日本の「超過死」についての注意事項

国際比較に使える唯一の指標「超過死亡」で明らかになる実態 - 新型コロナウイルス情報室 - Quora

この記事にて、日本の新型コロナによる超過死の推定にインフルエンザ関連死亡迅速把握システムの値を参考にしていますが、止めた方がよいと思われます。あくまで参考値にとどめ、今後出てくる詳細な値を待ってから議論する方が良いです。

上記記事では、4月27日時点の東京の数値を使っていますが、理由が分かりませんが、今年の9週以降の数字は何度も見直されています。もしかすると、今年の把握が難しいからかもしれません(新型コロナの影響かもしれませんが、わかりません)。このサイトの注意事項を見れば分かるとおり、サンプル調査に係数をかけた物であること、また後から過去の値に修正が入ることがあることは言われていますので、なるべく最新の閲覧の値がより正しいと考えてよいとは思うのですが。(念のため、大前提として、各都市の報告値は推計値です。インフルエンザ関連死亡迅速把握システムに、はっきり以下のように記述されています。

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当該ページは、原則的に当該シーズンには毎週月曜か火曜あたりに更新されるのですが、毎週全都市について1週分のデータが追加されるわけではなく、報告がない週・都市はよくあります。

で、3月末頃から時々見ていたのですが、遡って更新されることが何度かあったのです。すべての数値を全部出すことは出来ませんが、Wayback Machineを見ると、

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上図は2月末のページ内容です。

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上図は3月末のページ内容です。8週までの値が大幅修正されています。

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上図4月7日の内容。5-8週の値が微増。9週の値は微減と思われます。

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上図は4月14日の内容。6-7週が微減、8週の値が微増しています。

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上図は4月23日の内容。1-5週の値が動いていて、6週以降の値は変わっていなさそうです。

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上図は4月28日の内容。8週目が下方修正、9週目が上方修正されています。

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上図は5月7日の内容。データは変更なく、図注の文章が「8,13週の超過」から「8-13週の超過」に誤記が修正されています。

基本的には最新のデータほど信頼度が高いと考えてよいとは思いますが、過去の例を見ると、9週以降あたりのデータが遡って変更される可能性は十分にありそうに見えます。

東京都感染症情報センター » 東京都感染症週報を見ると、最新のデータで、第17週(4/20〜4/26)を見ると、これも全数調査でもなければ全数推計でもないんですけど、

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インフルエンザ関連死亡迅速把握システムの9週以降の超過死推計値で増加が出ているその超過分の中に、インフルエンザでの超過死が混在しているとはちょっと考えにくいと思います。だからといって迅速把握システムに出ている9週目以降の超過死を全部そのまま新型コロナだと仮定すると、9-13週にかけて、閾値に対して5週連続20-30人の死者が東京都で新型コロナで出ているという解釈になってしまいますが、現在まで報告されている新型コロナの東京都内の感染者数推移や死者数推移とも一致が悪いように思われます。

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東洋経済の新型コロナデータページから。上は全国。下は東京都。いずれも日次データ。3月中に毎週大量に見逃しがあったのに、4月にかけて見逃しが急に経るというのは、ちょっと考えにくいですね。仮に、「インフルエンザ関連死亡迅速把握システムで出ている超過死を全部新型コロナ死とみなしても、超過死はそんなに多くはない」という程度であれば言えなくもないかもしれませんが、あまり精度の高い推定とは言えないように思います。慌てずに、別のデータが後日出てくるのを待つのがよいと思われます。

もう一つ補足として、21大都市合計ページに現れている数値は、報告のあった都市のデータの単純な合計ではない模様です。21大都市の合計が例えば10週まで表示されていて、各都市からの報告が10週まである都市と、8週までなど不足している都市があったら、21大都市の合計値が見かけ上、大幅に減じてしまいます。おそらくそうならないように補正をかけていると思われます(もちろん、報告のない都市で報告のない週に大幅な超過死があった場合などには、おそらく21大都市の合計値ではそれは反映されないということにはなると思います。詳細はSuperRareMetalさんのツイートにある通りです(以下に示します)。

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