さよなら強かったリヴァプール

順位予想

勝点90前後 1マンチェスターシティ
勝点75前後 2アーセナル
勝点60-70 3-9ニューカッスル 3-9マンチェスターユナイテッド 3-9リヴァプール 3-9アストンヴィラ 3-9チェルシー 3-9トッテナム 3-9ウェストハム
勝点55前後 10-11ブライトン 10-11ブレントフォード
勝点45前後 12-13パレス 12-13ウルヴズ 14フラム
勝点35前後 15-17フォレスト 15-17ボーンマス 15-17エヴァートン
勝点25前後 18バーンリー 19シェフィールド 20ルートン

今年も不快なシーズンになりそうだ。昇格組には力がないのでエヴァートンは残留する可能性があり、シティの連覇はほぼ確定している。リヴァプールが弱いので今季のシティは粗削りな若手の才能を磨きながら優勝する最悪の未来が待っている。アーセナルは勢いで走り切れた昨季と違って勝点は80弱になると予想する

3位~9位は故障者次第でいくらでも変わる魔境。ブライトンはCBの質が低くミルナーがRBで守備の大穴になっていて苦しい。ブレントフォードは完成度が高く名将が指揮を執るので連続トップ10の可能性も高い。フラムも名将が指揮を執るがミトロヴィッチの穴は大きい

データ班の権力失墜。クロップの錆びた手腕でリヴァプールは再び中堅クラブへ

データ班はカイセド獲得に失敗した責任を取らされ、移籍市場の権限は再びクロップの手に戻ったようだ。リヴァプールは監督を代えなければ勝点90の時代やCL決勝3回という時代は戻らない。クロップ体制はベンゲル政権末期と同様に限界が来ている。時代遅れの戦術、的外れな監督主導の補強、選手の個性を無視した配置と監督に求められる要素で求心力を除く全てにおいて標準より劣っている

チェルシーとの開幕戦はとにかくガクポが酷かった。左WGのようなプレスのかけ方で何度もスターリングやエンツォやチュクエメカをフリーにした。ロバートソンはリスクを負い前に出るか、止まって1vs2を戦うか守備で高い負荷がかかる選択を迫られ続けた。ロボはこの試合でも多くの場面で勝ったが、リスクを負って前に出るプレーで何度も裏を取られた。昔は1vs2の守備でも体感勝率75%を超えたが、この試合では50%弱と思われたように全盛期からは少しは衰えた

流石のクロップ・リンダーズでも後半の序盤はガクポのプレスを修正したがFW気質のガクポにIHを仕込むには時間が足りなかった。ガクポは良い選手だがフィルミーノと比較すると2,3ランク下の選手だ。適性がないIHで優先的に起用する価値を私は感じない。多くのファンがIHガクポを二度と見たくないと昨季に思ったものだが、マクアリスターとソボスライを買った今季も披露してくれるとは。敵チームからすれば彼が3年も監督をしてくれるのは感謝しかないだろう

クロップは2018年にアシスタントのブバチと別れてからずっと酷いサッカーを継続している。ただ選手を11人ピッチに選んで最低限のプレスを指示する事しか出来ていない。選手の質が揃ったので勝ち続けたが、彼の戦術は一貫していた

守備はFWの守備力、中盤の運動量、最終ラインの質に依存しており、攻撃は何もない。プレミアリーグの監督としては驚くほど引き出しがない。ダイクなどが8㎞強とメッシよりはマシというレベルで少なくアーノルドとサラーが10㎞未満と走らせる事もできない。右サイドが走らない穴を周りが無駄にプレスして広げていく守備は致命的だ。ブバチがアシスタントだった時代は今よりも格段に劣る選手で創意工夫があった。上手くいくかは別だったが、一例を挙げればCBの故障からワイナルドゥムとチャンをCBに据えて3バックにしたブライトン戦などである。ブバチ退団後のクロップがヘンダーソンとファビーニョをCB起用しても4-3-3を継続したのと対照的だった

クロップが成功できたのは最終ラインのボールを扱うレベルが今より遥かに低い時代にフィルミーノ、マネ、サラーといった賢く相手の嫌がるプレスが出来る選手が揃っていたからに過ぎない。グアルディオラの優れたサッカー観によりプレミアリーグの最終ラインはボールを扱う技術が飛躍的に向上しフィルミーノとマネはクラブを去った。それでもクロップは戦い方を変えず同じやられ方を繰り返している。フィルミーノとマネの退団から前プレスは機能せず、ボール奪還能力が落ちた事はスタッツから明らかだ。守備組織を何も構築できず昨季から枠内被シュート本数は3試合で17本。これはリーグ13位タイで下には7チームしか居ない。首位で3本のシティの6倍近く3位7本のアーセナルよりも守備的MFを除き選手の質が良いのに倍以上に悪い

アンカー以外はトップクラスの選手を抱えながらアリソン不在ならボトム10に落ちるレベルのチームを作り出すクロップはクラブのガンである。前提が変わった中でクロップを信じ続けるのは愚かな選択だ

独裁クロップがリヴァプールをアーセナル化させる

アーセナルはベンゲルが適切に金を使わなかった影響もあり、当時の選手の質が低かったので名将エメリでも立て直せなかった。彼らが再建できたのはウーデゴールやサカやサリバといった若手が台頭してからである。しかし、リヴァプールは現在も守備的MFを除けばトップクラスのタレントが揃う

クロップを解任せずにタイトルを取る確率は非常に低くサラーやアリソンといったトップ選手もタイトルが取れないなら金を取ろうとサウジへの移籍を決めても不思議はない。そうなればリヴァプールもアーセナル同様に優れた選手を集め直す所から始めないといけない

またクロップが退任する3年後はダイクとアリソンが衰え始めて選手の質で勝つサッカーが出来なくなる可能性が高い。移籍で適切な選手を獲得すれば良いが、その未来も期待できなくなってしまった。データ班はカイセド獲得を失敗した責任を取らされ、権限が再びクロップに戻ったようだ

遠藤とフラーフェンベルフという求める補強ポイントから外れた選手を獲得したこと、解任間違いなしと報道されたシュマトケと契約を延長する可能性が報じられた事からもデータ班の権限が落ちたのは明らかである。クロップと3年契約を続ければクラブは失敗を繰り返し財政的に致命的な打撃を被るだろう。そうなるとプレミアリーグで2番目に質の高い選手たちを失いつつ収入まで伸び悩むダブルパンチで再建の難易度は格段に跳ね上がる

クロップはブバチの戦術的なサポートと選手の質が高さのお陰で成功した。彼には世界最高レベルの人心掌握があり、彼が無能でリヴァプールの成功に彼のスキルが一切不要だったと言いたい訳ではない。2015年のリヴァプールはフィルミーノとコウチーニョとララナがワールドクラス一歩手前の状態にあり他の選手はレベルが低く目先の結果を出すのは難しかった。この環境下でクロップは最善の選択だった

一般的に結果が出れば自然とまとまるし、結果が出なければどれだけ才能のある人間が鼓舞しても一つに人をまとめるのは難しい。選手達の能力が不足していた当時は目先の悪い結果を笑い飛ばして選手をまとめられるクロップが必要だった。3年弱でチームを変革したクロップとブバチの功績は大きい

だが現在のリヴァプールには当時と異なり世界トップクラスの才能が揃う。今のリヴァプールには才能ある人間を能力に合った役割を与え、適切な位置に置く監督が必要だ。選手のアイデア任せで組織的な動きが0の攻撃を整備して結果を出せる監督を呼べばチームは成績を上げて自然とまとまるだろう

心理学的に一般的な人間は上向きの方向に進む成長するものを好み、下向きの方向に進む衰退するものを嫌う。(無論コウチーニョのように上向きの曲線を描いてる事よりも目先の結果・待遇に固執する人間もいるが…)飢餓の時代を耐え抜いた遺伝子レベルに刻まれた本能みたいなものである

そういった意味で衰退中のリヴァプールにとってクロップのような安定剤が必要だという意見も理解できなくはない。しかしリヴァプールの衰退を作りだしている元凶がクロップなのである

クロップが戦力を活用して上位進出する未来は来ない。サッカーのスタッツを提供しているOptaのデータアナリストが20‐21シーズンからフィジカルの指標が落ち続けている遠藤航を獲得したのは驚きだと評したようにクロップの論理面は一貫して破綻している

夏の補強は10点満点で3点

夏の補強ポイント
1.FWとMFを結ぶ8番かアーノルドを前に押し出せるCB型RB
2.チアゴの控え
3.ファビーニョの後継者&控え
4.CBのレギュラー後継者&控え

夏の補強はマクアリスターとソボスライを獲得し、カイセドの入札に勝ったまでは完璧だった。足りない8番を獲得し、マクアリスターがチアゴの控えを兼任すれば良かった。ファビーニョの後釜を獲得してDFを獲得すれば完璧な夏と言えただろう

しかしカイセドは遠藤になり、CBは溢れているBox to Boxの8番型でケイタに近いフラーフェンベルフを獲得した。ワールドクラス前の欲しい若手を獲得するヌニェス、ガクポに続くバカげた投資である

遠藤はプレースピードが速いプレミアのサッカーに戸惑っており、チアゴやバイチェティッチの控えでカップ戦要員にしかならない。頑張ってはいるが能力不足は明らか。30を過ぎて驚異的な適応と成長を見せたら驚きだ。走るタイプの守備的MFであり、アンカーとして待ち構える守備でDF前で相手のスピードを落とす守備が出来ないのが痛すぎる

フラーフェンベルフはスピードを強化してケイタを一回り劣化させた選手である。ケイタはあまり頭の回転が良くなかったのでプレミアリーグのプレースピードに対応できず伸びずに終わった。バイエルンでのプレーを見る限り彼もケイタと同じ未来を辿る気がしてならないが、ソボスライのように実は頭の回転が速くプレミアリーグに合って戦力になる未来もあり読めない

問題は補強ポイントを致命的に誤っている事である。アーノルドが集中力を欠き守備で足を引っ張りまくっている現状、彼をRBからIHにコンバートするべき状況が迫っていてマクアリスターとソボスライが居る中で彼を買った事は論理的に破綻している。クロップの中長期的なスカッドの編成能力が皆無であるという事を今年も見せてくれた最悪の投資といえる。必要がない場所に金を投じる事ほど意味がないものはない

狭いスペースで受けて前を向きチャンスを作れるマクアリスターと全盛期のチェンボに頭脳と献身性を足したソボスライは良い補強だ。ただモドリッチのような万能IHになるポテンシャルを秘めたマクアリスターは間違った場所で使われて実力を発揮できていない

現在のカオスサッカーでは守備の役割で能力を発揮できないマクアリスターよりもソボスライは高い貢献度を見せている。ソボスライは狭いスペースで力を発揮できないが、チェンボの全盛期のような広いスペースで受けミドル、キャリー、ラストパスで10年活躍が見込める良質な補強となりそうだ。デブライネになる素質がある素晴らしい選手である

2人の獲得で6点、フラーフェンベルフが補強ポジションのミスで-2点、遠藤がミスマッチの-1点の合計3点で夏の移籍は終了した

弱点の守備的MF、守備型パサーを放置して8番やBox to Boxで3枚取る超無能な編成
クロップの編成面での無能さには閉口するしかない

今年の目標-失われた成功の原点

日本語の発音と違うのでカタカナ表記は適当です

スカッドを見れば今年の目標はCL権の獲得である。残念ながらリヴァプールは選手の質を活かせる監督が居ないので最高で3位、現実的には5位前後にて終わる可能性が高い。ELもケガ人と運次第で優勝~ベスト16で敗退まである

リヴァプールに足りないものは守備的MFと優れた監督、そしてアーノルドを前に上げるDF、次世代CBぐらいだ。適切な監督を10/8ブライトン戦後の代表ウィーク中に招聘できればマンチェスターシティに次ぐ2位は濃厚といえる戦力は揃っている。私はクロップを解任して契約解除条項が£10mと破格に安値なデゼルビ就任を祈っているがCEOのビリーホーガンがクビにならない限りはないだろう

https://www.youtube.com/watch?v=nmYDzNQr85cより
攻撃的なタレントが揃うリヴァプールにとって最高の監督
なお守備は昨季からDFの質が低すぎて凡ミスからの失点やピンチが非常に多い

現実はデータ分析班の敗北、クロップ独裁化の道に再び進み始めた可能性が高い。解雇濃厚でシュマトケの後任を探し始めたという報道からシュマトケ続投の可能性と風向きが変わった。データ班はカイセド獲得競争に敗北した責任を取らされたのだろうか。監督とSD主導で遠藤を買った事でデータ班は諦めたのか補強ポイントからズレたフラーフェンベルフを買った。クラブは暗い未来しか見えない道を着々と歩み始めている

これはビリー・ホーガンがCEOとして無能すぎてクロップの独裁を支持し、データ班の要求したMF編成改革を無視した事が原因だ。クロップの求心力やホーガンの営業力はクラブの成功に貢献したが、成功の原点であるデータ班の権限を減らしてクロップ独裁を許した責任は重い

さよなら、エドワーズ時代の強かったリヴァプール。そしてさよなら皆様。リヴァプールの監督が変わる日にまたお会いしましょう

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