旅の始まり。
9歳年上の夫の事を私はKOUちゃんと呼んでいた。
可愛い熊のぷーさん🧸見たいな人で優しい人だった。
両親を中学3年生の時に相次いで亡くした彼は、お金持ちでは無かったが自立していた。
料理、洗濯、アイロンがけ、ご近所付き合いも上手にこなせる、私と真逆の人間だった。
私が出来ない事を責めることもなく、夫なのに母親みたいな存在だった。
ただ一点、結婚当初から60歳で亡くなると思うと告げていた。
父親が亡くなった歳と重ねているのだと思っていた。
中学生の頃から生きる意味を見出せなかった私は、生に対する意欲はなかったので、彼より早くこの世を去るだろうと軽い気持ちで思っていた。
ノストラダムスの大予言の年が39歳。39歳迄生きたら御の字だと思ってた。
結婚、当初は体調が特に優れなかったので、彼の存在はとても大きかったし、ソレ以降もカレの優しい性格に甘んじて平和な日々を過ごす事が出来た。
子供が出来なかった事も有り、私は子供の様に大切にされた。
遊び相手にとトイ・プードルも飼ってくれた。
そんな生活が、ある日突然に終わりを告げた。
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