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孤高グルメ #8 「肉うどん」

初めて教えてもらって通った時から付け合わせのキャベツの少なさに衝撃を受けてからここは普通では無い独自の世界観がある。。。と思い通いつめ、遂におじいちゃんと仲良くなる事は出来なかった。

小走りで配膳してくれるおじいちゃん。
厨房からテーブルに置くまで焼きそばに青のりを掛け続けながら配膳してくれたおじいちゃん。
うす焼き卵?な玉子焼き。
お茶漬けかな?くらいの丼物。
塩一袋入れた?くらいの焼き飯。
皿が毎回「ヤマザキ春のパン祭り」でもらえるばあちゃんちにあるやつ。
サイバイマンかな?ぐらいの黄緑色をした今にも爆発しそうなおじいちゃんに出くわしたり、、、いつも美味しくも楽しませてくれました。

今日も松方弘樹か菅原文太しか掛けない昭和ヤクザみたいなサングラスを掛けたおじいちゃんが入店してきた。
そして、店の冷蔵庫から勝手にハイボールを取り出して「プシュ」と昼間からやっているのである。

いやいや!家やん!!

と思いつつも、その松方弘樹が怖くてそんな事は口に出せずにいるとサングラスを外した。チラリと横目で見ると、先程までからはおおよそ想像がつかない、めっっっちゃくちゃ優しい顔をしていた。

もうこんな事には出会えないのか。今日こそは"ラスト1品"の「玉子うどん」を頂いて「森食堂編」は締め括ろうと思っていた。
と言うのも最近、「ニ鶴」と言う新たな"刺客"が現れたので『season 2』はここにしようと決めているからだ。

森食堂に着くや否や「玉子うどんお願いします!!!!!」と声を高らかに注文。もはや選手宣誓くらいの声量と雰囲気。

「肉うどん用につゆを使ってしもうたけ無いんです。」

いや!また無いんかい!!前回土曜日は無いって言われたけそれ言われると思って平日来たやん!!!

「うどん、そばも無いんよ。」

その分はとっとこうよ!!!メインやん!!!肉うどん一択って!!強気過ぎるやろ!!

とは声に出して言えず、自分の中で押し殺した。そして、ここで一つの答えが頭をよぎった。

 「最初からうどん、そばは用意してない」

危ない。この答えに辿り付かなかったら毎回行って永遠に「玉子うどん」を食えず別メニューを食っている所だった。無限ループって怖い。
一瞬、これは罠なのかと勘ぐった。

普通、うどんやそばは食えるでしょ。。
むしろいつ行っても「肉うどん」だけならうどん、そばはメニューから消しておいてよ。。。

いや、待てよ。危ない。
丼物のツユの量など、今までの傾向からしてここに「普通」等と言う概念が通用しないと学んできたではないか。
「普通に」うどん、そばを食えると思っているのがそもそもの間違いじゃないか。
ここで言う普通は自分の中で勝手に作りあげた価値観。それをおじいちゃんに強要するのは良くない。危ない。超絶わがままな利己的なヤツになるところだった。


いや。。。
やっぱり普通にうどんは食べさせて。。。


- season 1 終 -

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