アベノマスクの効果について

「アベノマスクのおかげでマスク不足が解消された」

とか、

「アベノマスクと安倍政権のマスク増産によってマスク不足が解消された」

という言説をよく見かけるのですが、きわめて怪しいので、それに関係することについて触れます。

そもそももって、マスクの需要量に対して、主要輸入元だった中国が国内でマスクを使用するために輸出が減って日本で供給が減った量に対して、アベノマスクの量や国内で増産した量は全然足りません。その上で、コロナによる需要増があったんです。

アベノマスクによる布マスクへの移行を促した説もあって、その効果がゼロであったとまではいえないものの、それが不織布マスクの需要を従来より減らすほどであったか、不織布マスクの需要全体から観測可能なほどでかかったかどうかというと、きわめて怪しい。

上記のうち、すでにリンクの切れてるNHKの記事は店頭のマスクはどこから?

2020年3月度 市販薬(OTC)市場 薬効別ランキング|プレスリリース|NEWS|株式会社インテージヘルスケアより、以下の画像

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「謎のマスク売り」10枚1000円、移動販売相次ぐ…その背景は|【西日本新聞me】

「中国側から“売り込み”が」マスク輸入業を始めた男性が語る、店頭に並ばないカラクリ:時事ドットコム

マスクの値段がGW明けに一気に下がる? 業者が「戦後の闇市のよう」と語る理由(文春オンライン)

金券ショップにマスク山積み 突然現れた「仲介業者」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

「マスク500万枚売った」 中国人業者が明かした事情 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

商店街のマスク露店、半月で消えた「利益ほぼなかった」

厳密には、日本のマスク需要全体を把握するためには、布マスクの使用規模、生産量もわからないとアベノマスク効果の有無を完全にいうことはできないと考えられるのですが、布マスクの生産量についての今回の議論に使えるレベルの統計はおそらく存在しないのではと思います。参入業者も一気に増えたり手作りもたくさん出回りましたしこの時期。それでも、アベノマスクがなくても布マスクの需要は増えたと考えるのが自然で、アベノマスクでそれが押し上げられたとしても全体の不織布マスクの需給にはほとんど影響がないと考えるのが自然でないでしょうか。

他の重要参考記事としては、以下をご覧ください。

アベノマスクによる在庫放出論について - 電脳塵芥

信州戦争資料センター・倉庫 長野県から伝える戦争の姿 歴史を検討する手法で不織布マスク値崩れの背景を検討してみた

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