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#食事

食思考マラソン(28)飲酒について(ノンアルコールビール その2)|太田充胤

ノンアルコールビールの常飲という、飲酒しない人からみれば二重に不可解と考えられる習慣についての話の続きです。 多くの酒飲みにとって、ノンアルコールビールは仕方なく選択される代替物であろうと思われます。飲みたいがさまざまな事情で飲めないときに、ビールの代わりに飲むもの。味覚を通じて脳を騙し、あたかもアルコールを摂取しているかのような気分で飲むもの。宴会でノンアルコールビールを飲んでいると、アルコールも入っていないのに酩酊感を覚えるというのはよく聞く話です。 しかしながら、私

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食思考マラソン(26)妻からの異議申し立てその後の後、あるいは比較食思考学│太田充胤

もうこれで最後にしますが、今回も前回の記事に対する妻からのフィードバックから始めたいと思います。 感想3:「妻の華やかなご飯」という文脈の記事において、わざわざお惣菜を買ってきた日のご飯を題材にするのは不適切ではないか? ヤンニョムチキンのことですね。 「これから作る予定のご飯だけでは足りないかもしれない」と買ってきたヤンニョムチキンのことです。 これもまあ、もっともな指摘であると思います。 釈明しておきますと、これは1つには、ただ単にタイミングの問題です。 とはい

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食思考マラソン(24)妻からの異議申し立て│太田充胤

本連載に関して、妻から異議申し立てが入りました。 前置きもそこそこに本題に入りましょう。端的にまとめると、妻の主張は以下の2点です。 主張1:「なぜ私の作った美味しいご飯は記事にならないのか」 主張2:「これではまるで、私があんまりご飯作ってないみたいではないか」 まあ、正直これ、私自身ずっと気になっていた点でもあるのです。 過去にはインスタグラムやツイッターに食卓の写真を上げていたこともありましたが、そのときからずっと気にはなっていました。 実際にはどうでしょうか

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食思考マラソン(23)平戸からの恵み|太田充胤

本日のメニュー カマスの干物 にんじんのきんぴら 豚肉・焼きキャベツ・春菊・玉ねぎのスープ LOCUST本誌第4号の長崎旅行には行けなかった私ですが、長崎は以前訪れたことがあります。 妻が研修で2か月ほど平戸に住んでいたので、その際に長崎で1泊、平戸で2泊しました。なんとなくですが、ただ単に旅行したというだけでなく、仮にもそこに住んでいる妻を訪ねて行ったことで、私の気持ちのうえではもう単なる観光客ではないような親密さがあります。 旅行先に対するこういう親密さって、なんか

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食思考マラソン(21)食思考停止とリハビリテーション 3日目│太田充胤

食思考の廃絶からのリハビリテーション。 1日目は買い物までで終わりました。 2日目はサンバルを作ることができましたが、副菜なし、米なしで悔いを残す結果となりました。 3日目。 今日の到達目標は、昨日成し得なかった炊飯、および副菜の作成です。 実は2日目、サンバルはお弁当用のつもりで大量に作ってありました。 大きめの鍋でいっぱいに作ると、だいたい5食分くらいの量になります。昨日は私一人が1食分たべただけなので、今日また食べても3回分のお弁当が残ります。 したがって、今日

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食思考マラソン(20)食思考停止とリハビリテーション 2日目│太田充胤

食べることのリハビリテーション、1日目は買い物までであえなく終了。 せっかく八百屋さんで買ってきた「ズッキーニのサンバル」のための野菜たちを、2日目に託して眠りました。 実はたまたま、2日目以降の数日は妻が不在の予定でした。 一人の夜には、買ってきた野菜を前に立ち尽くし、夕飯を食べずに夜が更けてしまったとしても、笑ってくれる人も、外に連れ出してくれる人もいません。 ここからが本番です。今日は、今日こそは、「ズッキーニのサンバル」を作らざるを得ません。いや、作るものは別に

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食思考マラソン(19)食思考停止とリハビリテーション│太田充胤

ご無沙汰しておりすみません。 いろんなことが重なり、しばらく記事を書けませんでした。 確認すると前回の更新が9月9日なので、隔週更新のところ実に7週間もあいだがあいてしまいました。 この間、私自身の食事もかなりいい加減で、もはや面倒になって近所の飲食店に滑り込んだり、これまでめったに使わなかったデパ地下のお惣菜等を買ってみたり、時々自炊をしてみれば適切な調理の流れを思い出せず台所に立ち尽くしたりといった具合に、まあめちゃくちゃでした。 本連載のミソは、「食事」という毎日必

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食思考マラソン(18)食思考危機と禊ごはん│太田充胤

このところ、なんだか短い期間に当直(夜の当番勤務のことです)が集中し、しばし食事がみだれておりました。 当直中、および当直明けにはいっさい躊躇せずに食欲を過剰に満たすと決めています。なんなら進んで体に悪いものを食べている気さえします。 コンディションや前後の流れ、はたまた当直自体の繁忙度や睡眠時間によって「食べたい」の質や程度も大きく変わるので、つくづくヒトもまた動物であるなあと感慨を深めたりしています。

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食思考マラソン(17)おひたし万能論│太田充胤

本日の献立 鰤の山椒焼き トマト、水茄子、焼きアスパラガスのおひたし 冷奴 玉ねぎと油揚げの味噌汁 とうもろこしごはん 変なタイミングで飲酒論を始めたので、夏の食材についてまったく触れないまま、夏が終わってしまいそうです。 スタンプラリー(夏)をやろうかとも思いましたが、やはり春のようには気持ちが乗りません。というか、食材単位で「茄子!」とか「トマト!」とか書いても、正直全然面白くありません(私が)。 さてどうしようかな、と、2週間ほど考えるでもなく考えているうちに気が

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食思考マラソン(16)飲酒について;「解呪」型飲酒 その2│太田充胤

「解呪」型の飲酒の実態についてです。 あくまでも「解呪」して原稿を書くことが目的なので、泥酔してはいけません。適度な酒量にとどめること、はじめの一歩で踏みとどまり二歩目を踏み出さないこと、これが「解呪」型飲酒の条件です。私の場合、アルコール耐容量の少なさと現実的な制約から、そのような条件をもっともも満たしやすいのが焼酎であるということになります。 冒頭の写真、切子のお猪口を使っていますが、入っているのは日本酒ではなく焼酎です。 焼酎はさまざまな点で、上記の目的にかなって

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食思考マラソン(15)飲酒について;「解呪」型飲酒 その1│太田充胤

世の中には、というか私の中には、飲酒した状態のほうが明らかにはかどるタイプの原稿というのが存在します。 これはたとえばアーティストにとってのドラッグのような、霊感の源としてのアルコールということではありません。私の場合はむしろ、アルコールによって明らかに思考の明晰さが低下します。新しいアイデアが生まれやすくなると言われればそんな気もしますが、実際のところはよくわかりません。 私にとって、飲酒のメリットはそういうところにはありません。飲酒しながら書いたほうがいい原稿とは、そ

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食思考マラソン(14)飲酒について;「ビール飲むよね」型飲酒│太田充胤

『LOCUST vol.4』長崎特集に参加いただいたいただいたマリコムさんから、「作り置きながら飲む」で書いた飲酒のあり方についてこんなコメントをいただきました。 興味深いですね。アテとはいったいなんなのでしょう。 言われるとよくわかりません。たしかに、アテ、肴という概念を理解するためには、まず飲酒とはなにかという点を考えなければなりません。我々はなぜ飲酒するのか、飲酒とはどのような経験か、飲酒の効用とはなにか……。 これまた仕事柄、という話になるのです

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食思考マラソン(13)季節の変わり目について(初夏)│太田充胤

本日のメニュー トマト・茄子・豆腐の味噌汁 ゴーヤのおひたし 胡瓜とわかめの酢の物 鮭ハラス 毎年のことなのですが、季節の変わり目のご飯はだいたいうまく作れません。その季節の食思考のリズムを完全に忘れているからです。 去年の今頃なにを食べていたっけ、というところまでは写真を見ればわかりますが、写真にはレシピも思考の流れも残りません。ああそうだ、こんなおかずがあったっけ、と思い出して9ヶ月ぶりに作ってみても、味が全然決まらなかったりします。献立の組立もいまひとつ調和がとれず

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食思考マラソン(12)最少鍋ルールと並行処理限界丨太田充胤

本日のメニュー 鰤の山椒焼き 人参のきんぴら 玉ねぎとピーマンのマリネ 空豆焼いただけ かき卵とレタスの味噌汁 とうもろこしごはん そろそろ暑くなってきたので夏のご飯について書きたいのですが、前回書いた「調理工程の並行処理限界」について再検討する必要を感じたため、今回はそういう話をします。 前回読んでいない方はなんのこっちゃという感じかもしれませんが、こういうことです。 並行処理できるおかずの数には限りがあるため、調理にかかる時間はどうしても長くなります。おそらく個人差

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