図書館に文庫本がある意味。一図書館員が思うこと。

公共図書館には小説などのハードカバーの本が文庫化された本も置いてあるのですが、以前そういった状況に対して出版業界の販売不振につながるということで話題にも上っていたかと思います。以前の記事ですが参考までに一応↓
https://irorio.jp/nagasawamaki/20171012/421446/

確かに文庫本は内容としてはハードカバーのものとほぼ変わらないことも多いですし、なぜそれを購入してまで図書館に置く必要があるのか?という批判も至極真っ当なものなのかなと。

しかし利用者の方から本の予約、他館からの取寄をカウンターで受付する際にハードカバーと文庫本両方が図書館にあって、どちらがいいか利用者に尋ねた時、文庫本を置く根拠も少なからずあるんだなぁということがわかりました。

文庫本はハードカバーよりも小さくて持ち運びが便利というメリットがあり、利用者の中にはそういった文庫本のメリットがあるからこそ本に触れられる環境が生まれるということもあるのです。

例えばですが、高齢者の中にはハードカバーが大きくてとても読みづらいという意見をちらほら聞きます。また家に帰って読もうと思った場合ハードカバーは大きくて重いというデメリットもあるのです(あくまで文庫に比べればですが)。
逆に文庫本にも字が小さいというデメリットはあります。

そのような状況を鑑みても図書館で文庫本が提供されることにはとても意味があることだと感じています。
他にも公共図書館には小説などの本の字をさらに大きくして読みやすくした大活字本というのもあり、そうした大活字本のような存在と同じで文庫本にも利用者それぞれに適した本というのがあって、確かに出版不況につながってしまう部分というのはあるのかもしれないですが、置かれる価値というのはあると思うのです。

しかし出版不況のために本の作り手が大変な状況になってしまっては結果として公共図書館も危険な状況になってしまうのではないかとも思います。
本の作り手がいてこその図書館ですからね。

同じ文庫本を複数冊購入して利用者に提供する複本の問題や販売されたらすぐに図書館でも提供している状況など改善すべき箇所が全くないかと言われればそうではないと思います。

予約のリクエストがたくさんあるからそれに対応するためだけに本を複数冊購入している状況や何年か経ったらそれが誰にも読まれずに棚に何冊も同じ本が並んでいる状況など...。
正直これでいいのかと疑問に感じることも少なくありません。

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