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立方体の思い出② 「横山 ちきゅう」#毎週ショートショートnote

誰か聞いてたらよう、俺の話を書きとめておいてくれ。
俺にくっついてる人間が俺の半生を勝手に想像して、さも、これが宇宙の、地球の歴史ですみたいな。

お前ら見たんか?
俺はな、最初は球ちゃうで。
初めは四角や!そう『立方体』や。お前らが言うところの。

なに?星はみんな丸いって?それは今やろ?たかだか3万年くらいの記録しかないくせに、偉そうに何わかったようなこと言うてんねん。

最初はな、みんな四角でくるくるしとったんや。四角いとな、軸が安定せんとふらふらするやろ。それで星同士がぶつかるやろ。そしたら角がちょっとずつ削れてな、それでだんだん丸くなっていったんや。わかるか?俺らはな他の星と切磋琢磨していったんや。

それをなんや?お前ら勝手な理屈で俺の身体で好き勝手しやがって。
えーか、よう聞けよ。
身体張って、身をお互いに削り、丸くなって互いに引き合う。
これが道理や。
えっ?四角はなんでできた?
そんなもん俺かて生まれる前やからしらんわ。以上。

完412文字


たらはかにさんの毎週ショートショートの企画、今週のお題「立方体」「の思い出」に参加させていただきました。2本目です。

破天荒な天才漫才師、横山やすしさんがよく、ご自分の主張をされたあとに「以上」と締めていたのをお借りしました。
内容があるような無いような話ですけど、人も国もそれぞれいろいろあるけれど、ぶち当たってお互い壊れてしまうのではなくて、芯が一つの丸になっていい引っ張り合いで存在できるようにならんのかなと思います。話題を掘り下げる意図はありませんのでこれ以上も以下もなしのフィクションでお願いいたします。
以上



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