マサチューセッツで看護師のストライキ

LABOR NOTES 'Massachusetts Nurses Face Down For-Profit Health Care Giant Tenet in Daring Strike'
https://labornotes.org/2021/04/massachusetts-nurses-face-down-profit-health-care-giant-tenet-daring-strike(2021年4月13日)

上記記事によると、マサチューセッツ州にあるセントビンセント病院の看護師が2021年3月8日より、患者に対して適切なケアを行えるような人員配置、サポートスタッフの増員を求めて、ストライキを行っています。記事が書かれた4月13日の時点で、病院に勤務する800人の看護師の内90%の看護師がストライキに参加しているとのことです。
看護師たちは、不適切な人員配置に警鐘を鳴らし続けており、新型コロナウイルスが感染拡大する直前には、200人の看護師が病院側との交渉の場に参加し、人員不足によって、自殺願望のある患者が一人で取り残されたり、患者が転倒したり、注意が遅れて合併症を発症してしまったりなどと言った問題が生じていることを訴えていたといいます。

一方で、セントビンセント病院の経営陣は、看護師らの要求に対して一歩も譲らない姿勢を貫いています。ストライキを行っている組合員看護師の代替要員の看護師に対して2倍の時給を支払い、さらには、ピケラインを見渡せるように新しい防犯カメラを導入し、また、時間外警備のためにウスター市の警察に1日3万ドル以上支払っているとのことです。

また、スト破りを防止するためにストライキに参加していていない労働者にプレッシャーをかけることは、効果的なストライキのための重要な要素であり、セントビンセント病院におけるストライキでもストライキに参加していない労働者へプレッシャーが加えられることがあるようです。
しかし、病院側は、このようなストライキ参加者の行動をいじめと決めつけ、Supporting Colleagues Above Bullying(いじめを受けた同僚のサポート)の頭文字のS.C.A.B.と入ったTシャツを販売するといったことを行っているとのことです。

以上のとおり、労働者と病院側とは激しく対立していますが、セントビンセント病院の看護師たちは、自分たちの組合の強さ、患者のケアの悪さに対する反発、政治的な同盟国からの圧力、代替の看護師や警察への膨大な支出など合わさって、経営陣を交渉のテーブルに引き戻すと信じているとのことです。
・日本における看護師の労働環境
日本においても、看護師の厳しい労働環境は、新型コロナウイルスの感染拡大以前から問題となっています。
日本医療労働組合連合会「2017年看護職員の労働実態調査結果」
http://irouren.or.jp/research/ceb76c47ff9c68138c8354a71e5d5583adcf9538.pdf
(2017年11月)
さらには、日本においても、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、労働環境が悪化し、待遇の改善を求めてストライキが行われており、看護師の労働環境の問題は、外国の話として無視することはできません。
朝日新聞デジタル「看護師らがストライキ コロナ下、相次ぐ退職に危機感」
https://www.asahi.com/articles/ASP3874WRP36PPTB003.html(2021年3月9日)
・まとめ
このことからすれば、新型コロナウイルスの感染拡大は、看護師の労働環境が抱える問題を浮き彫りにした形となっているものと考えられます。看護師の人手不足が心配されている中で、このような労働環境の改善がなければ、人手不足の解消は困難です。
労働環境の改善に向けて団結し声をあげ戦っているセントビンセント病院の看護師の動向に注目し、日本においても看護師の労働環境の改善に向けて声をあげていなければならないと考えます。

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