潜在意識

潜在意識と顕在意識をご存知でしょうか?

顕在意識とは主に左脳の働く部分で、思考、計算、論理に対して働く機能です。

潜在意識とは、右脳の働く部分です。感覚、感性、芸術をつかさどります。そして顕在意識は1~5%で、残りの95%が潜在意識と言われています。

よく氷山に喩えられ、海から見えている部分が顕在意識で、水面下に奥深くそびえ立っているのが潜在意識です。


人は、自分でも気がついていない潜在意識を元にして行動をしています。


量子力学の創始者で、ノーベル賞学者のマックス・プランク博士が創設したドイツのプランク研究所で、こんな実験がありました。

被験者に対して、「いつでもあなたの好きなタイミングで、指を左右のどちらかに動かしてください」と伝えます。そしてそのときの脳の状態を観察しました。


普通に考えれば、下記のような流れで指が動くはずです。

①指を動かそうと、思う
②脳が活動する
③脳から司令を受けた指が動く


左右のどちらかに指を動かすためには「右の指を動かそう」と頭で考えなければならないので当然ですよね。


でも、実験の結果は違いました。


実際には下記のような流れで指が動いていました。

①脳が活動する
②指を動かそうと、思う
③脳から司令を受けた指が動く


不思議ですが、本人が指を動かそうと決定する8秒前も前に、脳がどの指を動かすかを決めているのです。そしてそれは本人にもわかっていません。無意識の働きです。


そして、2秒後に実際に指が動きました。


つまり潜在意識が脳を動かして無意識に取る行動を決め、そのあと顕在意識に上り、意思決定がなされていたのです。

以上のことから分かったのは、頭で考えるよりも何秒も前に、潜在意識下では結論を出しているということでした。

自分の意思・脳で考えているように見えているだけで、本当は本人の意思とは別の、もっと深い深層心理のところで答えを出していたのです。



■寝ているときは潜在意識が開放される

寝ているときは、顕在意識も寝ています。そのため潜在意識が自由に活動を始めることが分かっています。解けない難問が夢のなかで解けたり、まどろんでいるときにハッと答えを見つけたり。


たとえばドイツの化学者、フリードリッヒ・アウグスト・ケクレです。ケクレはベンゼンの化学構造の謎を解こうと日々悩んでいました。

行き詰まりを感じたある晩、ケクレは肘掛け椅子に座ってウトウトしました。そして夢を見ました。

夢のなかで、目の前に原子たちがが踊りはじめたのです。互いに密着した原子が長くつながり、蛇のように曲がりくねっていました。

ケクレは雷に打たれたように「はっ」として目を覚ましました。そして、その夢をヒントにベンゼンの化学構造の謎を解くことができたのです。

ケクレ自身は気がついていませんでしたが、潜在意識下ではベンゼンの化学構造をすでに解いていたのでした。

まるで神様が降りてきたかのように、勝手に手が動いて難しい数式を解いたり、絵を描いたり、小説を書いたりといった事例はたくさんあります。これは潜在意識が勝手に体を動かしているからです。



私は20代の初めの頃に結婚をしていましたが、夫はとても無口な人で、愛情表現もそれほど得意ではありませんでした。それでも私に対しての愛情を感じさせる行動をいくつも取っていました。

例えば彼が寝ているとき、イビキをかきながら、私のはだけたかけ布団をいつもかけてくれていました。翌朝、そのことを言うと本人はまったく気がついていません。

私のことを気にかける愛情が、無意識に布団をかけるという行動に現れていたのです。



■行動のすべてが潜在意識の現れ

言葉や行動は、自分で意思決定して実際のアクションとして行っているように見えているだけで、実は潜在意識がコントロールしています。

潜在意識が思わず出てしまったということが、よく現れている事例があります。

友人の神島(女性・仮名)さんは、一年に一度くらいのペースで、芸術分野の師匠である鈴村(男性・仮名)さんとポートレートの撮影を行っていました。

鈴村さんはプロのカメラマンではありませんでしたが、彼の撮る作品は素晴らしく、神島さんもその仕上がりに毎回心が踊っていました。

尊敬する師匠と写真を撮るという「遊び」が楽しくてたまりませんでした。

月日を空けて撮影は何度か行われましたが、2015年の撮影では、神島さんは鈴村さんの選んだ撮影場所のホテルに対して、不信感を抱きました。

撮影にはおよそ適さないような、大きなベッドがぽつんと置かれた部屋だったのです。


「素晴らしい作品を撮るためのスタジオ代わりだったはずのホテルなのに、なぜこんな部屋を彼は選んだのだろう」


と神島さんは気持ち悪く感じました。

鈴村さんとの撮影後は毎回彼と寝ていた彼女でしたが、頭に浮かんだのは、「撮影後のセックスをするのが、主目的になってしまっているのではないか」という疑問なのでした。


そのときの鈴村さんの潜在意識を、過去にさかのぼって私は覗きました。

彼自身も気がついていませんでしたが、確かに神島さんの思った通り彼の潜在意識では写真を撮ることよりも、その後のセックスの方が楽しみになってしまいました。

そしてその潜在意識がホテルの部屋選びに現れたのでした。鈴村さんはセックスを求める性欲に心が支配され、実際の行動に現れてしまっていたのでした。そしてその本心に本人も気が付いていませんでした。



■相手の言動には、主目的が隠れている

言葉や、行動は、すべて潜在意識の現れです。

自分の脳・頭を使って「考えた」ように見えているだけで、実は潜在意識が最初から答えを出しています。

なぜあの人はあんなことを言ったのだろう、とずっと心に引っかかっていて、あるときにハッと気がつくことはありませんか?


「あのとき言われた言葉の意味って、そういうことだったのか」と。


まるでパズルのピースが全部ハマっていくように、キレイに答えがハマっていくことって経験があると思います。これは相手の潜在意識が見えたときです。真意が見えたのですね。

先ほどの神島さんも、あとになって鈴村さんの真意に気がついたそうです。そして恒例になっていたポートレート撮影はそれ以降なくなったそうです。

人の行動、言葉の裏にはいつも潜在意識が必ず隠れています。そして自分でも気がついていない主目的が裏にはあります。




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