賞金の馬となった〈アロゲート〉がいて後継は盤石と思えましたが当馬は7歳という若さで亡くなりました。

ゴーンウェスト

 《ゴーンウェスト》も米国ダートでかなり影響力のある系統といえるでしょう。《ファピアノ》の比べるとやや短距離の後継が多い印象があります。〈イルーシヴクオリティ〉や〈スパイツタウン〉のラインが伸びているのでこれからも勢力拡大が望めます。
 日本でも〈タワーオブロンドン〉、〈インティ〉、〈マテラスカイ〉などが種牡馬入りしているので、短距離・ダートを中心に広がる可能性がある系統です。

フォーティナイナー

 《フォーティナイナー》は日本で繋養されていたことから、日本で繁栄している系統といえます。中でも〈エンドスウィープ〉の影響が大きく、地方の大種牡馬〈サウスヴィグラス〉、なぜか短距離馬を生み出す〈アドマイヤムーン〉のライン、大井の帝王〈オメガパフューム〉などしぶとく後継を残しています。また、米国でも〈ディストーテッドユーモア〉が一定の地位を築いています。

シーキングザゴールド

 『ミスタープロスペクター』では珍しく、欧州で活躍している系統で以前は日本でもマル外の活躍馬を多数送り出しています。
 この系統を現在繋いでいるのが【ドバウィ】で、わずか一世代の後継を残して死亡した〈ドバイミレニアム〉産駒の一頭でしたが、種牡馬として繁栄し《サドラーズウェルズ》や《ダンジグ》が圧倒的なシェアを占める欧州で唯一対抗できる存在となっています。

マキャヴェリアン

 米国を拠点にしている系統で、米国の歴史的名牝である〈ゼニヤッタ〉や豪州で歴代最多GⅠ勝利記録を持つ〈ウィンクス〉が存在しています。日本との関わりは比較的薄い系統です。

キングマンボ

 米国や欧州で活躍馬を出しましたが徐々に衰退していき、現在は多くのラインが日本で繁栄しています。
 やはり日本では【キングカメハメハ】の影響が大きいと考えられます。高速馬場に強く、芝・ダート共に活躍馬を輩出し、《サンデーサイレンス》に次ぐ繁栄を見せています。日本のGⅠ最多勝馬である名牝〈アーモンドアイ〉もこの派閥から排出されています。
 また、〈キングズベスト〉のラインから〈エイシンフラッシュ〉が誕生しています。最近では〈レモンドロップキッド〉が〈レモンポップ〉を輩出し、【キングカメハメハ】以外のラインも徐々に日本に集約し、発展の可能性を残しています。

スマートストライク

 《ゴーンウェスト》と並んで最も勢いのある系統といってもいい存在で、〈カーリン〉が毎年米国種牡馬リーディングの上位につけているので今後も繁栄していく可能性が高い系統となっています。

レイズアネイティヴ

 前回と同じく『ミスタープロスペクター』の父《レイアズネイテヴ》から分岐した系統が残っているのでこのグループにまとめています。古くは〈アリダ―〉などの名馬もこの系統から排出されています。

まとめ

 『ミスタープロスペクター』は他の〈ネアルコ〉を経由する三大系統に比べて、生まれが遅いこともあり、ラインが短い系統が多い印象でした。しかし、米国をはじめとして世界中に後継がいるので、今後どのように勢力を拡大していくのか楽しみです。
 日本の【キングカメハメハ】系も〈ディープインパクト〉産駒がいなくなり、どうなっていくのか気になって夜しか眠れません。

 今回の『ミスタープロスペクター』で四大系統すべてを紹介できたので、次回は四大系統以外の系統を紹介しようと思います。

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