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【お試し】舞台:BREAKING THE CODE

まず、こんな拙いお試し投稿を読んでいただきありがとうございます。
私は基本的に自分に対してめちゃくちゃ「激甘」人間なんですが、2024年は「目標を立てる→達成できるようにがんばる」ことでゆる〜く自分に負荷をかけながら過ごそうと思っています。

その目標のひとつに、「Note投稿をする」があります。
投稿内容は、大学4年生ぐらいから趣味の一つになった「舞台・演劇鑑賞」について、個人的な感想をつらつらと書いてみようかなと。
趣味が趣味だけに、なかなか周囲で共感できる人がいないこと。今までは自分で観にいって自分の中で感想を留めて終わり!ということが多かったので、自分の感想をアウトプットしつつ、1年経過した時に「今年もいろんな作品を観にいったな〜」と思いだせれば良いなという想いもあります。

2024年もいろいろこの作品を観にいくぞ!という予定はあるのですが、いきなり寄稿するのは難しそうだったので、昨年鑑賞した作品をもとに自分の投稿の雛型を作れたらなぁ〜という感じです。暇つぶしに読んでいってください🙆‍♀️


1.BREAKING THE CODEについて

BREAKING THE CODEは、ヒュー・ホワイトモア作のイギリスの戯曲。
実在したイギリス人数学者のアラン・チューリングの人生を描いた作品である。

概要・あらすじ

実在した男、アラン・チューリングの生涯を描いた「ブレイキング・ザ・コード」。コンピューターを発明し、この世界の在りようを大きく変えたはずの彼の功績は、何故隠され、何故41歳という若さで悲運な死を遂げなければならなかったのか。数奇なチューリングの人生が、日本で33年ぶりに蘇ります。

第二次世界大戦後のイギリス。
エニグマと呼ばれる複雑難解なドイツの暗号を打ち破り、
イギリスを勝利へと導いたアラン・チューリング。
しかし、誰も彼の功績を知らない。
この任務は戦争が終わっても決して口にしてはならなかったのだ。
そしてもう一つ、彼には人には言えない秘密があった。
同性愛者が犯罪者として扱われる時代、彼は同性愛者だった。
あらゆる秘密を抱え、どんな暗号も解き明かしてきた彼が、
人生の最後に出した答とは・・・。
悲運の死を遂げた彼の生涯を
少年時代、第二次世界大戦中の国立暗号所勤務時代、晩年と
時代を交錯させながら描いていく。

https://www.breakingthecode2023.com/「BREAKING THE CODE公式HPより」

BREAKING THE CODEは、作品の背景と重なる「暗号解読」という直接的な意味と「法則・規則・ルールを破る」という2つの意味が込められています。事前にアップロードされた動画を見るまでは、もう一つの意味があることは全くわからなかったです。


2.作品の第一印象

この作品に出会ったきっかけは、「岡本玲さんがこの作品に出る!」ただそれだけでした笑(私が一番好きな女優さんが岡本玲さんだからです、、、)
彼女のInstagramで告知があり、「迷わず観にいこう!」と決めてから改めて作品のポスターであったり事前に内容を調べてみて、より一層興味が湧きました。

https://www.breakingthecode2023.com/

改めてみてもポスターかっこええなぁ!
この作品に出会うまでは、群像劇というジャンルの作品をしっかり見たことがなかったのでより一層観に行きたい!ってなったのを覚えています。

3.観劇した感想

ここからは観劇当時に書いたメモをほぼそのまま書いていきます。
(読みやすいように少し編集しています)

・前半
この演劇の中心となるアランと警察官のミックのシーンからスタートする。
まずは、空き巣被害に遭ったというアランの事件についての取り調べからストーリーがはじまる。
この冒頭の取り調べのシーンは最序盤にしてはしっかりしたやり取りになっていて、ここでアランがどこか普通の人間とは異なるある種の天才肌の人間であること。アランは嘘をつくことが苦手であったり、論理的なことにのみ正当性を感じる人間であることが描かれている。
前半部分で最も印象的だったのは、ステーションXに招かれた際に、招待した人間から自身の論文について「普通の言葉で説明して欲しい」と言われたシーンである。天才肌の彼にとって、数理物理学に関する研究をすることは誰にも理解されないものであるが、彼にとっては何にも変え難い生きがいだったことだと思う。彼が没頭し、愛してやまない数理物理学の研究はやはり一般人にとってみれば到底想像がつかない未知のものであるため、このワンシーン/やり取りだけで改めてアランが天才であることを一瞬にして表現したシーンだったように感じた。
さらに、一貫性、完全性の証明ができている中、最後の一つの証明を自身の研究と論文によって完遂させたことは彼自身に取って非常に大きなことだったと思う。
今も昔も変わらないと感じた部分は、やはり誰しも自分の好きなこと・自信を持ってやってきたことに対しては誰にも負けない熱量があるということである。
あのシーンの長尺のセリフの演技ももちろんすごいが、あのワンシーンでアランを一気に印象付けた部分が素晴らしいと感じた。
しかし、何よりも全ての説明が終わってからのノックスの「うん。でも何を言っているかほとんどわからなかった」という返事に全てが表現されていると見ていて感じた。

・後半
前半・後半で分かれるタイプの演目は、後半で一気に加速度を増して押し寄せるようにして目の前に情景や感情が自分のところに流れ込んでくる。
まずは、アランがなぜコンピュータを生み出すことを考えたのか、上手く比喩と彼自身の言葉とを織り交ぜながら観客に示していた。
演出としては、アランが大学の教授・観客が生徒と言うような立ち位置でどこか講義形式で説明するような見せ方だった。
あるあるかもしれないが、どうしても前後半で休憩を挟むとまた舞台の世界に入るのに時間がかかるが、そこを観客もどこか舞台の世界に参加しているように錯覚させ、そこから自然に前半パートの続きに繋がるような構成となっていた。
ここからは、前半部分でしっかり布石として観客の脳裏にイメージとして蓄積された各キャラクターたちが複雑にそして、進行的に絡んでいくシーンである。後半のツカミともいえるシーンが終わってからは、同性愛に関する法律により罪が確定したアランがノックスの取り調べを受けるシーンから始まっていく。
ここでは、とりわけ演出が見事だった。まずはアランとノックスの事情聴取から始まるが、アランが説明をするターンは、アランとロンが実際にした行動を明示的にかつ視覚的にも想像しやすくさせるために立体的な寸劇を用いて表現していた。その節々に事情聴取であることを忘れさせないために、ノックスの合いの手が入る。この寸劇の終盤は別日に同様の取り調べを受けたであろうロンとの問答も重なり一気に事象がすすんだこと、そしてここでアランの実刑が確定したことを表現していた。
さらに時間が進み、アランがロンドンに戻り母親に自分のことを説明するシーンになる。これは私自身とも重なるが、やはり親というのは子どもの何かを察知する能力が本当に高い。急に実家に帰ってきたアランに対して「何かあったの?」とまずは問いかける。
アランの人間性を考えても、また彼自身が自分の口から同性愛者であることによって罪を受けなくてはいけないことを実の母親に伝えなくてはいけないという非常に難しい回答に対してしっかりと耳を傾け、全てを聞いてからただ優しく包み込みアランを安心させるシーン。過去をアランと話しながら当時に思っていたことをあえて今打ち明けることによって、自身がアランの味方であることを強調し、アランは落ち着きを取り戻す。
そんな彼だが、最終的には「死」を選択し舞台の幕が降りる。

4.考察

BREAKING THE CODE、とりわけアラン・チューリングから何を伝えたかったのかを改めて考えてみました。

・アランに見る人間と多様性について
アラン・チューリングが生きた時代は、まさにWWⅡの真っ只中であり普通に生活することさえ難しい時代だった。加えて、アラン・チューリングという人間そのものが、当時の世間から見るとどこか変人に見えてしまうためにより一層生きづらかったのではないかと思う。アラン視点に立つと彼の生き様は当然当たり前であるが、周囲の人間からすると到底理解不能な天才そのものであった。彼が生涯をかけてやり続けた数理物理学に関する話なんて、おそらく今も昔も話題のきっかけ作りとしては面白いが、果たして何人が立ち止まりこの話に真剣に耳を傾けるだろうか。
また、現代ではようやく理解がされ始めてきたと思われる同性愛といった性的趣向の差別・人種差別・身分差別といったものは昔から根強く続いているとも感じた。とりわけこの作品で描かれたイギリスにおいては、同性愛は犯罪であったし、それによって最終的にアランは「死」を選択している。

自分にとっての「当たり前」は果たして本当に「当たり前」なのか、真の多様性とは何なのか。人間誰しも完璧ではなく、それぞれが抱える悩み・不安・葛藤とともに生きているのではないか。
完璧ではないからこそ、自分を含めて全く同じ人間がこの世に存在しないわけであり、違いがあるからこそ人間の良さなのではないかと考えた。
人間としての違いを許容することこそが多様性であり、それを否定することはもはや自分自身で生きることの門扉を一つ閉ざす行為なのではないかとも思った。もちろん多様性を理解することは相当難しいことだと思う。しかし、それを受け入れることによって自分という人間に深みが生まれ、また他者への理解が進むのではないかと感じた。





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