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【緊急受命】ローネヴィナッチャ4本

管理人からのご要望でございまして…ツール類関係はまた今度。

今から2年前、ヴィナッチャのマンドローネ4本が一堂に会した日がありました。オルケスタシンフォニカ東京(以下「OST」)所蔵の2本、(当時)福冨直氏所蔵の1本、ワタクシの1本。その後、何やかんやで4本全て演奏会で弾いただけでなく、それなりの期間、自宅にも置いたりしたのですが(えへん)、一堂に会したのはこの日だけでした

その日からのご縁以降も4本それぞれを弾く機会を頂きまして。今回はその機会で得た見た目(写真)や弾いた感想を軽く?書かせてもらいます。もっとも過去FBに書いたものの焼き直しでかつ自慢話ですが…まったくもってすいません。
なお、「あくまで個人の感想等」であることをご了承ください。

1 OST所蔵ライオンヘッド

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ローネ弾きならおおよその方がご存じのマンドローネの秘宝。基本的にOST定演のみのご開帳なので一般人(?)が目にするのはほとんどないのが実態。ご縁でOSTからの賛助依頼があり、畏れ多くもその日、写真撮影&試奏を許可頂いたのでした。

【構えてみて】
楽器を構えたときズシンと重さを感じました。間違いなく4本中1番重いです。ライオンヘッドがあるだけに。
胴体やや白色、細いネックや12フレットの位置(胴体部よりブリッジより)、楕円の割と大きい楽器ホール、が特徴でしょうか。また、胴体部の厚み(奥行き)が4台の中で一番薄く、楽器を抱え込みやすい仕様。
ただ、自分は太いネックに慣れているためか1,2フレットが押さえにくいのが欠点。これはネックが細いだけではなく、弦高が低すぎて発音とうまくリンクしないのも。また、ハイポジになればなるほど弦高が高くなっており、ローポジとまた違う意味で弾きにくくはなってます。ブリッジはむしろ低いので、楽器がホールに向かって凹んでいる?とも言えるのですが。

【弾いてみて】
4本の中で一番張りが固く、構えた場所で聞くとカラカラスカスカな音。ハズレか?と思ってました、当初は。が、遠くで聞くと通った音がダイレクトに聞こえるそうで、ヴィナッチャらしいというか、弾いてる感じの少ない奏者泣かせの楽器であります。音は軽いです。
実は今年のOST定演での使用許可があり(弾く人が0になったとのこと)、今年1月からお借りしたのですが、新型コロナに伴う定演の延期に伴い返却したため、12/14現在手元にありません。
が、定演前の試運転という名目で、2月のとある演奏会での使用が許可されてましてさりげなくオモテに出ております。どんな音か(活用できてるか?)を知りたい方はこちらへ(宣伝)

【蛇足】
棒穴の縁にある黒いやつの謎を知りたい…

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2 OST所蔵その2(仮称 Second)

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OST、実は2本所蔵されておりまして、ライオンヘッドの影となってる目立たない存在でありました。…と思ったのは最初のときだけ。

【構えてみて】
ライオンと比べて「楽器は割と飴色」「ネックは太い」「楽器ホールが丸く上のほうに存在」が、ざっとした特徴。胴底から表面板までの厚みは4本の中で一番深く、抱き応えは十分。

【弾いてみて】
ライオンヘッドほどではないですが、やっぱり張りは固めで。ただ、ライオンヘッドと比べ、楽器はしっかり振動してるので弾いてる感は大。個人的にはライオンヘッドより演奏面での総合力は高いと思ったり。ライオンない分軽いし。欠点としてはブリッジの芸術性が高すぎる点でしょうか。トレモロした時、脇の彫刻?に手が突き刺さるのですが…。勝手に取り替えるわけにはいかんですし…。

Second楽器ですが、OSTで弾き手がいなくなったので「翌年(令和2年)の演奏会で使ってみない」と言われ借りることになりました。基本はOSTでの使用に限定されますが、試奏&楽器のお目覚めをさせてもらいたく、許可を得て、とある演奏会で表に出ております。
どんな音か(活用できてるか?)を知りたい方はこちらへ(宣伝)

※ローネ4人で自分だけひな壇なかったのですが、音ぶっ飛ばしすぎという楽器の異常性によるものです。
※Second楽器貸与後の翌年1月にライオン貸与の話がでております。掲載順と時系列が逆になっておりますのでご注意ください。

【蛇足】
穴の黒い縁もそうですが、所々にある小さい穴の謎も知りたい

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3 総じてOSTローネ

日本にもヴィナッチャローネが点在しているのですが、OST所蔵のローネが素晴らしかったことは「当時のままが残っていること」でした。ヘッドやネック、ボディの折れや破損がなく、ニスも当時のまま残っています。氷漬けのマンモスが出土されたと言っても過言ではありません。これだけでもOSTが所蔵楽器をいかに大事に保管してきたか、を知ることができました。かつては持って帰るのも禁止だったそうで、うらやま…もとい、厳しいですよね。
演奏面はもちろん、骨董的学術的にも非常にレアな楽器であると同時に、今に至るOSTのスタンス及び過去奏者の愛に身が引き締まる思いでありました。

4 MYローネ(愛称白ビナ)

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かとうヴィナラベル

MY First ローネです。自分としては、一生どこからか楽器を借り続けるつもりだったのを、東京の相当飴色楽器揃えてます系楽器店のDMからの購入でした(いっとこ!! 以下略)。当時の記録的なユーロ高のため、日本円換算でエラく高額になってたのはしっかり覚えてます(マ界師匠所有のヴィナよりは安いはず…)。なお、この楽器をどうやって入手したのは、企業秘密なのか現地調達以外、詳しくは知りません…。
購入に当たって、最高弦のフレットの24への追加をお願いしました。なお、今までの過去最高使用フレットは23。

【構えてみると】
この楽器の一番の良さは、マンドリンに見えてもおかしくはないその造形美と思います。マンドリンにビックライト当てたんじゃないかと疑うくらい。
ただ、奏者にとっては楽器の横幅がありすぎて抱え込みにくさ&右の弾きにくさを感じます。胴の深さがもう少し浅かったら良かったのですが…。

【弾いてみると】
弾きやすさはダントツですな。一番張りが柔らかいし、ネックも細身。チャルダス弾くならこの楽器が最適解、みたいな。ただ、音質は軽いです。コントラバスがいないと低音楽器にはなりにくいかも。太いネックに慣れちゃったのでローポジの握りにくさを感じたり。あと、12フレットといったハイポジでの指が届きにくい。これも造形美の短所かしら。

【蛇足】
我が子自慢になりそうなのでこのへんで。

5 福冨直氏前所蔵MYローネ(愛称黒ビナ)

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福富ヴィナラベル

(単独写真なくてスイマセン…奥側です)
ビアンカパパこと福冨直氏が現地で買い付け、修繕し、そのまま保管していたものを、ワタクシがビアンカフィオーリに入団の際にお声がけ頂き、以後、弾かせて頂いた楽器。20年弱借続けた末、今年1月購入(というか入金)。自分が今もローネ弾きを続けられたのも、所蔵品でもあるこの楽器を、他人にも係わらず貸して頂いたおかげであります。自分もその恩を返すため、静岡在住の未来ある奏者に貸しておりますが弾いてるんでしょうねえ(ΦωΦ) ギラ。

【構えてみると】
前述のSecond楽器と同じ「楽器飴色」「太いネック」「上寄りの丸い楽器ホール」の形状です。同一モデル?。一番長く弾いてるので、今でも一番しっくり構えられます。横幅がこじんまりしてるのも大きい。ただ、ネックは太いので速いパッセージは不利でしょうか。

【弾いてみると】
4本の中で一番「低音らしい」音がします。総じてヴィナッチャは音は飛ぶけど音は軽い特質をもっていますが、この楽器はコントラバスに近い音質の深みがありますね。もっとも、日常は、音飛ばすためにビッシビシの我利我利に弾いてましたので、楽器には少し申し訳ない気がしておりますです。

【蛇足】
この楽器には感謝感激雨あられであります。大合奏から小合奏もこれ1本、最低弦をA→Gに落として試奏した最初の楽器でもあります。あと、全弦4度下げコントラバス調弦でのソロ楽器としても活躍してくれました(宣伝)。

ヴィナッチャの低音楽器というよりも低音楽器にしてヴィナッチャという類い稀な楽器だと思っております親バカ。

6 最後に

以上、4本のレポート?でした。結局は自慢話に終止する話なので、色々すいません…な文章ですが。本当はSagamiくんよろしく、寸法とか詳しくレポートすべきなのですが、ホントに珍しいことに手元に4本の楽器がなく、誠に申し訳ありません…。
他に点在するヴィナッチャローネは分かりませんが、この4本のうち3本が1924年か1925年の制作になってます。このあたりがイタリア極低音の黄金期なのでしょうかねえ。


日本にヴィナッチャローネは11本あると言われてます。実は他にどこかの土蔵に眠ってるかもですが、まずは都市伝説的な11本を解明したいものですね|ω・`)チラッチラッ

以上です。ありがとうございました。







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