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LOCUST+

批評観光誌『LOCUST』の有料マガジンです。 毎月、LOCUST編集部を中心とした執筆人が、コラム・エッセイ・マンガ・小説などを寄稿します。 豪華ゲストによる寄稿、著名人へのイ…
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2020年1月の記事一覧

編集後記 1月号

購入後に全編(19:29)を視聴することができます。

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北出の日々 第1回 「生活」の(再)設定 北出栞

実家を出て、念願のひとり暮らしを始めました。ずっとそうしたいとは思っていたんです。しかし雇用形態やそれに伴う収入面に不安があったのが大きく……この秋からその問題がひとまず解決した(=雇用形態が変わった)ので、さっそくアパートの契約をしたというわけです(甘えられる環境にあったことは認めます……両親にはただただ感謝です)。 この連載は、そんな北出が初めて直面する「生活」のあれこれに対して、月に一度「批評」的なマインドをもって考えてみよう……という企画です。はたしてニーズがあるの

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コンテンツガイド 1月号(テーマ:原風景) 「社会は上演しなければならないーー山崎正和『文明としての教育』から考える」 寺門信

現代人には、無知である自由、無知である権利はない。  山崎正和『文明としての教育』の帯には、この挑発的な一文が掲げられている。2007年刊行の同書で山崎は、満州での終戦体験を起点に、自身の教育論を展開している。そこで強調されるのが、近代以降の世界を生きるうえで身に付けるべき「型」の重要性だ。  山崎は「柔らかい個人主義」や「人生10年先送り論」で知られる評論家・劇作家だ。彼は小学6年生の時に奉天(現瀋陽)で敗戦を迎え、本土への引き揚げまで約2年間をその地で過ごした。敗戦直後

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モンゴル食紀行/食思考 第6回 小さくて非効率的なタンパク源 太田充胤

「美味しい」という概念が存在しない環世界にも、「好物」は存在する。 それから数日間、ムギさんと過ごした時間のなかで、我々はモンゴル人のふたつの「好物」に遭遇した。幸か不幸か、その片方は食べることができなかったが、もう片方は実際に味わうことができた。

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終わる世界の終わりなき日常——#0序  灰ミちゃん

この世界は終わろうとしている。 いいえ。正確には、わたしたちが人間として信じてきたものが今まさに、現実に、終わろうとしている。 けれど、世界が終わっても日常は続く。 あなたは、毎日壊れていく世界情勢を目にし、SNSでは排外主義に触れ、きっと職場では公で謳われるリベラリズム的理想と理不尽な上司のようなありふれた現実の生き辛さとの亀裂に苦しむだろう。 このまま反動的な暴走が続き世界が終わるのか、公に謳われる社会改良がうまく実現されることで多少はマシな時代が訪れるのか、それはわか

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コンテンツガイド1月号(テーマ:原風景) 「東野圭吾原作『秘密』ーーSomeday in the snow」 高橋 秀明

 ぼくの原風景について語ろうと思う。ぼくが中学校二年生だったとき。ぼくは男友達に誘われて、東野圭吾原作の『秘密』を神戸にある映画館へ観に行った。聞くところによると『秘密』は当時人気だった広末涼子主演の恋愛ものらしく、海沿いにあるその映画館は休日らしく男女のカップルで溢れていた。ぼくは後悔しはじめていた。誘われて、ふたつ返事で「いいよ」と言ったものの、その当時は恋愛映画を映画館で見たことなどなかったし(あるのは、ゴジラや宮崎駿作品、それにドラゴンボールぐらいだ)、男友達同士で、

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コンテンツガイド1月号(テーマ:原風景) 「西洋音楽における歪んだ原風景としてのバッハ」灰街令

 バッハ(=BACH)は音楽史の中で特権的な位置を占めている。  それはBACH=シ♭ラドシ♮をあらわすドイツ音名からなる、いわゆる「バッハ主題」がシューベルトやリスト、あるいは新ウィーン楽派一のモダニストであったアントン・ヴェーベルンや、多様式主義で知られるポストモダニストのアルフレッド・シュニトケにも用いられていることに象徴されている。  BACH。西洋音楽にはこの半音階的音列が、各作曲家の時代を超えて刻まれている。そしてバッハはこのような不協和な半音階をきわめて複雑かつ

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コンテンツガイド1月号(テーマ:原風景)「『BTTF』から『ザ・ウォーク』まででたどるロバートゼメキス小論:ゼロの風景」 イトウモ

 初めて見た『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(以下、BTTFシリーズ)はPART3だった。確か金曜ロードーショーでの放映だったと思うが、まだ子どもだった私は意図せず偶然シリーズを最後の作品から鑑賞した。  あらためて紹介するまでもないだろう。本作は科学者ドクが発明したデロリアン型タイムマシンが、1985(当時の現代)年、1955年、2015年、1885年と四つの時代を行き来するSFスペクタクルだ。3作目は1作目のラストで1955年にマクフライを1985年へと送り返

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【特別掲載】LOCUSTプレ共喰い会・レジュメ公開!

皆様こんにちは。LOCUST+編集部です。 本日は、ロカプラ読者の方への限定公開として、先日行われた『プレ共喰い会』で使用されたレジュメを公開いたします。 テーマはE・サイード『オリエンタリズム』です。 昨日公開されました編集長伏見瞬による「プレ共喰い会レポート」と合わせ、当日の会場の雰囲気を感じ取っていただければと思います。 「共喰い会」は今後」、月1回のペースで開催される予定です。 興味がある方はぜひ、参加してみてくださいね!(編集部)

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伏見瞬の2019ベストカルチャー120(40位~1位)

40.クエンティン・タランティーノ/ワンスアポンアタイムインハリウッド 1975年に犬面のカナダ人が発表したレコード『Tonight's the night』はドラッグ禍で命を落とした二人の友人に捧げられており、酩酊しきった状態で録音されたボロボロの演奏が死の匂いを醸し出す異形の名盤として知られている。1969年8月9日の夜、ブラッド・ピット演じるクリフ・ブースが愛犬に「(LSD漬けタバコを吸うのは今夜だという意味で)Tonight's the night」と言い放つのがNe

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伏見瞬の2019ベストカルチャー120(80位~41位)

80.Gimu /inally free,gravity ブラジルから届いた歓喜のアンビエント。亡くなった継母への追悼が、深い残響の歓びとなって尾を引く。

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絵本から経済を考える 第1回  「これは私のものだ」という絶望感について——中庭の共同体とビーズのネックレス、あるいはTHOSE SHOES 谷美里

 私が幼少の頃住んでいたマンションには大きな中庭があった。長方形の中庭の二辺は住居棟、一辺は駐輪場と高木で囲われ、残りの一辺は大きな門で閉ざされていた。車も部外者も入って来られないその安全地帯で、マンションに住む子どもたちは来る日も来る日も遊んでいた。誰かが幼稚園や小学校の友達を連れて来れば、その子らも一緒に遊んだ。中庭には、常時十人以上の子どもたちが走りまわっていたように記憶している。  その中庭では、遊び道具は基本的に共有されていた。三輪車もローラースケートも縄跳びもカ

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伏見瞬の2019ベストカルチャー120(120位~81位)

色々なものを体験・鑑賞するのが癖になっている人間です。ジャンルにこだわる感覚が全くなくて、その浮き草っぷりを頼りなく感じることもあるのだが、ともあれ全部をミックスすることで見えてくる景色もあるのだと思います。というわけで、LOCUSTのnoteへの進出に弾みをつけるためにも、今年は多めに120個選んでみました。 120.灰街令コンサート『こわれた家具のアーキテクツ こわれた家具vol.2.0』@三鷹scool(6月2日) ストリーミングが体験の主流になり、ポップが環境化して

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