見出し画像

同人小説の初歩っぽいもの

小説ってどうやったら書けるの?

書けば書けるとしか……。
というのは流石に無責任だなあと思いつつも、こうとしか言えなかったので、起承転結とかストーリー構成とか以前に書けねえ!って人向けに思考整理で書いています。Tips的なものを意識して取り上げるようにはするけど、そこまで当てにならない。何故ならこれは備忘録だから!!
言語化範囲が増えたらたまに増えます。

ちなみに筆者はdpkだからウケがいい文章とか神字書きの脳内みたいな上手く書く方法は知りません、私が知りたいわ。


もうちょっとまじめに本記事の位置づけ

大体小学校高学年以上・二次創作初めて作るくらいの前提で、ド初心者向けに書きます。違う場合はなんとなく脳内補正してね。

たぶん役に立つ人

・全然書いたことない、書いてみようと思ったがとっかかりが無い
・なんか書いてみたけどト書きに毛が生えた、設定資料に毛が生えたくらい
・いわゆる物語っぽい文章を書いてみたい
よくある小説の書き方読んでもピンとこない、それ以前が聞きたいって人を想定しています。

たぶん役に立たない人

・曲がりなりにも何回か書けた人
・もっと評価されたい、いいねほしい、ブクマされたい、みたいな人
・プロ
こんなん読んでないでまずは書け。メモ帳開いてネット切れ。
お前は偉いからもっと書け。
・ビジネス文書やいわゆる説明文が書きたい
畑違いなんで別のもの見てください。ネットにいっぱいあります。

はじめの一歩:ネタ帳を出力する

「何書けばいいかわかんない」
私が出力沼に引き釣り込もうとするときはみんな最初にこう言ってた気がする。でもなんだかんだ色んな形で全員なんか作る側に行きました。安心して飛び込むといい。
なんとなく見ていると、大体は作り出す前に「このシチュエーションいいよね」とか「このネタ好きかも」とかの発言が増えたりネタ帳作ったりし始めるとそのうち作っている気がするので、まずは水辺チャプチャプのノリでネタ帳を作ろう

好きなものをメモる

なんか作品を見たり読んだり聞いたりしたときとか、他の二次創作見た時とか、外歩いたときとか。好きだなあと思ったことを気が向いたときにメモる。
主語述語とかも気にしなくていいし、後から見返したときに分からなくてもいい。
実際にネタとして使うというよりは、この作業自体がアンテナを磨いたり創作メンタルのセットになったりするので、スランプな時にも使えると思う。

あるあるネタを翻訳する

よくある「曲がり角でイケメン転校生とぶつかる」とか「エロトラップダンジョン」とか「出られない部屋」みたいなあるあるネタ・シチュエーション自分の書きたいキャラだとどうなるか考える。いくらベタでもOK、この時点では「このキャラである必要なくない?」とか要らんこと考えない
なんなら別に書いたときもそんなこたぁ気にするな
この辺りからネタ帳っぽくなるけど、別に使わなくてもいい。ここで身につけるのは、「キャラをシチュエーションに当てはめる過程で理解を深める」「ネタを書き留める」くらいまででOK。
絵描きで言うならポージング練習にちょっとキャラの髪型とか服とかをラフで描き入れた感じ。字に3Dモデルはないので、この作業を通して自分の中にキャラのモデルを作る、みたいに考えるといいのかもしれない。

思いついたネタを書き留める

もし上の作業中に「関係ないけどなんか出てきた」ってなったら大成功!
面白いかどうかとか何も気にせず最優先で書き留める。何故なら現時点で一番面白いオリジナルネタだからです。このメンタルが大事。
そのうちふとした時にネタが出てくるようになる。これでお前もこっち側だ。ようこそ!

無限に高いようでハリボテの壁:なんか書く

書く前はとても高く見える壁だが、一度書いてしまえばなんてことはない。形式や出来を問うから書けないのであって、まずは書こう。なんでもいいから!
ここで想定しているのは100字前後の怪文書。多い分にはいくらでもOK。ギリギリ100字未満でも私が許す。というか別に50字くらいでもいい。四捨五入で100字だからね!あと小説じゃなくていいです。熱意の籠もった怪文書を書こう。

下にネタ帳を膨らませるいくつかの方法を挙げるが、最終的にもっと文章らしいものに仕上げるには割合こそ個々人で差があれ全部必要。頑張れ。
ちなみに、ここで使うネタは一瞬から1シーンくらいのものを選ぶと書きやすいはず。長いネタや重ための設定はある程度文量がないと逆に難しい。

方法1:ネタ帳に解説を差し込む

実はこうで」「周りがこの時点で知らないけどこういう秘密があって」とか「この時のAの心情」「この後の周りの反応」「世界観や特殊アイテム設定」とかをどんどん足していくスタイル。設定作るのが好きなタイプはここからが進めやすい。どんな意図でその設定・状況を選択したか(かわいいAがみたい、しんどい状況になったときのAを考えたいetc.)、というメタ視点も軽くメモできるとなお良い。
この工程は、レベルアップすると地の文だけでなく伏線、話の設計等派生が多いので別の方法で始めた人もたまに意識するといいかも。
もう既に書ける諸氏。冒頭で帰ってる筈なんだけどもし読んでたら、後書きで回収しないで本文で回収しようねムズいけど。

方法2:ネタ帳に会話文を差し込む

思いついたセリフが3つを超えたらこちらの方が楽。
もし可能であれば、どこでいつ(時間帯季節時系列)の情報もメモしておこう。
会話の参加人物が3人以上なら、後で見返したときに誰のセリフか分かるくらいにすること。リアクションの文を差し込んだりできれば最高だが、割り切ってト書きにしてもいい。
これも次も、レベルアップすると瞬間を切り取った掌編くらいまで膨らませられるので書いた感が出やすい。

方法3:ネタ帳に情景描写やモノローグを差し込む

死ネタの民御用達。は語弊があるかもしれないけど、登場人物が1人だったり何らかの原因で動けかったりする場合は必然的に情景描写やモノローグが必要になる。
視点を三人称(客観的)一人称(主観的)かを決めて、三人称であれば「どう(第三者から)見えるのか、直前から今はどんな状況か」・一人称であれば「どう感じているのか、何があってその感情に至ったか」を整理してから書き出すと進みやすいはず。実際に書くときは整理した内容を書き切らなくてもOK
見せ場になるポテンシャルがある部分だけど、一次二次問わずキャラへの解釈が浅い・ネタとキャラが合わないキャラブレが目立つ部分でもある。筆が進まないときは潔く次のネタを探そう。書き慣れれば上手くネタを活かして書けるけど、若葉マークのうちは別のネタにした方が楽ちん。

次のステップ:怪文書から文章への進化

書けた?!!OK、今世界で一番すごい怪文書が仕上がった。たぶん。
このくらいのテンションでやっていこう、正気とハラワタは投げ捨てるものだ。でもこれじゃ満足できないワガママな紳士淑女のためにもうちょっと"文章"っぽくしてみるTipsをおいておく。

未消化のネタを消す、あるいは新しいメモに書き写す

単純だ、見栄えを整えよう。恐らくネタ帳に直書きしていれば、前後に無関係なネタや使おうと思って引っ張ったネタや没台詞があるはずだ。それを消すだけで一気に作品っぽさがでる。どうせ書き切れなかったところとか拾い忘れたネタは自分しか知らないのでいいのです。

そして昨今、大体がスマホかPCで書いてると思うので、作品っぽく出来そうなとこだけコピペで新しいメモに貼るのが一番楽。適当なタイトル付けてると後で探すの面倒くさいので、いっそ1メモにしてしまうのもいい。

前後を書き足す

ネタ帳の中にあったときは良かったのに切り出すとそうでもないときは描写不足が原因かもしれない。
前後に書いてあったネタが補足していた情報がなくなっている分、経緯状況、キャラの心情セリフを足して補う必要がある。特に一次創作であれば、「書いていないことは何一つ分からない」を念頭に。二次創作でも「書いてないネタは伝わらない」を意識して描写を書き足していこう。
この時、もちろんネタ帳を上手く活かすといい。何度も使うネタがあってもいいさ、どうじんだもの。

違和感を潰す

パッと見なんか変……、なんか小説っぽくはない……。ってなったときは体裁・文法・文脈のどこかがおかしいことが多い。
怪文書から文章にしていくにあたり、補助輪を外し部屋着からコンビニに行けるくらいの格好になる必要がある。同人なのでそこまでうるさく整える必要ないが、ある程度一般的な同人小説ルールに則った方が読みやすい。
体裁部分で見掛けやすいものを4つ並べておくので、気が向いたところだけ採用して手直ししてみよう。文法はWebツールか何かで、文脈は自力で頑張ってというか方法あれば私も知りたい。

……(三点リーダ)や文章直後の――(ダッシュ)が偶数個か?
 後ろに句読点はあるか?

 一応偶数個で使うのがルール。余韻やセリフの尻切れ感を出すのに使っていると思うが、数が奇数、特に1個だとすぐに句読点が来て見た目がせわしない。意図がなければ偶数個にしよう。

句読点が文系仕様になっているか?
 理系だった人は要注意。横書きだろうと,(カンマ).(ピリオド)は原則使いません。横書きと言えば欧米の文学で、日本語は1字縦書きで横書きっぽくしてたのは昔々のこと。まあ、昔々とまでは言わないけど。理系論文が,(カンマ).(ピリオド)なのと違うので、ちゃんと、(読点)。(句点)にしよう。

連続した大量の改行はないか?空白行がパッと見半分以下か?
 会話文の塊があれば前後に1行空白、意味がまとまっている数段落単位で1行空白があったりなかったり、あとは視点が変わったり1話の区切りで3行~5行分くらい(2行空白1行――2行空白とかもよくみる)。これが基本なのでなんとなく念頭に置きつつ調整しよう。
 何らかの意図がない限り、画面の半分が空白行は読む方にとって流石に厳しいアフィリエイトじゃないんだからさ。
 大量の空行を使うより改ページ機能を使う方が目当ての効果が得られるかも。上手く使おう。

・意図なく口語体の地の文を使っていないか?
 1人称で書いている場合は敢えて多少音便化でくだけた表現を使うこともある。しかし、何の意図もなく使うと書き分けがしづらくなったり1人称視点と間違えられたりするので、地の文を書くときは気を付けてみよう。
・ト書き
 補助輪なので消して問題なさそうなら消す。「」頭にキャラ名がないだけで一気に文章っぽくなるはずだ。問題がある・自信がないときはリアクションを足したり心情描写を挟めばなんとかなるはず。
 逆ハー・ハーレム系夢小説は夢主のセリフを『』(二重カギ括弧)で書く文化を採用していることが多い。本来は電話や通信、手紙など、その場に実体のない登場人物のセリフの表記に使うが、夢主のセリフ特徴がわかるほど大量にセリフを用意するのは書く方も読む方もしんどい。ジャンル的にいけそうならありがたく使おう。使うなら絶対ミスらないこと。悲惨だよ。

ざっとこんな感じ。
他の有名どころだと、冒頭字下げは正直今の時流だとかなり曖昧な印象。横書きならしなくてもOK縦書きなら字下げしよう。これはたぶん紙面縦横比の都合上違和感を覚える人が少ないとか、文法以前の心理領域のなんかが理由な……、たぶんそんな感じがする。詳しくないので割愛。
!とか?のあとに1字空白入れるのも同様。これは2記号とも縦長になるので、横書きだとスペースなくてもあんまり問題ないけど、縦書きだと点の部分が次の字に近くて読みづらくなるときがあるとか、割と実用的な理由と思っていい。実際は知らんけど。字が離れると心千々に乱れてしんどい私のような人は、半角スペースでそれとなく誤魔化すという手もある。1字空白はちょっとデカいよね……?私だけか?

公開する、あるいは完成させる

手元にあるといつまでも手直しできてしまうので、公開するなどで一区切りつけよう。ひどい誤字脱字はこっそり直してもいい。別にTwitterでもnoteでもはてなでも支部でもなんでもいい。最近っぽいところがよければノベルスキーとかもある。レーティングとか場所ごとのお約束は守ること。
公開場所はどこでもいいが、反応がほしいなら反応をもらえそうなところに、手軽さが必要なら今使っているものを優先して選べばいいと思う。

タイトルの付け方

正直難しいよね……。出ないときは本当に出てこない。Web公開は最悪あとから直せるのであまり気負わずにつけよう
いくつか参考になる手段を挙げとくので気が向いたら使ってください。無題は量産されて後々自分の首を絞めるので止めた方がベターだけど、最悪思いつかなきゃ日付だけ入れて無題でOK。出すのが大事。
話を要約したラノベ風タイトル
 「○○は○○が○○ない」「(主人公の簡易属性)が○○されて○○」とか。「Aが〇〇な時空の怪文書」とかでもいいよたぶん。
話の中に出てきた小物
 植物や店、場所、食べ物もあり
話のオチかラスト2行くらいまでを想起させる熟語や外国語
 ラテン語とか厨二心擽られるけど、伝わるとは限らないとこだけ注意。
話全体を表すような単語やフレーズ
 ほのぼの系ならかなりあり。
 コーヒーブレイクとかチルチャットとか放課後の教室とか、そんな感じ。
・話の時間や季節を想起させる単語やフレーズ
 できれば話の中で一言触れてるといい。なんならタイトル決めてから1行足してもいい。

書きたいことを書くために:執筆体力をつける

ここからは、上で書いたなんか書く~完成させるを数周やった人向け

おめでとう、まずはなんか書ける人になった。
でも、ネタ帳に未消化で置きっぱなしのネタがあったり上手く書ききれなくて消化不良になった文章がでてきたり、よく分からないけど存在は明確な壁を感じ始める頃だと思う。

この頃感じる壁の正体は(余程の例外でなければ)執筆体力の不足。起承転結とか三幕構成とか、巷に溢れる文章の書き方を見てもさっぱり書けなかったのも大概執筆体力が足りないせい。わざわざ体力と書いたのは、スキルや才能ではなく筋力に近い部類なので、トレーニングで伸ばせることから。ちなみにサボるとやや体力が落ちます。頑張ってコンスタントに書こう。

今まで書けた文章の長さはどのくらいだろうか。
ざっくり長さごとに段階分けしてみたが、字数はさておき書ける長さは段階的に伸びること長さごとに意識する作中時間あたりは参考になると思う、たぶん。極めて個人的な分け方なので適宜自分向けに読み替えてほしい。

150字~400字程度:1ツイートをはみ出るサイズ

書き始めた頃は、思いついたことを書き連ねてこのくらいのサイズで筆が止まるんじゃないだろうか。
「ああで、こうで、そのときAがこうで、こう言って、こう思った」くらいのネタを素直に書いていくとこのくらい。一瞬を切り取ったネタに非常に合う。が、選んでこのサイズにするのとこのサイズにしかならないのは雲泥の差なので、ちゃんと甘えず体力をつけよう

ちなみに短めの掌編小説サイズでもある。極めようと思えばどこまでも突き詰められるサイズであり、字数を書く体力とは別のテクニカルな目線が必要になる奥の深い字数。

こういう診断で字数を意識しながら書いてみるのもとてもいい。はみ出る分には(執筆体力をつけるという意味では)気にしなくてOK。

700字~1100字程度:1リアクションのサイズ

原稿用紙2~3枚、大体の人が一度ここで伸び悩むような気がする。私だけかもしれない。
「なにか大きな出来事があって、それに対してキャラが反応をする」ひとかたまりを素直に書くとこのくらい。短めの起承、くらいのサイズ。

ここで詰むのは才能がないのではなく体力がないだけなので、慌てずトレーニングを続けよう。このくらいの量がコンスタントに書けるようになれば、技術や論理で補強していけるようになる。まずは安定して数をこなせるようになること。

1500字~3000字程度:ショートショート、折本が作れる

このくらいからは、そんなに上手くなくてもいわゆる"小説"っぽさが増す。ちょっと工夫が必要になってくるサイズ。ちなみにスカスカじゃない折本が作れる。

「話題の移動を伴う1シーン」が捻らず書くとこのくらいになるはず。700字~1100字程度のサイズに、他の登場人物を出したり情景描写を足したりしてもここくらいまでは増えるかも。
この字数を突き詰めると星新一になる。なんでこの短さでSF書けるんですか?????
話の舞台で特徴的なことを提示し、その特徴で浮き彫りになる人間の本質一見滑稽な本題を表現する。とまとめてしまえば簡単なようで訳分からん技術が詰まってる。SF沼以外の人もサクッと読める名作揃いなのでどうぞ。なんの宣伝だ?

うっかり星新一で余談を挟んでしまったが、出だし(大体は舞台や状況の提示)があって本題(書きたいネタ)がある。サイズ的に本題がオチも担うことが多いので、場面設定書きたいネタを意識すればこのサイズは書けるはず。

6000字~8000字程度:短編小説

安心して同人字書きを名乗れるサイズ。3作くらい集めるとそこそこの薄い本にできるはず。
話題の移動がほぼ必須になってくるので、このくらいからは出だしとオチが対応してないと迷子になって書きづらいはず。逆に言えばまだ起承転結とか三幕構成とか考えなくてもいいんだなそんな小難しいこと!

ちなみに羅生門がこのくらいのサイズ。乱暴にまとめると「羅生門で老婆に会った下人が、老婆に追い剥ぎをした話」なのでやっぱり出だしとオチ
出だし部分で2000字弱、そこから老婆を実際に見るまで800字くらい、声を掛ける前まで800字弱、老婆と下人の会話と描写で2000字弱大オチが300字強
上の分類でいえば、出だしオチ(老婆と下人の会話~大オチ)ショートショートサイズ、それを1リアクションサイズを2個挟んで繋いでいる形。ちなみに1リアクションサイズの中に移動があったり、分析してみると面白いと思うのでどうぞ。ちょっと書くの面倒くさくなってきたとも言う。

まだこのサイズなら、日付の変更や1人称視点で書いているときの視点変更みたいに2個目のシーンになる区切りはなくてもOK。このサイズがしっかり書き切れてコンスタントに出せれば同人イベントも視野に入るんじゃないかな。

1万字以上:単位を走れメロスに出来るサイズ

ふざけつつも案外真剣。走れメロスは1万字ちょっと
青空文庫版は改行がなく、シーン分けが不明瞭(原文もそうだったかは忘れた)だが、冒頭・セリヌンティウスを人質に出す場面・帰宅・結婚式……、と分けられる。
複数のシーンで構成されるサイズであり、ひとつのシーンでここまでの字数になることはほぼない。このあたりからは構成力、よくある小説の書き方論が活躍するので詳しくはネットの海とか本とかに聞いてください。

走れメロスのように1人にスポットを当てて書き切らなくとも、短編小説サイズで主人公や登場人物の視点をそれぞれ書き、章区切りを入れて重ねていけば字数は増える(連作)。なので、この先は体力より技術や論理で底上げすべしとして執筆体力を扱う本章では十把一絡げにまとめる。

さいごに:字書きになったあなたへ

作品を作っただけで偉い。ついでにネットに公開しといてください。
読みたい人がいたり、データ吹っ飛ばした未来のあなたが救われたりするかもしれない。

もっと上手くなりたい?!
もうチュートリアル村のAから話すことはないでおじゃ。

強いて言うなら、同人小説なので意味はストレートに伝わらなくてもいい。多少読みづらくても誤解されない程度であれば結構。「消すことによって書く」とかまでストイックにならなくてもいい。衒学的だろうと自分に酔っていようと、それが世間一般として読みづらいと分かって書いてるならOK

その代わり、書いた文章その中の各シーンについて、書いた理由を後付けでも言えるようにしておこう。
「このシーンはパニクったAの脳内描写がしたかった」
「このシーンはAから見た状況が書きたかった。B視点のシーンと合わせると、AとBの状況認識のズレや捉え方が違うのがわかる気がする」
「このシーンはAが特殊な過去に由来する感傷に浸ってるところを書きたかった」
「このシーンはAとBがくだらない会話をしているところが書きたかった」
「このシーンはAの○○なところと、それに対するBの反応が書きたかった」
etc.
最高。それこそが同人誌。書きたいものを書くんだ。

もしこの長たらしい書き置きが、あなたのパッションを5%くらいは思い通りに出力する、最初の手助けになったならこれほど嬉しいことはありません。

余談:字数は多いほどいいのか→No

時々レンガ本とか「○○字になっちゃった~」とか「○○字しか書けない……」とか聞こえてくる。世にこれを字数マウントとか言うそうで。
しかし、字数が多いこと≠良い、を忘れずに
むしろ字数が多いほど、勢いで読ませることが難しくなり、粗は目立ち冗長さが面白さを削ぐ確率が上がる。読ませる気がない?ならそれはそれでOK

上にも書いたように、読み手の負担をわかってやってるなら別にいいが、基本的に字数が多い=読み手の負担が強まる。ましてや同人は大っぴらに読まない可能性が高く、「何読んでんの?」なんて声掛けられれば地獄である。物理でレンガ本ならどうしても本棚で目立ちやすい。普通の本や文章よりハードルが増えていることも考慮しよう。
また、書いた理由が(下手で)伝わらないなら仕方ない面もあるが、書いた理由がまるで分からない文章は読んでる方も宇宙猫になる。意図が十全に伝わらなくとも、せめて「なんか熱入ってんな」くらいは伝わるようにしよう。

なんでこんなこと書いてるかって?
五十歩百歩のシロート文章がそもそも読みやすいはずないので、書きたいと思ってることを書き切ってるかどうかだけだって話。読み手は字数じゃなくて、あなたの解釈と熱意を読んでんだなあ。
それでもやっぱり評価されたいなあとか頑張って書いたから読まれたいなあとか自覚したのなら。おめでとう、あなたの世界に読者という視点が増えました。彼らのために読みやすいように書いてあげましょう。ひょっとしたら喜んでくれるかもしれないし。

あと、字数が増えるってことは破綻なく書くのが難しくなる・娯楽としての競合相手が商業ガチプロ小説になっていくってことも忘れずに。編集や校閲がちゃんとついてるプロの作品に、1人で書いて品質面で敵うかといえばまずNo。安定した品質で供給できるから食い扶持になってるわけで、ノウハウとか分業とか単純に人手とか、そういうのの威力はすごいのです。

ちなみに、この文章全体が大体0.85メロス。よく書いたよね?ぼくってばえらい。熱い自画自賛、こんなメンタルでいいのです。
つらつらと書こうと思ったきっかけにに感謝して締めます。今頃みんな私よりバリバリに書けるようになったかしら。