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股旅NORTH_day1_札幌

私は旅が好きである。こんな名前で活動してるぐらいだ、そりゃもう旅がしたい人間である。

ずっと見てくれてる人は知ってると思うが知らない人のために一応言っておくと、よくいる海外アゲ日本サゲのウェイ系旅行好きの方々とは違い、私の場合は都会の生活で凝り固まった心身を浄化しに見ず知らずの土地へ赴き、赴きはするものの、観光など特にせず自分の居場所を見つけぽつん、と過ごしながら静かに内省活動を行う言わば「ダウナー系旅人」であるということを知っておいていただきたい。
それなので私の旅する先というのは国内外問わず寂れた土地が多い。

さて、前置きはこのへんにして。
折からの情勢不安により旅が出来ずにいたため、気付いてみたら季節に一度は行っていた海外には約2年、国内の旅ですら1年半も出来ていないというストレスで禿げそうな状態になっていた。(最近本当に脱毛症を患っている。恐らく原因は他にあるが便宜上ここは旅が出来ない故のストレスということにしておこう)

多くの旅好きの方がそうであろうと察するが、ここまでのブランクはかつて経験がない。
文字通り非常事態、緊急事態というやつなのだろう。
そんな中、いまだ予断を許さない状況ではあるもののほんの少しだけお上が縛りを緩めてくれたこのタイミングを置いて他にないと今回1ヶ月近くに渡る北〜東日本を舞台としたさすらいの旅を敢行することにした。

構想段階で那覇をスタート地点とした南ルートか、札幌をスタート地点とした北ルートかで悩んだがとある理由があり北ルートを採った。
というのも……実は現在のところ「最後の旅」が暫く前にお別れした元恋人との北海道旅行(2019年秋)だったためである。
約2週間道内をキャンプしながら周ったとても思い出深い旅で、最後の旅をした場所から「また旅を始めたい」「股旅を始めたい」などというダブルミーニングな思いつきというわけだ。

今回の旅は久しぶりの一人旅。
決めているのは「4月5日に札幌に入る」「同26日に東京に戻る」、たったこれだけ。
ここからどんなルートを辿ってもいい。
鉄道、バス、フェリー、何を使ってもいい。
ホテル、旅館、野宿、どこで寝てもいい。
ただ、路銀だけは自らの生業である写真で稼いで旅を続ける資金としたい。
口座に僅かにお金は入っているがなるべく手をつけたくないぞ……と。(クラファンをしなかったのは出来る限りこの旅を自然体、成り行き任せなものにしたかったからだ)

そこでTwitter、Instagram、Facebookなどを使って呼びかけたところ有難いことに写真を撮らせてくれる方が何人も現れた。1人1時間のスナップショットで1万円。
何とか旅を続けられそうである。
情報拡散にご協力をいただいた皆様ありがとうございました。感謝しています。

さて、新千歳空港行きの航空機。
雨が打ちつける窓のむこうは離陸してまもなく真っ白な霧に包まれた。北へ。最後の旅から1年半。睡眠不足のせいかすぐに眠りに落ちる。

機体が着陸のため降下に入るとのアナウンスで目を覚ますと、外は青空と雲海。

新千歳空港に到着……寒い。
今日の東京の最低気温よりも遥かに寒い札幌。東京の2ヶ月前、2月初旬ぐらいの気温らしい。
簡単なキャンプの準備もしてきたが、この寒さでキャンプなんぞ出来ない。せめて北海道を出るまでは屋根の下に泊まらねばならないという危機感を覚える。

以前は新千歳空港を使わなかったので、北海道に戻ってきた実感は札幌市街に着くまで湧かなかった。その実感に包まれたのはすすきののニッカウイスキーの大看板を見て、狸小路に入った時。

ここを1年半前訪れた。
悲しさに似た高揚感。
あの時ラグビーW杯の外国人客で溢れ返っていたこの道も、今はこんなに人がいない。

あの時は開いていた気がする、じいさんがやってるビリヤード場も閉まっていた。

元恋人と二人で歩いた道。一緒に見上げた2階の店。まだ少ししか経っていないから記憶も鮮明だ。感慨深く街を歩いた。

セコマ。日本一メシのうまいコンビニ。
北海道にいるうちに寄ろう。

本格的に旅を始める前のこの初日に思い出に浸るということをしたかったので個人的にとても満足できるスタートとなった。


撮影依頼を頂いた皆さんとお会いするのは明日以降。どこで何をしたか、可能な限り毎日レポートするつもりなので是非チェックお願いします。

5.apr.2021
石本一人旅

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