見出し画像

不純

 あの保育園、保護者から訴訟か・・・。
 訴えは、あーなるほど。またか。同じ建物で「保育」していても、幼稚園と保育園、人員をシェアしたいなら、認定こども園にすればいいのに。便利に運営しておいて、自分の好きに運営したい、は、ないよな。
 
 幼稚園の空き教室で保育園を経営しているケースだ。もともと学校法人として幼稚園を経営してきたが、定員割れが激しい。定員減の手続きもしてきたが、それでも割ってしまう。教室が空く。経営は厳しい。
 空き教室で保育園を経営することにひらめいた。012歳児だけを入園させて、3歳児クラスになるときは幼稚園に自動的に入れて・・・。幼稚園の定員確保にもってこいだ。
 「保育」をよく知らない親は多く、幼稚園を好む傾向がこの園の地域では残っている。
 「お稽古事してくれてラクだし、保育園みたいに長く預かってくれてパートもできるし、給食だからお弁当作らなくていいし」

 お稽古事は告示に書かれていないので保育内容に入れてはいけない。スキルの習得は乳幼児期には早いとOECDのレポートも述べている。
 でも親が好むし選ばれる園にするためには仕方ない、とか、スキルの獲得こそが教育だと誤解している、とか。結局のところ、告示を守らなくても罰則規定はない。  
 012歳児クラスが保育園で、園にいる間はすべて法令に基づく保育時間であったのが、3歳児クラスになったら園にいる時間は同じでも、責任が全く違う。それは説明せず「大丈夫ですよ、19:00まで預かりますよ」。
 
 「そして、ウチの園は完全給食です」と。お弁当ではないということであって義務ではないその給食には、異物混入が多くて子どもから聞いた親が自治体に電話した。自治体が介入したが、
 「幼稚園を指導する権限はキミたちにはないはずだ、とはっきり言ってやったんですよ」と、武勇伝のように語る。

 一人の保育者が幼稚園教諭でありながら、保育園保育士。どちらのポジションも正規職員常勤で、どう考えても無理。幼稚園と保育園、職員名簿はそれぞれ提出している。それぞれの管轄で監査もある。しかし、職員名簿を突き合わしたりしない。縦割り行政なので。同族経営でご親族がその保育者であると両方から常勤正規職員分の給与が支給されていることもよくあるが、この園はどうだろう。
 今回の訴訟、けがについて、見ていなかったのではないか、というもの。あっちに提出する名簿とこっちに提出する名簿、体裁は整えたつもりでも、保育者がいないことは繕えない。
 人員不足だからシェアしたい。気持ちは分かる、気持ちは。
 
 あんなことやそんなことまでして、何かにこだわって難しくなっている気がする。つい、
 「なぜ、こども園にしないのですか?」
その同族経営三世の理事長に問うと、 
 
 「自治体の指導受けたり、しっぽふったり、やなんですよ。我々は我々の教育方針でやる。それが幼稚園ですから」
 
 子どもは社会で責任を持って育てていくわけだから、自分たち運営側だけでなく、もちろん保護者だけでなく、少なくとも自治体も、その保育が適切か否か確認し合う仕組みは必須。
 「我々」という一部の大人の事情で好きに保育する。それっぽく保育を語っていても、
その根底にある不純な動機が臭ってくる。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?