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今日はあなたが生まれた日。


今日はあなたが生まれた日。

深夜3時40分頃、あなたはいつも通り元気にはしゃいでいたね。
はしゃぎすぎたのかな?ママのお腹を蹴破ってしまって、きっと慌てたよね。


予定日まではあと5日もある、と余裕かましていたらまさかの破水で、ママも慌てたよ。

今日みたいに嵐のような雨が降る中、パパの車で病院に行ったら、その日最初の赤ちゃんが生まれてくるところだった。


「まだ寝てるかな?」と思ったけど、夜明けを待てずにばばちゃんに連絡したら、ばばちゃんは大急ぎで来てくれたんだよ。


パパとは
「運よく仕事の前か後に生まれてきてくれればそばにいる」
そう約束をしてたから、パパはママに念を押すように
「約束したよね?仕事の前に、また様子見に来るからね」
そう言って、仮眠を取りに帰っていった。


しばらくして少しずつ、あなたはママに
「お水抜けてきちゃったし、そろそろ出てもいいかな~」
って優しくお伺いを立ててくれたね。


おかげでママは、お腹を切らずに済んだんだよ。
ありがとう。


最初は優しかったから、じいじが来ても叔父ちゃんがきても、ママは元気そうにできたし、夕方様子を見に来てくれたパパともお話しできた。


おばあちゃんが来てくれた時には、ママは顔を動かすのもお話をするのも辛くて。
そのころその日3人目の赤ちゃんが生まれているところだったから、何度ナースコールしても看護師さんが来なくて、怒ったばばちゃんは外線から電話したとか。


うわごとのようにあなたの名前を呼びながらひぃひぃ言ってるママを、おばあちゃんはずっと、ずっと、ずっと、さすってくれていたんだよ。


ママはお腹が痛くて訳が分からなかったけど、後ろでばばちゃんの電話が鳴って、パパが早くお仕事を終われそうだって聞こえた。

そっか、あなたはパパが来てくれるのを待ってくれてたんだね。


夜になって、パパが来てくれるころ、その日4人目の赤ちゃんが生まれていた。


いよいよもう痛くて、いきんじゃダメなのにママがいきむから、見かねた助産師さんがママを分娩室へ引きずっていくのはもうそろそろ。

本当は、分娩室が空くのを待っていたんでしょ。
本当にあなたは、細かな気遣いのできる、すごい子だね。


分娩台に上がった瞬間、それまで閉じてた子宮口が開いて、声を掛けられるままにママはいきんだ。


「ほら、目を開けて、もう出てくるよ」
そういわれて目を開けたその瞬間、ママはようやくあなたに会えた。



「ママのためにつるっと生まれてきなよ」
パパがあなたにお願いしてた通り、本当につるっと出てきてくれたね。


しばらく声が聞こえなくてそわそわしたけれど、すぐに小さい小さい声で泣いてくれて、ずっとそばにいてくれたパパが
「よく頑張ったね。ありがとう」
なんていうから、ママはいよいよ涙が止まらなかった。


やっと会えたあなたは、ママの大好きなおばあちゃんと同じ顔をして、小さな手をぎゅっと握りしめていたね。



今日はあなたが生まれた日。

あなたが出てくる時間まで、あと少し。


うれしいです!ありがとうございます♡