見出し画像

五輪を見ない理由。

よく分からないうちに、五輪の誘致活動が起こり、

よく分からないうちに、段々と決まりそうになり、

よく分からないうちに、
東京五輪の開催が決定した。


その後、神宮周辺を中心に五輪開催に向けて開発がスタート。

東日本大震災の復興事業も継続中のなか、東北で使われていた重機械類や建築資材などは東京へ移行した。


福島の原発廃炉作業、除染作業、汚染水問題は、

"アンダーコントロール"という、虚偽の言葉に惑わされ、人々の関心は被災地から東京へ…。


私の住むところから、約5キロほど離れた場所に、あづま球場という施設がある。

五輪ソフトボール、野球の予選会場になったところだ。

五輪開催前には、その会場近くに、黒いフレコンバッグ(除染作業で取った汚染土が入っている)が置いてあった。仮仮置き場として…。

五輪開催が近づくと、そのフレコンバッグは別な場所に移動される。

上空に飛ぶ、TVカメラを積んだヘリコプター。

フレコンバッグが画面に映ってはまずかったのだろう。

その球場の側には、体育館もある。

東日本大震災、原発事故発生後、避難者たちの避難所となっていた。

3月の福島は寒い。


私は、避難所となっていた体育館へお手伝いへ行った。

住宅街、近所の方々、

それぞれ布団や毛布をかき集め、避難所へ届けるため。


避難所となっていた体育館。

少ない暖房機で暖めてようとしていたが、

ほとんど暖房の程を成してない。

"着のみ着のまま"で避難してきた人達…。

"子供からお年寄りまで…"


その中で、

『温かい味噌汁がのみたい…』

と、弱い声で私に話す老婆がいた。


なんとかしたいと思った私ですか、

【衛生上、色々と問題がある】
と、スタッフさんの説明があり、
私は諦めようとした。


一旦家に戻り、そのことを母に話すと、

『そんな事は気にするな!困ってる人がいたら、助けるのが人間、人ってもんだ!』

と、

私は応援を受け、

自宅も被害に遭い、食糧も充分にあった訳でもないが、
家にあったインスタントの味噌汁と、乾燥した具材、紙コップ、沸かしたお湯をポット3つに入れ、避難所へ戻る。

それらを持って体育館へ入ろうとしたら、
スタッフさんと目が合った。

【止められるか…】

スタッフさんは、見て見ぬふりをした。

"ルールより、
人としての情をとったのだ"

(ありがとうございます…)


紙コップへインスタントの味噌汁を入れ、配り出すと、
お年寄りさん達は、こんな私に手を合わせ、

『ありがとう!ありがとう!』

『温かいものが飲みたかった…』

『温かい味噌汁…、ありがたい…』

私は涙が出そうになったが、我慢した。

この人たちの苦労、
一体どんな気持ちで何度も避難所を転々としてきたのだ…。


私には、いまだにあの光景を忘れることができない。


----- 五輪開催 -----

そして、世界規模で起きたコロナ感染拡大という未曾有の出来事。

現在も尚そのコロナ感染拡大と人類は戦っている。


海外住む数々の友人知人から、こんなことを言われる。

『ロックダウン中に、オリンピックだって?冗談だろ?』

『世界中コロナで大変なんだけど、そんなの今やって大丈夫なの?』


これらの質問に、正確に答えられる人、説明できる方がいたら、私は会ってみたいし、話を聞いてみたい。


一方国内では、

"五輪をやれば、経済が良くなるんだから!!"

"経済を回さないと人の命に関わるんだから!"

"アスリートは関係ない!アスリートが可哀想だろ!!"


凄い勢いで言ってくる人もいる。


今分かっている限り(8月9日現時点)、
五輪開催で見込まれる経済的利益と、
コロナ感染拡大による経済的損失を計算すると、

マイナスになる事が想定されている。

(※野村総研の試算による)

私は、何の目的で?何のために?誰のために?の説明も無いまま、

五輪を素直に楽しめる気にはなれないのだ。

復興五輪という"冠"も、
被災地域に住む人間としては、

まったくテレビで五輪を見る気持ち、 

否、

見たい気持ちにどうしてもなれない。

これからパラリンピックが始まる。

そして止まらぬコロナ感染の拡大…。

一体、どうなるのだ…。


"金メダルおめでとう!"

"わーい!"

"やっぱり日本は凄いですよね〜!"

"〇〇選手、よく頑張りました!!"


テレビ五輪番組に出ているコメンテーターは話してると聞く。


あの方たちは、

このコロナ感染拡大のこと、どう思っているのだろう。

〇通や、〇ソナの中抜き問題とか、

どう思っているのだろう。

胸が締め付けられる想いに、よくならないなと、不思議に思う。


少なくとも、私にはできない。


当面の心配は、

この不透明で強固開催した祭りの後だ。


どんな状況になっているのか。

目を覆いたくなる状況になってはないか?


コロナウイルスは、

残念ながら、忖度してくれない。


今日は、長崎に原子爆弾が落とされた日だ。

開催期間中に、

ヒロシマ、

ナガサキ、

平和の式典があった。

黙祷…。


五輪開催中に、

五輪会場で、

黙祷はあったのか?

五輪を

見ていない私は知らない。

日本の夏は、

戦争と向き合う季節でもある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?