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#7 〈夜〉― 条件として


朝はいつだって退屈。

赤銅のような朝の陽をかがやかせながらわれこそ正義といった感じで

朝はなにものかを瞬き殺してゆく

夜に浮かんでいた幻想とか星粒とか水母とかひかりの花々たちは

どこへ?


ぼくは祈るように目を眇め、観察する

世界は、不可視の幻想で満ちていて、

夜はひとつの条件であった

それは愛すべき想像力



ピアノのかるい打鍵、跳ぶように走る人々、大衆棺桶のようになった列車たち

幻想は不可視のまま、ぼくは死なないし、空も飛ばない。

けれども。

夜はひとつの条件であった

それは愛すべき想像力。