交換日記vol.03 あなたにとっての「青春」はなんですか?


くまです。

甘いはちみつより、エロい壇蜜が好きです。

今回はそんな僕が「青春」をテーマに日記を書きます。

まー、『カオス』(=現在住んでいるシェアハウスの名前)内で圧倒的最年長の僕にとって、その言葉はもはや過去の遺物なんすけどね。

青春、青い春、ブルースプリング。ろくでなしブルース、的な不良ではなかった。むしろヤンキーたちの隅っこで「まみたんカワユスむふふ」なんて呪いのような言葉を吐いているオタクと仲がいい、つまり取り得無しボーイズ。

そんな僕にとっての『青春』で、まっさきに思い出すのは高一、15の夏。

ある日、クラスメイトのY山(童貞)が、いつもの通りサイズ感明らかにおかしいブカブカの学ランで、ドヤ顔でこう言った。

「知り合いからエロビデオもらったから週末みんなでみようや」

それを聞いた僕が最初に思ったのは「最高だぜメーン」だった。

なにせ、僕も当時はキレッキレのDT十五歳。それもAVなんて持っていない、ましてやどんなレーベルがあるのかも知らない。フ●イデーの袋綴じや、少年ジャ●プのセクシーシーンで下の水道処理をしているレベルである。

スーパーでこんにゃくを見かける度に、買うかどうかドキドキしながら結局買わないチキン野郎である。(ちなみに初処理はNHKで深夜にやっていたセクシーなダンスショーである)

「もちろん行くうっ‼️」

僕は秒で承諾した。

そして週末、日曜日の午後。

Y山の家に、四人の猛者たちが集合した。以下に紹介しよう。

「背丈は子ども、筋肉は大人」の山ピー(童貞)

ニキビに顔がくっついたようなボコボコフェイスのクバっち(童貞)

そんで最近コンタクトにして、ユニクロを卒業しようと企む僕(童貞)と、この五年後に「なあ、彼女に精液って飲ませていいのかな?」と訊ねてくるY山(当時童貞)

このDT四人組でエロビデオを見る。

四十六億年前、銀河系に地球という水の惑星が誕生したのは、おそらくこのためであろう。

そう思えるぐらい、ハチャメチャが押し寄せてくる、胸沸き踊る午後のティータイムのはじまりである。

さあ、はじめよう。

Y山の家は一戸建てで、二階の五畳一間を自分の部屋として使っていた。

狭い部屋にイカくさい四人、邪魔なテーブルをどけ、それぞれの位置に陣取る。

今回の目的は当然エロビ鑑賞である。

早速、エロビデオを見るか、となると思いきや、そうはならない。ええ、そうはならない。だって考えてみて欲しい。僕達は誰? イエス、アイアムドーテーズである。

DTは自分からエロい話題を口出さない口出せない。言えたら、それは低レベルのDTである。だが現在、ここに集まっているのはDTオブDT。DT四天王ともいうべき四人である。

だから見ない。「よし、じゃあ見ようぜ‼」とはならない。

先日のY山みたく、教室で「週末に見ようぜ‼」とは言える。だってそれは未来の話である。だが、いざ見ようとなると、なかなか切り出せない。

じゃあ、どうするか。

時間稼ぎである。

具体的には、Y山の本棚にあるマンガに手を伸ばすのである。

もしくは興味もないのに「明日までの宿題できた?」なんて言って、机の上の教科書を無駄に触ったりするのである。そうやって、まるで本来の目的を忘れたように振る舞うのである。

もちろん、頭の中にはちゃんと「エロビデオ見る!」という意識はくっきりと残っている。

これがDT、すなわち青春、僕にとっての“ろくでなしブルース”である。

ということで、そんな無駄な時間が小一時間ほど続いた。四人は無言で、それぞれマンガを読んだり別のことをしている。

そして「仲間のために120%の強さが出せる。それがお前の強さ……か」なんて山ピーがつぶやいていた時、突然Y山が口を開いた。

「あー、そういえば忘れてたけど、エロビデオ見る?」

忘れた、だと?

そんなわけあるか。世界一分かりやすい演技だわ。

そう思った僕はY山に声をかける。

「あっ、そうそう。そういえばそのために集まったんだったわー。どうせだし見ようよー、イェイ」

DTは嘘つきである。だがその嘘は誰も傷付けない。自分のプライドすら。

ということで、優しい嘘でやっと本来の目的に向かって僕たちは進みはじめた。

Y山がプレステのゲームソフトの並んだ棚からそれを取り出す。

※あ、すんません。今思い出しましたが、エロビエロビと言いながら、あれビデオではなくDVDでした(笑。

だがそのパッケージを見て、僕たちは愕然とした。

(あれ、これ。二次元じゃん……)

「アニメのエロビデオやったんや」

「そうそう。くまちゃん見たことある?」

見たことあるわけがない。

いや正確にはないわけでもないか。少年誌ヒロイン主演のエロシーンをイマジネイションで脳内再生してるもんな。

その後しばらく不毛な会話が続くのだが、ここでみなさんに質問です。実は以下の会話では四人が同じ気持ちの本音を隠している。そしてそれを見破られまいと話しているのだが、どんな本音かお分かりいただけるだろうか?

「でもアニメって……本当にエロイのか?」

「俺はあんまりアニメは興味ないなあ」

「俺も俺も」

「ただ今まで見たことがないって意味では見てみたいかもやけど」

「ああ、確かにね」

「まあ、適当に(映像を)付けるだけ付けようや」

誰もが口々にアニメに対して興味がない的な発言をしている。

つまり、それは本心では逆、ということである。

すわなち、「アニメオッシャキタ――(゚∀゚)――!!」である。

そして、やっとこさ(ここまで読んでくれてありがとさんっす)上映会が始まる。すでに集まって一時間は経った後である。

高校一年生の部屋にある小型のテレビ画面に、どぎついビビッドカラーの少女たちが登場。やがて五分も経たないうちに、そういうシーンになり、おっぱいが現れ、どこか嘘くさい喘ぎ声が漏れ始める。

さて、そんな時の僕たちの様子である。

もし、これを見ているのがイケイケの野球部男子なら「うっひゃー」と奇声を上げて、ふざけてエアオ●ニーをはじめたり、眉を吊り上げて「こうやったらモザイクが取れる」とか言いはじめるに違いない。

非DTだったら「画像荒いね」とか「モザイクでかくね?」とか上から目線でディスりはじめるであろう。

しかし、ナメないでもらいたい。僕達は生粋のDTである。だったらどうするか? “チラ見”である

ちらっ。

ちらっ。

と画面の方に目を向けては、再びマンガに視線を戻す。

マンガマンガ、エロ、マンガマンガマンガ、エロ、マンガマンガである。

エロ本やエロビデオをエロくない商品でサンドイッチしてカウンターに持っていくアレと同じ手法である。

ここまで読んでいただたいたなら、ぜひ想像して欲しい。

テレビを囲ったDT四人が、それぞれ画面をチラ見している光景を。

それも他の三人が視線を送っていない時を見計らって、エロに目を向けようとする、目に見えない攻防を。

これが青春でなければ、なにが青春であろうかと僕は声を大にして言いたい。

そしてDTがこの世に生まれる限り、この世界は美しいと僕は言いたい。

あと壇蜜エロい。


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