見出し画像

第35回前編「ゴスのためのレッスン」




楠本まき
82年、16歳の時に「週刊マーガレット」まんがスクールで入賞。
84年、「週刊マーガレット」でデビュー。
88年、『KISSxxx』連載開始。
※88年、『週刊マーガレット』が『マーガレット』(月2回刊)にリニューアル。
『KISSxxx』は週刊発行が残り6週のタイミングで始まった。
マーガレットコミックス初のA5版で、通巻100万部。


▶︎作品の特徴
『線と言葉 楠本まきの仕事』から文章を二つ引用。以下に記載する。

「どうして自分はこのなかにいないのだろう。(中略)楠本さんの漫画に登場するひとになりたい。かめのちゃんではなく、カノンでもなく、ナジでもなく、Kでもなく、わたしがわたしとして登場したかった。ありふれた日常を離れて、かっこよく耽美に生きたかった。」
《君は僕じゃないし 僕は君じゃない》三角みづ紀


「彼女の作品は、それを通じて、少数派を自認する少女同士が繋がるための隠れた護符のようなものだった。まだゴスロリもヴィジュアル系もバンギャという言葉もない頃である。」
《楠本まき論 解放と連帯のメディアとしての少女漫画》藪前知子


◆本エピソード収録前のアンケート結果
代表的な結果を抜粋して以下に掲載させていただきます。


①「ゼロ年代はゴスっぽいものが流行っていた、という感覚はありましたか?」

【ビジュアルロック系のファッションとはちょっと違うテイストの感じだったと思うけど、広く「音楽的なもの」が好きな層が読んでた。あとケラに先駆けて創刊した「フルーツ」て雑誌が垢抜けたお洒落さで、後発のケラは、何となく北関東(地方ヤンキー感)の匂いがしてた】(97〜00年頃)

【とても流行っていたイメージ。自分の通っていた高校のクラスの3分の1はゴスロリやパンクV系好きな人がいた。それが普通な雰囲気があった。】(03〜06年頃)

【ゴスっぽいのが流行ってました!ガチのゴスの子もいましたが、子供服ブランドになる前のべティーズブルーやスーパーラバーズとか、Cutie、Zipperあたりはゴスっぽいけどその当時のオシャレな感じのブランドを取り扱ってた気がします!】(03〜06年頃)

【黒っぽい服やシルバーアクセサリー、シンメの前髪などゴスまではいかないけど、地方の子達にも影響はかなりあった。クラスに一人二人はおしゃれなゴスっぽい子がいた。】(04〜07年頃)

【一つの層としていた、という印象。フォークロアとかボヘミアンファッションが主流(?)で、同世代の子はCanCan系(エビちゃん全盛期)か、森ガール系か、その他という別れ方だったと思う。そしてその他にゴスロリやパンクが入ってた感じ。】(05〜08年頃)

【読んでたのがちょうどきゃりーぱみゅぱみゅが表紙やってたような時期で、中学生でした。小学校の時に、『黒魔女さんが通る!」(05〜18)という青い鳥文庫でゴスロリに興味を持ち、ゴスロリバイブルやKERAを立ち読みしてました。】(11〜13年頃)

②当時の雑誌の影響力について「雑誌に載っているブランドの服、もしくは似たような格好をしたりしていましたか?」

【雑誌に載ってるブランドは経済的に買えなかった。でもよく大中(だいちゅう)というお店(雑貨とかプチプラサブカルファッションを扱っている)や、39マート、HANJIROで欲しいものを吟味して買うって感じでした】(05〜07年頃)

【少なかったですが、持っていました。中学生にはお高かったので、お年玉もらったあとやセール期間などしか買えなかったです。】(06〜08年頃)

【下妻物語の影響でKERAを買い、当時、結局ロリータ服は買わなかった(買えなかった)けどいまだに憧れはあります】(05〜07年頃)

【服は高くて買えなかった!ので化粧やヘアアレンジのコーナーが一番頼りになっていました】(07〜09年頃)

【あくまで憧れの対象として読んでいました。学校が忙しくてそもそも私服を着るタイミングがなかったのと、校則で染髪や化粧が禁止で、ゴスロリ系の服と容姿がチグハグになるのが嫌で着ていませんでした。けれど、大学生になったら原宿でゴスロリを体験したいな..とかは当時すごく思っていました。】(08〜11年頃)

③「『NANA』『パラキス』はもちろん、同時期に楠本まき、岡崎京子、魚喃キリコなどのA5版の漫画を読んだなぁ、という記憶はありますでしょうか。」

楠本まきを読んでいた、という層は40代前半〜。答えてくれたほとんどの人が読んでいなかった…つまり、私たち世代でKERA等からたどり着いている人は少ない。

またまた、【トランスギャルたちと楠本まきを読んでいる層はまた違った】との証言も。耽美もひとくくりにできない。
『澁澤龍彦や中井英夫が私には耽美過ぎた』と楠本まき先生も言っている。

逆に岡崎京子、魚喃キリコ、安野モヨコ強し!!!
多くの人が読んでおり、タイムレスな影響力。

『NANA』『パラキス』はマジでみんな読んでる。

その他、地方差も感じるアンケート結果でした。
(興味はあったけどそもそも青文字系の雑誌が地元であまり置かれてなかった。)
(地方のスナップ雑誌を読んでいたので横目に見てただけ)

以上、抜粋した意見以外にも多くのお話を聞かせていただきました…!ご協力いただきました皆様、本当にありがとうございました。

◽️エピソードのための音楽 The Cure『Japanese Whispers』(1983)⁠

⁠⁠⁠⁠▷Spotify⁠⁠⁠⁠⁠ ⁠⁠⁠⁠

▷Apple Music⁠⁠⁠⁠⁠

《イベント告知》
ネオ五条楽園×心の砂地
『天使だったなら』

【日時】5月20日(土)
OPEN 13:00
START 14:00
会場 APOCシアター@千歳船橋
通常チケット ⁠¥2,000⁠
限定Tシャツ付きチケット ⁠¥4,000

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここすなリンク集→https://lit.link/kokosuna
Mail: kokoronosuna@gmail.com
https://twitter.com/kokosuna
https://twitter.com/lno_glK
https://twitter.com/zamboni627



記事執筆、ポッドキャスト収録に関わる参考資料の購入などに充てさせていただきます。