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20240103

バルーンアート漫談家の
ヘリウム田辺さんと
年末年始を過ごす形になった
田辺さんは近所の商店街振興組合の
催し物でピエロ仕様の外国人の
バルーンアートに魅せられて
この道を志したそうだか
これまでで一番ウケたネタが
場末のスナックの周年イベントで
スベり散らかしたあとに
ヤケクソ気味にヘリウムガスを吸引し
普通に締めの挨拶をしたのが
一番の笑いであり
その思い出からバルーンアートを
想起しにくいがこの芸名となった
稀有な人物である
芸名の件だけでなく
稀有なエピソードに事欠かない田辺さんは
最近まで街中で姿をみせなかった期間も
いい女ができたらしいとの噂があったが
そのいい女も6件の詐欺容疑で
全国指名手配をされていた
100㎏超級の50過ぎの女の人らしく
その6件ともに被害者ときたら
寝たきりの認知症男性老人ばかりらしく
なぜ7人目の田辺さんが…と
警察当局は困惑していた
田辺さんはといえば
不治の病で奥さんを看取るかの如く
警察署内で号泣し取り乱したらしい
その自覚の欠片もないタフガイ田辺さんが
この年末非常に落ち込んでいた
しかもそのストレスからえげつない
吃りも発症していた
ひどい吃りで通常の倍の時間を労したが
鍋を突きながら聞いてみると
これまではある意味やさしい客である
幼稚園や保育園、老人介護施設を
主戦場として選んでいた田辺さんは
一念発起し大人を自身の顧客層にしようと
アダルトな演目にトライして
活動の場所を成功事例の夜の店にと考え
バルーンを膨らます中でひとつだけ
コンドームを膨らますネタを編み出した
12年の拙いキャリアの中で
初めて自分を褒め称えるような
作品が出来た感覚になった年の瀬
いつもの幼稚園のクリスマス会と
夜のスナックの忘年会ダブルヘッダー
最高傑作を夜に発表すると意気込んだ
数多く幼稚園訪問をしていた田辺さん
これまでの中でも会心のバルーンを
クリスマス会において
冬季オリンピックのスノーボーダーの
ように決め園内のボルテージ最高潮
普段お金ない田辺さんは
今まで一度も実施したことない
ではみんなもバルーンをつくってみよう

数分後に園児達は泣き叫ぶ
見た事もない膨らみ方をする
柔突起を先端部につけた
肌色のバルーンが
幼子の汚れない息で
生成されたのだ
その場をまかされた若き保育士らも
どの表情で
園児達の口腔から取り外すのか…

ヘリウム田辺が見せた景色

ブチ上がろう 田辺さん

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