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青天の霹靂34(ゲーセン)

踞(ウズクマ)っていた廉夏に声を掛ける。
「この後、どうします?」
「えっ~と、気分変えて、ゲーセン」
「はいはい」
冬眞は、頷く。
「で、勝負よ。もちろん、アイスを賭けたね」
「わざわざ、すいません。そんな気はなかったんですけどね。奢って下さるんですね」
「違うも~ん。私が今日こそ勝つんだから」
「そう思うのは自由です」
冬眞は涼しい顔で言う。
と言うのも、今のところ50勝負中50敗と、全敗なのである。
でも、今のところはである。
廉夏はすごくやる気で言う。
「今日こそ、負けないんだから、見てなさいよぉ」
「お~、楽しみですね。そのやる気を、へし折るのは、気が引けますが、勝負は勝負。負けてあげる気はありませんよ」
「望むところよ」
こうしてゲーセンへとやってきた。
「可愛い」
ユーフォーキャッチャーにへばりつく廉夏。
「どれですか?」
「あの、パンダの奴」
そう言うと、冬眞は簡単に取ってくれる。
「ありがとう」
垂れパンダを抱きつつ廉夏は言う。
「でも、勝負は勝負よ」
「望むところです」
そう言って、二人は車にいく。
「レディーゴー」
廉夏のかけ声で始まった勝負。そして、勝負は終わった。
「くそ~。あそこでハンドルさえを切らなきゃ、勝ててたのに」
ゲームを振り返る。
「惜しかったですね。でも、負けは負け、ごちになります」
と冬眞は笑顔で言う。
それを、廉夏はあまりのショックで聞いていない。
冬眞は笑って言う。
「分かりました。奢りますよ」

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