キャストリアが引けた話

 「待て、しかして希望せよ」とは、このことなのだと思った。
 2022年5月18日水曜日、2500万ダウンロード記念のキャスターアルトリアピックアップが、終わろうとしていた日のことだった。

 10枚の呼符。午前4時、記念ログインボーナスとの名目でマスターのプレゼントボックスに配られたそれが、私の持てる最後の手段だった。5月17日時点で、聖晶石も呼符もすべて吐き出した。聖晶石の破片すらない。石欲しさにストーリーを進めようにもアフロディーテが倒せない。私のカルデアに耐久出来る鯖はいない!!(ウェイバー君……マーリン……ジャンヌ……おいでよ……!待ってるよ!!)(デメテルで石割った直後に頑張ったらいけそうなアフロディーテで石割りたくないし……オリュンポス難しすぎない????)
 野球で言ったら、九回裏、ツーアウト満塁、ここで打ったら大逆転の大チャンス。運営の手から平等に配られた救いの手。その手を掴めさえすれば、キャストリアを引けさえすれば、大体何とかなることを私は知っている!!!!

 ログインしてプレゼントボックスから呼符を受け取る。そうして、1枚1枚引いていく。スマホのひんやりとした冷たさが、まるで、呼符の持つ冷たさのように感じられた。星3の鯖と概念が積みあがっていく。でなかったらどうしよう。そんなどうしようもない不安と来てくれるかもしれないという期待。はやる心と連動するように、スマホが俄かに熱を持っていく。キャストリアが来なかったという絶望に怯えながら呼符を引く。金の光も、虹の光も見えない。キャストリアは来ない。そんな絶望に押しつぶされそうになりながら、でも、心のどこかでキャストリアの現界をかすかに信じながらガチャを回していく。スキップして、スキップして、スキップして、その先に────彼女はいた。

「待て、しかして希望せよ」
 エドモン・ダンテスが得意げに笑う。九回裏、ツーアウト満塁、ピンチ中の大ピンチ。そんな中、勝利の女神キャスターアルトリアは微笑んだ。私は人権を手に入れた。逆転ホームランをかっとばしたのだ!!!

 ねぇ、キャストリア。あの、どうしようもなく美しい愛と美の女神アフロディーテを、空の上で偉そうに見下ろしてくる全能神ゼウスを撃ち落として、異星の神とやらの空想樹を切り倒して、異聞帯を一緒に滅ぼそうね!!!!!!

余談 呼符引く前に、金回転で武則天とマリーがすり抜けました。可愛いけど、可愛いけどさ!
バーヴァンシーピックアップって聞いたんだけどな!!!!

もひとつ余談 種火がない……

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