2019_教室vol

vol.1レポート:「サッカー・フットサル場づくりの教室 〜わたしの街で愛されるスポーツの場のつくりかた〜」

「サッカー・フットサル場づくりの教室 〜わたしの街で愛されるスポーツの場のつくりかた 〜第1回が先日行なわれました。
内容の濃かった教室、その様子をお届けしたいと思います。
(前回のvol.0 キックオフ会のレポートはこちら )


これからグラウンドを作るとなった時に、そこはどういった場所であるのかを決めることが最初のステップであり、1番重要なところです。
今回のテーマはその全ての土台となる「施設のコンセプトづくり」についてです。

前回、キックオフ会の最後に参加者の皆さんには課題が出されていました。それはグラウンドを作りたい地域を対象としたリサーチです。具体的には、地域の人口の特徴や、行政による都市計画、地域に存在する社会課題を調べてくるというもの。現状分析があってはじめて、地域に必要とされる場所の形が見えてくるからです。

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冒頭、今回の教室の講師であるlove.fútbol Japan代表の加藤さんからこのような質問が投げかけられました。

「日本のスポーツグラウンドからどんなメッセージを受け取ったことがありますか?」

日本には数多くのスポーツ施設が存在します。しかし、それら施設の多くはただスポーツがしたいと思う人のニーズに応え、場を提供したというような形が多く、スポーツをする以外の目的で使われることは少ないというのが現状です。日本のスポーツ施設の多くは、利用者に対してメッセージ性が弱いので地域の人に本当に必要とされる施設にはなりにくいと言えるかもしれません。基本的に、場所はメッセージを纏うことができます。日本のスポーツ施設も、コンセプトをしっかりとつくることで、意図するメッセージを利用者や地域の人たちに伝えることができるという点において、まだまだ進化できる可能性があります。

スポーツ施設が持つ価値というのは、一般的に2つあると言われています。
1つはスポーツをすることが出来る場所としての価値。もう1つは、地域や社会に対して提供できる価値。基本的に前者に価値を感じる方が多いですが、ソーシャルバリューと言われる後者の価値に現在海外も含めて多くの関心が寄せられています。そしてその価値を体現する様々な要素の根底に、今回考えていくコンセプトがあげられます。

教室のテーマに“わたしの街で愛されるスポーツの場のつくりかた”とあるように、近年はグラウンド(スポーツ施設)を作ることはつまり地域づくり、街づくりと絡めて話題に挙がることが増えています。 そもそも街づくりとはよく聞くけど、街づくりって一体何をすることなんでしょうか?その答えに加藤さんは、「街づくりとは、その街の不動産価値を上げること」と話していました。不動産の価値を上げるために重要な要素が、サービスの向上 (子育て支援、雇用創出、子どもの教育など)とリスク回避(犯罪や事件、交通事故など)です。これから作るグラウンドが2つの要素にどのように貢献していけるか、こういった視点がこれからスポーツ施設 をつくる際に求められてくると話していました。

今日のテーマであるコンセプト策定ですが、一体施設にコンセプトがあるとどういったメリットがあるんでしょうか?
加藤さんは2つあると話しました。

1 施設の本質を話せるようになる

「なぜあなたはグラウンドをつくるのですか?」と問われた時、地元のサッカークラブが練習する場所を必要としているからというような答えを聞くことがありますが、 大切なことはその本質です。コンセプトがあると、イソップ童話「3人のレンガ職人」にあるように、レンガを積む先にある目的=グラウンドをつくる先にある目的を明確に話せるようになります。

2 スタッフも同じビジョンを語れるようになる

施設で働く人たちの中で、見ている方向性が全員違うと組織的にまとまりが持てなくなります。しかし、コンセプトを共有することによってスタッフ全員で同じ方向性に向かって前に進むことが可能になります。

そしてここから、本題であるコンセプトづくりのワークが始まりました。5つのフェーズに沿って進んでいきます。

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短い時間でしたが、参加者の皆さんにとって非常に濃密な時間でした。参加者より出ましたいくつかのコンセプト案を紹介させてください。

「このグラウンドがあるから、ここで生きていく。」

「フラットな関係で、フラッと寄れる場所。」

「芝生とスポーツと憩いの場で、人生に潤いを。」

ここに挙げた3つの他にも、本当に素晴らしいコンセプトが沢山ありました。いろんな叶えたい想いや理想が集まって生まれるオリジナルのコンセプトはきっと沢山の人に共感を生み、施設を利用する沢山の方たちに活力を与えるはずです。


「施設のコンセプトを策定する」というワークをそばで見ていて、こんなに頭を使う作業なのかと実感しました。もちろん、施設を作って運営する上での土台となる要素なので十分に時間をかけて仲間と議論し合いながら策定する必要があります。今回の教室では時間が限られているので、アイデアを出すという側面から見ても、実際はもう少しハードなのでしょうが、大の大人の方たちが頭を悩まし、ああでもない、こうでもないと考える姿には、何というか迫力を感じました。スタッフとしても参加者の皆さんから学ぶことはあったし、参加者の皆さんにとっても、内容の濃いワークになった事になっていたら幸いです。

なお、love.fútbol Japanでは、サッカーグラウンド・フットサル場をつくる方に向けて、こうしたワークショップを通じて施設のコンセプトづくりを共に進める事業を提供しています。ご興味あるかたはぜひお問い合わせください。

次回7/9(火)は、「土地種別の法律・資材選定・芝生施工などロジスティックのすべて」というテーマで実務的な内容に入っていきます。グラウンドを作るうえで法律の問題などは、避けられないテーマになります。次回も、また濃い内容になりそうで楽しみです。

<2020年10月開講:サッカー・フットサル場づくりの教室詳細はこちら>




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<love.fútbol Japan>
https://www.lovefutbol-japan.org/


文:
伊佐治 慎梧
note: note.mu/bemyself_shingo
Twitter: @xs_bemyself










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