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孤高のグルメ season 2 #3 「親子丼」

今日は気分的にお昼はうどんの気分だった。
「ちえ福」「立ち食いうどん」「麺チャンピオン」等、美味しくてよく行くうどん屋さんがいくつか浮かび決めかねていた。

しかし、最近、勝手に1人でやっている『孤高のグルメ』をやっていないと言う事にハタと気づいた。危ない。初心忘るべからず。
何にしたってそうで初心は大事だと思う。何か行き詰まったら初心に戻る。これを忘れてはいけない。

と、誰かから言われた様な言われて無い様なそれすらも忘れてしまったんですが、そう思って初心、つまりは「森食堂」か「ニ鶴」にしようと決心した。そう言えば『孤高のグルメSeason 2』はニ鶴に行ったんだと思い出しニ鶴に決定。
久しぶり過ぎて心を躍らせながら少し早歩きで店へと向かった。たまに開いてない事があるのでその時は基本の"基"「森食堂」に行こうと考えていた。

店に到着すると幸運な事に開いていて更に心が躍り小躍りしながら入った。と言うのは嘘で、そんな気持ちを抑えつつそろりと入った。

前回の分を読んで頂いた方は知っているかもしれないがここにはBGMが無い。"無"なのである。水を打った様に静かなのだ。

「そうそう。この感じ!この感じ!!」と心の中でニヤニヤしながら、いや、何なら顔にも出ていたかもしれないがどこに座ろうか見渡していた。

すると1人で切り盛りしているおばちゃんが奥のバックヤード的な所からひょこっと出て来るや否や、直ぐに引っ込んで水を用意してくれている様だった。昔スーパーASOと言うスーパーがあって、その屋上にあったゲームコーナーのワニワニパニックくらい早かった。

近くの席に座るとそのワニワニパニックのおばちゃんが水を持って来てくれた。前回はこのお店で1番有名な具沢山な"ちゃんぽん"や"亜空間焼き飯"を注文した。

この"亜空間焼き飯"と言うのがとても美味。
と言っても前回のを読んで無い方に説明すると、、、
メニュー表記は"焼き飯"。しかし、野菜を切る音、炒める音などの調理音が一切しないのだ。先程、店内のBGMも無いと言ったが、調理音すらも無い。

「テレビもねぇ、ラジオもねぇ、更には音が何もねぇ!」と吉幾三がもし来店したら即興でそんな替え歌を歌ってくれるんじゃないかってくらいに"音"と言う"音"がまるで無い。そりゃあ吉幾三も田川の人も東京さ出るだ。

理由は分からないが、想像するにおばちゃんが一切の音を遮断したくて(?)ストイックに音を立て無い様に調理しているのか。

あるいは、バックヤードが「2m × 2m」くらいにしか側からは見えないが、実は中に入ると「9200km × 200km」くらいあったりする通常の物理法則が通用しない空間なのか。ブラックホールなのか。

それから僕は、勝手にこの焼き飯を"亜空間焼き飯"と名付けたのだ。
味も最高に美味くて亜空間に飛ばされかけそうになった。

と言う経緯があるのだが、凡人の僕には「音が無い理由」がどうもこの2択しかやっぱり思い浮かばない。いや、しかしそのどちらでもそんな事をして何になる?!

音を一切遮断する事に拘る意図は?本当に亜空間なのか?気になり過ぎて夜も眠れない。と言うのは嘘で、まあまあ9時くらいまで寝ている。

そんな"亜空間焼き飯"も食べたし、"ちゃんぽん"も食べたし、全くびっくりしない"びっくりうどん"も食べたし今日は食べた事無い物を食べようと思い"親子丼"にした。そう言う色んな事を考えていたら本来の「うどんの気分」と言うのが亜空間に飛ばされていた。

親子丼を注文し待っていると目に入った椅子が傾き過ぎていて「これ絶対コケるやつやん😂」みたいな事はむしろどうでも良かった。
またある異変に気づいたからである。

調理音が聴こえない。

肉を切る音や卵を割る音、はたまた他に具があるなら具を切る音。それらが一切しないのだ。親子丼は自分でも作った事があるのでその工程は分かる。そして音が出る事も知っている。
ここはやっぱり亜空間なのかもしれない。

いや待てよ、むしろ自分がオカシイのかもしれない。
調理する時は"音"をたてるのは"仕方が無い"と思っていた。出る物だとばかり思っていた。
しかし、それは自分だけの「常識」でそれが世間一般の「常識」では無いのかもしれない。音を立てないのがむしろ世間一般では「常識」なのかもしれない。

Season 1の「森食堂」でも数々の「常識」を覆されたり、それをまた覆されて元に戻ったりとあの最初の経験を忘れてはならない。初心忘るべからずと最初に誓ったではないか。

そんな事を考えていると親子丼が運ばれて来た。
森食堂ではヒタヒタの親子丼が出て来て、雑炊かな?となったので一応、ここでも確認した。箸でそっとかき分ける。

ツユダクダクダクダクダクじゃない!!!
雑炊じゃない!!!!!!

と心の中で歓喜し、その運ばれて来た"亜空間親子丼"を一口食べた。
あまりの美味しさに亜空間に飛ばされそうになった。

と言うのは嘘で、普通の親子丼だった。
⁡ 帰りに外に飾ってある昔やっていたのであろうメニュー表を見て、もうこれ以上深く考えるのはやめようと亜空間を後にした。

-続-

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