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サラブレッド系統分類⑥ その他の系統

2023/03/18
こんにちは、mokomoko競馬です。
 少し期間が空きましたが、サラブレッド系統分類、最後となる『四大系統』以外の系統を見ていきます。その他の『ダーレーアラビアン』系に加えて、『ゴドルフィンアラビアン』、『バイアリーターク』の子孫も紹介します。

 馬の名前が系統を表していて非常にややこしいので『』を大系統、《》を中系統、【】を小系統とし、単一の馬を指す場合は〈〉で表すようにしています。


ダーレーアラビアン系

 『ダーレーアラビアン』並びに『エクリプス』の系統を継ぐ系統で、現在のほとんどの馬の祖先です。主要四大系統は〈ファラリス〉(エクリプスから14世代目)を共通の祖先としていますが、その他の分岐からできた傍流の系統も存在します。

ダーレーアラビアンざっくり血統図、紹介番号

ブランフォード

 主流系統とは〈バードキャッチャー〉→〈オックスフォード〉の代で分かれています(〈オックスフォード〉は〈エクリプス〉から数えて7代目)。
 古くは英国を中心としていた系統ですが、この系統を復興させた【モンズーン】の影響でドイツを中心とした活躍をしています。今回紹介する系統の中では最も勢力が大きいと言えるでしょう。
 その【モンズーン】の最高傑作ともいえる〈ノヴェリスト〉が日本で種牡馬入りしているので、近年ではマイナー系で唯一、日本で重賞クラスの馬を輩出できる存在です。

ヒムヤー

 アメリカ伝統の土着血統で主流系統からは〈ホエールボーン〉→〈カメル〉の代で分かれている非常に歴史のある系統です(〈カメル〉は〈エクリプス〉から数えて5世代目)。
 【マッチョウノ】の〈ムーチョマッチョマン〉が後継を出していたりするのでこちらも比較的規模が大きい系統です。
 また、日本でも〈ダノンレジェンド〉が種牡馬入りしているので普通にこの系統の馬を見ることができます。世界的に当然安泰ではないので、〈ダノンレジェンド〉が成功すれば本場であるアメリカで断絶し、この系統が最後に残る可能性も考えられます。 

ハイペリオン

 《ヒムヤー》と同じく〈カメル〉で分岐していて、一般的に〈カメル〉子の『タッチストン』系と呼ばれる系統から派生しています。
 複数の分岐がありましたがどれも繋がっているか怪しいくらいには衰退しています。
 有名ところではオーストラリアで《サートリストラム》(サラブレッド系統分類②参照)と並ぶ、土着血統と知られていた【スターキングダム】の系統があります。
 また、かつてウッドワードSを4連覇し、米GⅠの名前にもなっている〈フォアゴー〉を生み出した【フォルリ】系も存在しました。

リボー

 サラブレッドの血統に非常に大きな影響を与えた『セントサイモン』の系統の唯一の生き残りで、〈リボー〉自身も16戦16勝の馬としてイタリア競馬界伝説の馬です。〈エクリプス〉→〈キングファーガス〉という非常に早い段階で主流系統と分かれています。ここでは『ダーレーアラビアン』としていますが実際は『バイアリーターク』の系統の可能性が非常に高いとされています(詳しくはセントサイモンのwikiなど参照)。
 障害などでの活躍はありますが種牡馬価値は皆無で、まだ断絶まではいっていませんがかなり怪しいところまで来ていると思われます。

テディ

 〈ベンドア〉→〈オーモンド〉の代で主流系統と分かれています(〈オーモンド〉は〈エクリプス〉から数えて11世代目)。
 現在残っている可能性があるのは伝説の3頭によるウッドワードSを制した〈ダマスカス〉の後継のみだと考えられています。

ゴドルフィンアラビアン系

 『ゴドルフィンアラビアン』並びに『マッチェム』の系統を継いでいて、上の系統より更にレア度が跳ね上がる系統です。言い方が悪いかもしれませんが遺跡から発掘された出土品のような存在です。

マンノウォー

 アメリカ競馬界の伝説である《マンノウォー》のラインで歴史ある系統です。〈リローンチ〉などを経由して繁栄していました。現在はほとんどのラインが途絶えていますが、BCクラシックを連覇した〈ティズナウ〉のおかげで延命していて、マイナー系の中では比較的数の多い系統です。しかし、主要国で重賞勝ちをほとんど見なくなっているのでもう一度名馬クラスが現れなければ断絶は時間の問題でしょう。

バイアリーターク系

 『バイアリーターク』並びに『ヘロド』の系統を継ぐ系統で、21世紀までつながっていたのは《トウルビヨン》を経た後継のみでしたが、それもあと何年残るかというほどに衰退し、三大始祖の一角の系統が消滅する可能性もあります。

トウルビヨン

 20世紀には日本でも一大勢力を築いており、三冠馬〈シンボリルドルフ〉や名ステイヤー〈メジロマックイーン〉など複数のラインが存在しました。しかし、21世紀に入って衰退し、現在は先の二頭の後継がクラウドファンディングで種牡馬入りしている状況ですが、世界的にもほとんど重賞馬クラスの種牡馬がいないこともあり、この延命も馬鹿にはできない状況です。

まとめ

 今回で全ての系統を紹介し終わりました。四大系統以外の系統はほとんど絶滅の危機に瀕しているので、なんとか繋がって欲しいですね。

 6回に及ぶサラブレッド系統分類いかがだったでしょうか。次回以降の企画のための紹介と私自身の勉強や振り返りという目的で始めました。調べていると意外と知らない情報などもあって有益な企画となりました。最後まで見てくださった方、本当にありがとうございました。


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