孤高のグルメ season 2 #2 「びっくりうどん」
前回、「孤高のグルメ season 2 -二鶴編-」のスピンオフとして行橋の「キッチンぶーる」に行ったり、間にモッハイバーカレーのイベントや裏伊田夜市でカドさんに「ジェイルライス」を出してもらったりと美味しいご飯ばかりだったので完全にドスルーしていたニ鶴。
今日ふと思い出し「行くかぁ、、、」と思い腰を上げた。
前回を振り返ってみると5月に訪れていた。
BGMが無く、調理音もしなかった「亜空間焼き飯」を食べてから早くも3ヶ月が経っていた。
季節は真夏。
前回からずーーーーーーーっと気になっていた「びっくりうどん」なる物を今日は注文しようとした。ここで、ある不安がよぎった。
前シーズンの「森食堂」はうどんとそばを一押ししているのにいつ行ってもスープを肉うどん用に作っていて食べれないと言うじれったさがあった。このお店ももしかしたら無いんじゃないのか、、、前回のトラウマがあるので疑心暗鬼になっていた。
しかし、おばちゃんに注文すると蚊の鳴くような声で「、、、、はぃ、、、、」と注文が通った事に安堵した。
森食堂が"たまたま"そうだっただけで他所も無いと言う疑心暗鬼な自分が恥ずかしくなった。
"あそこは"「普通など無い」と言うのを身を持って体感したではないか。自分が学んだ事をこんなに早く忘れてしまってどうする。
恥ずかしさの余りに「びっくりうどん」を今注文した事すら忘れかけていたが、冷静になって考えると、そもそも「びっくりうどん」とは何なのか?皆さんは「びっくりうどん」と聞いてどんな物を想像しますか?
あっ!!!まだ写真を開いたらダメですよ!!まだですよ!そこのあなた!一回戻って下さい!一回考えましょう。
「これ上に乗ってるの亜空間焼き飯?うどんに入れたん!?おばちゃん攻め過ぎやろ!別々で頼みますよ〜びっくりさせる〜」みたいな事かと思った。
はたまた、「いやいや!!おばちゃん!!力士やないんやけ!!こんな量食えんて!!!気前良いな!!」みたいにバカ量かと思った。
凡人な僕にはこれくらいしか思い浮かばなかった。
しかし、運ばれて来たうどんを見て衝撃を受けた。5度見した。
この両方ともが裏切られていたのだ。
「普 通 の う ど ん が 運 ば れ て 来 た」
何の変哲も無い普通のうどんが運ばれて来たのだ。最後の最後におばちゃんが「うわっ!!!!!!」みたいに脅かすと言う古典的なびっくりかと思えばそれも無い。何なら黙って「スッ」と置かれた。
僕はメニューにもう一度、目をやった。見間違いに違いない。普通、そんな事あるはずが無い。だがそこには
「びっくりうどん」
と書かれていた。
いやいや!!!間違い!間違い!!全然びっくりせんもん!!じっくり煮込んだ「じっくりうどん」とか、うどんです!と言うのを強調する為「どっぷりうどん」とか、そんなのの見間違いやろ!!もう一度見てみよう。目を擦ってもう一度。
「"びっくり"うどん」
僕が今まで日本語を間違えて覚えて無い限り、何度見ても、何度目を擦っても紛れもなく「びっくり」うどんと書かかれているのだ。
いや、待てよ、、、
「びっくり」の意味を履き違えているのかもしれない。「オエッ!」てなるのを嗚咽と思っていたが本来は「むせび泣く事」
そんな感じで間違った意味で覚えている日本語も少なく無いと思う。
【びっくり】する[副詞]
❶突然のことや意外なことに一瞬おどろくさま。
❷ わずかに動くさま。びくり。
やはり僕が認識していた「びっくり」と辞書に書かれているのは相違ない。
やはり、田川の飯屋には「普通など無い」
自分が思う「普通」の概念を疑い始めた。
そうやって何にびっくりするのか分からぬまま、びっくりするくらいのスピードで食べ終え、びっくりするほど静まりかえっている店を後にした。
季節は真夏。
びっくりするほどアブラゼミが鳴いていた。
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