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山田君 不動産で世を渡る(プロになる)※宮城県松島のホテルで大失敗VOL7

信託銀行担当者から、「なかなか返事がもらえない」と半ばあきらめに近い連絡があった。俺は非常に頭にきた。5億から5億2千に買いあがれば買えるって言ったじゃないか。信託銀行ともあろう者が何をしているんだ。俺は信託銀行に電話することをあきらめた。
まあ幾度どなく経験した事だし。
不動産屋のいいところは物件と女性はしつこく追わないところである。

そんな事があってしばらく松島を忘れていた。

1カ月ぐらいたった頃、俺に1本の電話が入った。相手は松島の売主であった。えっ。今更、しかも直接かよ。なんだろう。

話しの内容としては5億2千で売りたいのだが、お互い仲介手数料を節約しよう。つまりは直接取引なら応じるとのことだった。
即答はできなかった。確かにお互いに1500万円づつ経費が削減できるが、こちらは信託銀行の付き合いから物件を紹介してもらっている。
お互いに媒介契約は交わしていないのは事実であるが、そんなずるはできない。俺は混乱した。

電話を切ると俺は喫煙室に向かった。少し冷静にならなければならないとの判断だ。自動販売機でCCレモン炭酸入りを買う。レモンはなんか健康に良さそうだし、焼かれた脳を冷やしてくれるかな?
実はたばこと炭酸の相性はとてもよい。

待てよ。相手は中華料理屋だ。誰か裏で糸を引いている奴がいる。知恵を付けている。
俺も信頼した信託銀行に何度となく向かったが纏まらなかった。
纏められない信託を助ける必要はない。十分時間は経過した。
信託が悪いのだ。抜かれる信託がバカなのだ。
もし信託が会社に文句言ってきたら、事実を話そう。そして俺が悪者になればいいんだ。
俺の気持ちは固まった。
信託を抜いて直接交渉に乗り出した。

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