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不動産不思議物語 幽霊山

幽霊の出る山ではない。山自体が幽霊のように、人の心が欲で曇って闇になると姿を現すが、白日の下でつかまえようとすると、たちまち立ち消えてしまう山である。

縄ちじみしている山林があった。登記簿面積3万坪、実測面積2万坪。この山を分筆して売っていく。売る方は実測して元の面積から引き算していく。

やがて残ったのは1万坪の、現地の無い権利証だけの土地である。この権利証を買うやつがバブル時代いた。二束三文だが。

現地はないが、抵当権の設定ができる。またそれを騙して売る奴もいた。

不動産登記法により、平成17年以降は全体の実測がないと分筆できないことになったが、山林のような広大な土地は全部の実測は免除されている。

令和の世になり、山は負の遺産となった。相続されず、ほったらかし。だれの山だかわからない幽霊山が増え続けている。


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