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【山形県天童市】古い政治のブッこわし方。

9月24日執行 (山形県)天童市議会議員一般選挙政策提言

こんにちは。地方自立ラボ(@LocaLabo)です。

当ブログでお伝えしたいことは、私たちの住んでいる国は、国家としてとらえることも大切なのですが、本来は私たちの住んでいる「この町」「この地域」の集まりである、ということがもっと大事だということです。私たちが幸せに暮らすために、国が住みよい土地になるためには、住民として住んでいる「地方」こそが住みよく、豊かな町であってほしい、そういう願いで綴ります。

今回は、2023年9月に執行されることになった「天童市議会議員一般選挙」に関し候補者に提案したい政策を考えてみたいと思います。天童市では2019年9月の一般選挙の翌年、2020年に市長選が行われましたが無投票当選で2008年から山本信治市長体制が継続しています。

はじめに~天童市の概要~

山形県天童市(Googleマップより)

山形県天童市は、県のほぼ中央に位置しています。南部は県庁所在地、山形市の北辺に接し、周囲を寒河江市、河北町、東根市に囲まれた人口6万人の市です。東西18km、南北10kmですので比較的小さな面積ですね。その割に市内中央部にJR奥羽線と国道13号線が貫いているので交通の便に恵まれた立地だと言えるでしょう。特に南部は山形市へ通勤通学をするためのベッドタウンとして新興住宅地が連なっています。

山形県天童市(拡大図)

また、市域のほとんどが山形盆地にありますが、山間地に仙台市へ伸びる国道48号線があり宮城県へのアクセスも良いです。山形空港は北部に接する東根市にありますが、空港へのアクセスは車で約10分と非常に便利で、交通手段の多様性が感じられる地方都市と言えるのではないでしょうか。

空港民営化せよ!

山形県が主要株主である山形空港ですが、令和3年度の収支は収入3900万円で、支出が3億8300万円と最低な経営状態です。この点は以前当ブログでもご紹介した、猪瀬直樹氏の著書『霞が関解体戦争』のある記述を思い起こさせます。

一県一空港などと銘打って、定期便も飛ばないような場所に空港が作られてしまうのにも、同じような構図がある。関西圏にたくさんの空港ができるのは、その象徴である。赤字空港への分散投資が進む原因は、空港整備特別会計と、空港の種別に応じた補助率にあると言っていい。
いまのような体質が温存されれば、空港同士が競争する仕組みにはならない。正常な競争がおこなわれる仕組みをつくれば、資質のない経営者は排除されるようになる。
また空港の民営化とは、ある意味で地方分権と同じである。地域に自己決定権を持たせ、同時に責任を持たせることである。
このとき地域に求められるのは、空港も含めた都市計画である。空港というのは、たんなる飛行機の発着場ではなく、都市の機能の一部である。(中略)都市のあり方を考えた場合(中略)考えるべきことはたくさんある。そうしていくなかから地域間の競争が起こり、着陸料の引き下げをはじめ、利用者へのサーヴィスも向上していくのである。

猪瀬直樹 著「霞が関解体戦争」 (p45)

山形空港の経営状況が悪いのは経営者である山形県の無能さの現れだと思いますが、県、および市も連携して山形県の空港としていかに都市機能の中に含めて考えるか、という視点がないからだということも原因としてあるのではないかと思います。

そこで、空港のある東根市とその絶好の立地にある天童市が空港を使った都市機能の充実を図ることで、より魅力ある自治体になるのではないかと思うのです。空港の経営は「民活空港運営法」を適用し、別の事業者が行うことができるようになっています。
記事では、天童市の経済活性化につながるような空港の利用法も考えてみましたのでぜひ最後までご覧ください。


住みよさランキングをブッちぎれ!

東洋経済が発表している「住みよさランキング」では空港のある東根市とトップ争いを続けています。ですから、東根市と天童市は一つの地域として都市機能を分け合えば大きな発展が見込めます。市内の経済循環を分析した資料によると、市内雇用者の所得が近隣市(おそらく東根市、山形市)へと一部流出していることが推測されています(『令和2年度地域の魅力ある雇用創出に向けた施策検討』東北経済産業局作成)。
天童市に住みたくなる気持ちをいかに起こさせるか、本気で考えてみませんか?


「王将」を守れ!

天童市の産業はさくらんぼ、ラフランスを特産品とする農業となりますが、将棋の駒の生産において、国産では90%以上が市内製造品とのことで、特色のある産業を有していると言えます。
『天童市の統計2022年』を見ると工業統計のトップページ(24ページ)が「将棋駒出荷額」となっており、市の主力産業であることがよく分かります。年を追うごとに減少しているのはやむを得ないですが、昭和55年に4億5千万円あったものが令和2年は1億4千万円程(経済産業局の数値では約2億2千万円)となっています。このまま何もしなければ少子高齢化と安価な海外品の普及により生産量はますます低下するでしょう。非常にもったいないことだと思います。

天童市 将棋駒事業所数および出荷額

将棋の駒は他地域にはないニッチな特産品として重要です。少子化で将棋人口の減少が予想される中、日本将棋連盟は海外への進出を画策しています。日本将棋連盟とタッグを組んで海外に販路を求めることも産業の発展には寄与するのではないでしょうか。


また、山形空港と山形新幹線という最強インフラを活かし、日本将棋連盟とコラボした旅行会社が、日本全国将棋ツアーなど、観光と組み合わせたイベントを天童市を中心に開催し、ベトナムや海外の将棋ファンまでも天童市に集まるようなビジネスを展開する、なんていうのもアリではないでしょうか。

天童市の有名な将棋イベントといえば「人間将棋」。とても人気イベントで観覧の応募者が全国から殺到するほどです。

せっかく日本各地に飛行場があるのですから、天童市へ将棋の対局を見に来たファンがさらに他の地域で行われる将棋の対局に合わせた便を山形空港から飛ばすなど、将棋に特化した町天童市として全国だけでなく世界に向けてアピールをすれば、これまで以上の魅力を生むかもしれません。

山形空港の無能経営ぶりはインバウンド需要は全国で40位というデータが物語っています(下記サイトの「2019年(コロナ前)の山形県への訪日外国人観光客の訪問者数」)。

最近では韓国の旅行協会からのオファーで山形空港へチャーター便を飛ばす計画があるようですが、全て蔵王スキー場に取られてしまうので、天童市からも積極的に海外の観光客誘致の方策を考えた方が良いと思います。今後はインバウンド需要を上げることがますます重要になってくるでしょう。

現在の空港利用者が少ないのは移動手段としての魅力に欠けるからに他なりませんから、規制緩和や企業誘致等で民間の自由なアイディアに活路を見出す必要があると思います。酒蔵見学ツアー等も外国人観光客にとても人気がありますが、それらは無能な役人の手による企画ではなく、ぜひとも民間企業から名乗りをあげて欲しいものです。役所の仕事はこれまで産業障壁だった古い規制をなくし、民間のアイディアが算入しやすい環境を整えることです。決して補助金をバラまいたり、役所主導で企画運営することではありません。なぜなら、他人のお金で行う投資は失敗するからです。

水道料金値上げに備えろ!

現在天童市は水道料金徴収等の業務をヴェオリア社に委託しています。民営化の成果として、職員給与等が費用全体に占める割合が県内でも最も低いとされています。(『天童市水道事業経営戦略』策定日平成29年3月)

また、水需要の実績と予測に関する資料からは急激な人口減が予想されていません(『天童市新水道ビジョン』13ページ)。将来的にみても比較的余裕のある状況となっています。平成24年度の給水人口は6万1886人ですが、平成40年での予測給水人口は5万8600人となっています。現在各地で水道料金の値上げの話が出ている中、天童市は今のところ急激な値上げは考えにくいでしょう。

しかし、この状況に甘んじていると、突然の水道料金の値上げということが起こるかもしれません。事業が安定している今のうちに新しい水道インフラ構築の検討を進めるなど、水道事業整備に取り組むことで、水道料金の安定化を図る絶好のタイミングなのではないでしょうか。水道の安定化から水道料金の値下げにつなげれば、「住みよさ」ランキングが上がり、流入人口の増大に寄与するかもしれません。

当ブログにおいて「水道事業」に関する改正法案について紹介しましたが、その中で未来の水道事業に向けた様々な技術開発が実現していることを紹介しています。水の自活によって自治体がもっと自由になるのではないかという提言もしています。ぜひ、参考にしてみてください。

既存の組織の考え方による構造改革では事業者が無理をし、規制にがんじがらめになった水道事業の存続を考えるだけでは思考停止してしまい、未来が見えなくなってしまいます。思い切って水道事業を自治体だけでうまく回せる仕組みを検討してみてはどうでしょうか。新規事業者、民間企業の参入ハードルを無くし、完全開放政策をすれば今より活動的な天童市となるのではないでしょうか。

事務事業評価をナントカせい!

自治体の経済政策として新しいアイディアをさまざま提案しましたが、時代が変わった今、すでにある無駄な事業についても見直していかなくてはなりません。市民から頂いた血税を大切に使う。それにはご賛同いただけるかと思います。そのためには市民に血税の使い道を包み隠さず公開すべきです。

天童市の場合、事務事業評価については全526事業を行っています。しかし、A4の用紙1枚に4つの事業を詰め込み、事業の概要と計画と事業費だけを記載したとても簡易なものです。

令和3年度 3か年実施計画書 (事務事業評価報告書)

「今後の方針」の欄を見ると「現状のまま継続」のオンパレード。事務事業の自己採点といった小学生の夏休み日記のような内容で、とても住民の血と汗の結晶の税金の使途を厳格に裁定する気概は見受けられません。笑

こうなると予算はどんぶり勘定、行き当たりばったりの予算消化行政となっていることが考えられます。「3か年実施計画書(事務事業評価報告書)」という公開文書を参考に天童市の事業の実態を把握しましょう。その上で事務事業に関する外部評価を目指すことも有効かもしれません。

参考までに事務事業評価で最高レベルと言われる、兵庫県西宮市の事務事業評価票を載せておきましょう。
こちらは1事業で評価シートがA4サイズ2枚分あります。事業費を人件費まで含め、成果指標も事前に基準を決めて評価しています。
ここまで詳しく載っていると、無駄な事業が市民目線でもわかります。

令和4年度の評価結果 (兵庫県西宮市HPより)

こちら栃木減税会さんのHPに、【ワタセ式自治体腐敗度チェック】というものが掲載されています。行政評価の鬼、渡瀬裕哉氏が考案した事務事業評価の出来を5段階評価で表したものです。上の西宮市の事務事業評価は「(5)給料払っても良いレベル」ですが、天童市の事務事業評価は…(3)かな?
まずは(4)を目指しましょう!

行政評価について(栃木減税会HPより)


減税しろ!

また、天童市の財政は概ね黒字会計となっています。令和2年度と令和3年度を比較すると財政調整基金額が約22億円増えており、財政に余裕があると言えます。この額は市税84億5千万円の26%ですので、市民税を減税する余力が十分にあると言えるでしょう。

市民税減税は企業誘致などにもつながります。特に古くから工業団地の整備を進めてきた企業誘致の雄ともいえる天童市にとっては、より一層の企業誘致を促すインセンティブが働くと考えられますね。

大体、市民が6万人ほどの天童市が財政調整基金額(財調)が57億円もあるということはどういうことなんでしょうか?下記に柏市の選挙に関するブログ記事をご紹介しますが、人口43万人の柏市は財調は142億円です。財調とはあまり馴染みのない言葉かと思いますが、言ってみればPTAや自治会の無駄に集めた繰越金のように使うあても無いまま無駄に貯め込んでいる基金です。
市長や議員は「緊急時のために貯金が必要なんです!災害とか!」と言いますがね…。逆にそんな時は国を頼ればいいのではないでしょうか?
ですから平時はちゃんと自立して下さいね、ということです。

しかし財調に手をつけるとなると当然反発は予想されますので、事務事業評価のレベルを上げて無駄な事業の選定をしやすくし、行政改革で減税の財源を捻出することも忘れずに主張しましょう。

なお、法人市民税の減税政策についての詳しい内容、地方自立ラボが作成した7月の柏市議会議員選挙の政策提言にもありますのでぜひお読みください。

さて、肝心の減税についてです。柏市と同じように、山形県の主要自治体の法人市民税の税率を見てみます。

令和3年度法人住民税・法人事業税税率一覧表(総務省)

右端の法人市民税の法人割税率をご覧ください。全ての主要自治体で8.4%と超課税率を課しています。これを天童市だけ標準税率の6%にするのです。

天童市の令和3年度の税収を下の決算カードから見てみましょう。
市町村民税の内訳、赤枠が法人税割です。右端の青枠「超課税分」を見ると約1億2948万円です。この分を財政調整基金57億円を財源に減税しましょう。標準税率6%をさらに下げて、2億円分減税してもいいかもしれません。

令和3年度 決算状況(市区町村)山形県天童市(総務省HPより)

もしくは黄色い枠の、個人住民税の均等割1億1233万円を全て減税して市民税を払う全市民に返還し、電気代高騰や物価高の中でも住民税をきちんと納付して下さる善良な市民へ感謝の気持ちを表すのはとても良いと思います。

今回立候補する方は、これらの数字を引っ提げて天童市役所に乗り込み、「こんなに金を貯め込んでおきながらこれまで住民になんのお礼もないなんて失礼極まりない」と言って天童市に「喝!」を入れましょう。


このように埋蔵とも言える財政調整基金や、行政改革で捻出した財源を使った減税政策で、天童市の税制において周りの自治体よりも高いインセンティブを設定することができます。それを武器に企業を誘致したり住民の移住が期待でき、すでに交通インフラの整った天童市が事業や居住に選ばれる確率を大幅に引き上げることができるのです。

こちらは日本で唯一の市民税減税を実行している名古屋市の例です。人口減少に歯止めがかかり、確実に税収が伸びていることがわかります。
大都市である名古屋市ですら悩んだ人口減少。もうすぐ人口6万人を切りそうな天童市は10年後の姿を想像して計画を立てていますか?

国から貰ったお金を住民へバラまくだけではダメですよ!それ都民の血税ですから!他人をぞんざいに扱えば、あなたもぞんざいに扱われるのです。
衰退地域ほど名古屋市を見習い、自立心と経営感覚を持ちましょう。


誠実な公約とは何か

計画的な議員活動を提示せよ

さて、今回立候補する方が市会議員になると、4年間一定の議員報酬と政務活動費が支給されます。天童市の現在の議員報酬は42万円(月額)となっています(今回の選挙終了後から議員報酬改定)。これは全国の平均値でもあります。
さらに、期末手当が69万3千円(新報酬額に現在の支給割合1.65をかけた金額)を年2回。政務活動費は15万6千円(年額)が支給されます。年間で658万円ほどの収入となるわけです。
特に政務活動費については使途が決められていますが、議員活動のための研修、研究、調査、資料購入などに使える分として議員報酬とは別に支給されますので、有効活用したいものです。

また、こういった議員報酬の使い方を公開することも必要ですし、自分の議員活動を具体的に市民にアピールしましょう。そこで、この議員活動についてチラシやホームページなどで詳細を公表し、具体的な議員活動のイメージを市民にもってもらうことにしましょう。

■市民との意見を聴く機会を設ける 週1回、電話を受け付ける時間を設ける。又はYoutubeライブ、Instaライブなど。

■調査研究のために リサーチを外部委託する。 書籍購入や研修、講習会への参加による自己研鑽。

■広報費 白黒A4両面チラシなら2万枚印刷で3万5千円程度。年3回作成すると約10万円。ポスティング業者に依頼すると1枚3円として6万枚では18万円。広報費として約30万円あれば足りるということになります。もっと安い業者もあるかもしれませんのでボランティアグループなども有効活用して広報活動は地域密着で取り組んでほしいと思います。

議会での質問計画を示せ

議員の主な仕事は議会での質問ですね。天童市議会は定例会として年4回議会が開かれますので、質問回数は4回あることになります。質問に関する慣例があるようですべての会で質問ができるわけではなさそうです。しかし当選後、4年間で得られる質問の機会を通じてどのように市政に貢献できるかを考え、ゴールに向かって政策実現を考えましょう。

市会議員の公約とは、市長を動かし議会、役人を動かすことによってしか成しえません。最終決定権者は市長にありますので、市長になにをさせるのか、という点から考えていきましょう。

【1】 行政改革を実行すべく事務事業評価において各事業の人件費まで算出し、妥当な成果指標を導入すること。(ワタセ式自治体腐敗度チェックの(4)を目指す)
【2】 山形空港を民営化し、空港を利用した都市機能の一部として利用するため東根市と協議を行うこと。
【3】水道行政を自治体独自の方式を取り入れることで水道の自活と料金減を目指すこと。
【4】法人市民税法人税割、もしくは個人住民税均等割を減税をし、活力のある若手住民増加政策により、若者が市政を支えるまちにシフトさせること。
【5】法人市民税法人税割超課税率の議会承認時に反対票を入れること。
【6】行政改革で無駄な事業を廃止する、および埋蔵金(財政黒字)を活用して財源問題を解消すること。

このような内容の議会質問や採決の意思をどのようなスケジュールでするかについて説明しましょう。

これらのことを踏まえて、大切な選挙チラシに何を書くかを考えます。
「計画的な議員活動の提示」のところで触れた、政務活動費の使途や市民との意見交換の場の提供について、また議会での質問計画をチラシに書くことを通して市政の問題点が明るみになります。これまで他の議員がやっていないことだと思いますので、有権者の目を引くことになるのではないでしょうか。

市議会議員ができることを公約にする。」これをモットーに誠実なチラシを作りましょう。

まとめ

以上のように、天童市議会選挙立候補者に向けた当選に導く戦略を考えてみました。
当然内容としては地方自立ラボ厳選のものとなります。立候補者自身のもつ政治に対する思いや、経験などを踏まえた政治活動への考えはあるでしょうが、是非ご参考にしていただきたいと思います。

「税金下げろ、規制をなくせ!」の旗印のもと、選挙を戦っていただきたいです。

(こちらは「ワタセ式自治体腐敗度チェック」を考案された渡瀬裕哉氏の書籍です。ぜひご一読いただき、減税と規制廃止を公約に入れてください)


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