さあ開幕ードラゴンズAクラスに向けての戦いー

ドラゴンズは久々にAクラスを争う戦いになるはずだった。クライマックスシリーズ(以下CS)がない2020年も3位だったが、CSがあるシーズンでは前回OP戦を勝ち越した11年前、2012年以来の戦いとなる。昨季が最下位だった理由は二遊間、3人目の外野、6番目の先発、中継ぎの選手層、木下の控えが弱いの6点にあった。ただしトレードで6番目の先発を改善するために阿部を放出したため今季は三塁手も穴になってしまうが、涌井を獲得できたことにより先発は改善。穴が6番目の先発から三塁手に変わっただけで6個あった事は変わらない。今年Aクラスを争えるのは上記から三塁手を除いた5点を改善したからである

阿部の退団、アリエル・マルティネスの退団とビシエドなどは加齢で衰えるリスクもあり万全の戦力とはいかない。ここにロドリゲスの亡命という衝撃のニュースも入った。この影響で勝野と福島が合計で年間75イニングは稼働しなければ今年も4位か5位に終わる。ただ3位の可能性はまだ残されている

昨季オフに亡命しメジャーなら仕方ないが、市場価値を上げる大会を使って開幕直前に抜けるのは身勝手極まりない恥ずべき行為である。契約があるのに反故にするのなら、球団も権利を行使し1年は塩漬けにするべきだろう。幸い、支配下登録に加えたい育成選手もアルバレス、松木平、樋口で68枠。緊急補強で1人取って急に伸びる育成選手が出ても登録できる余裕がある。もっとも来季は本気で優勝を狙うシーズンになるので制限選手を2年続けるのもお互いの為にならない。権利を1年行使して違約金をもらい受けるのが理想である

こういった事がないようWBCはシーズンの後、オフの前にやるべきだが大会を主催するのがメジャーリーグなのでルールは変わらないでしょう。何年も待ち続けた最低目標であるAクラス奪還が近づいたシーズンも興醒めです。ただ現状の外国人枠ルールでは先発投手に1枠使うのが最も理に適っているが、ロドリゲスは先発よりもリリーフ適性が高い。そのため彼が抜けようと先発の戦力を1人獲得できればチーム力は向上する可能性すら秘めている。チーム一丸となって苦境を乗り越えてほしいと思います

野手

総合すれば2番に強打者を置けるチーム力もなければ、主軸打者も大きな穴を抱えたレベルの選手ばかりだが過去2年に比べれば大きな前進。過去10年120チームの中で1試合あたりの得点が120位の2021年ドラゴンズ、119位の2022年ドラゴンズから比べると打力は飛躍的な向上を見せ143試合で500得点弱の普通の貧打チームに改善すると予想する。今年から打線がウリのチームになるというのは希望的な観測が過ぎるが、昨季最大の問題だった最低限の活躍が出来る選手の数が少なすぎる問題は解消されるでしょう

強いチームは毎年活躍する主軸選手が4人くらい居る。守備で飯を食ってる捕手と遊撃手を除いた残る2ポジションを数年に1回活躍するレベルの選手で争うわけである。だから一流半の選手達が活躍しなくても1年を乗り切れるのである。しかし2021と2022のドラゴンズには主軸が大島とビシエドの2人だけしか居なかった。2年に1回活躍する選手も阿部と高橋周平と福田と平田の4人しか居なかった。体力がある間は一流捕手、体力が尽きると二流捕手になる木下、守備要員も京田を除くと全てが一軍のレベルに満たない一軍半の野手ばかり。オマケに2021年や2022年の主力野手のビシエドと大島が既に30代、脇を固める阿部や木下や福田や平田も30代。計算できる20代の野手が高橋周平と京田しか居ない寂しいチーム事情も今季はだいぶマシになった

最も大きいのは岡林が昨季の中盤以降に開花した事である。彼の活躍により野手3本目の柱が育った。強打者1人入れば変わるといった楽観主義者もいるが、ドラゴンズに必要なのは大谷や村上レベルの強打者1人よりも最低限の打力を持つ7人のレギュラーを固める事である。特に昨季穴だった遊撃手、外野手の穴埋めと二塁手と三塁手を兼務してた阿部の放出によって生まれた4ポジションの穴を強化する事が重要である。結論から言えば捕手と二遊間と外野手は昨季から若干プラスも阿部を放出の影響で三塁手は今も穴である

村松と田中と福永の加入、更に石川の復帰により三塁の穴も来年には穴埋めが出来ると予想するが、今季開幕は守備の人である高橋周平で優勝を目指すには弱い。田中の復帰時期は未定だが、彼が戻れなくても三塁手を除く5点の弱点で若干の改善が出来る。来年か再来年に優勝するための種が蒔かれて弱点を改善する意思を感じるから私はポジティブであった

ロドリゲスの亡命はこの機運に水を差したが、龍空や鵜飼やブライト等の2020年以降のドラフト野手が成長しており今季は田中と福永が即戦力候補に加わった。村松と濱は2025年には打撃で戦力になると期待できる選手で弱点の野手は近い未来に大きく改善する

捕手

木下の控えには加藤匠馬を獲得し、外野手をやるには打力が足りない郡司の捕手再コンバートも決定した。大野も石橋も守備面では問題ないが、打力は致命的なので彼らの奮起には期待したい。更に山浅という未来のレギュラー候補も獲得できた。味谷も成長しており、木下に次ぐ二番手の穴は僅かだが埋まるはずである

二遊間

遊撃手は龍空が守備指標は稼ぎまくっており、守備だけ出来れば十分と京田に求めていた目標はクリアできるでしょう。守備すら出来なくなった昨季の穴だった京田からはプラス。問題は龍空の打撃が向上するか、一年フル稼働できるか、の2点だけ。打撃の成績から目を背けて事故が起きなければ年間フル稼働は問題ないでしょう。一方で打撃成績はOPS.610以下に終わり昨季の長岡に満たない可能性も高い。今の所は手で合わせるだけの打撃で軸回転でボールを飛ばせていない

FAで一流の内野手の移籍が起きず、資金力の問題からFAでの補強も出来ないドラゴンズは内野手はドラフト2位で村松、5位で濱、6位で田中、7位で福永を指名して弱点の穴埋めを図った

村松は守備の球際と膝、打球が上がらない問題を抱えているが、打撃指標的でボール球スイング率、コンタクト率はトップクラスの成績を残している。個人的に1年目は苦しむが3年目には本領を発揮する、優れた普通の新人だと予想してたので予想通りである。濱は打撃面ではソコソコ通用しそうだが、守備力の点でプロの内野手といえるレベルにない。彼らが今季の内野手問題を解決する可能性はかなり低そうだが、どちらも3年後の打撃は期待できるプロ生活のスタートを切った

今季の内野手問題を解決するのは立浪監督から直す所がないと言われた田中と長打力が魅力と評される福永の2人。彼らと龍空と溝脇を加えた4人が今季の二遊間の基本線でした。残念ながら田中が故障で離脱した影響により村松や濱やカリステも起用されるでしょう。田中は離脱したが、仮に復帰して100打席数も立てればチームに大きなプラスとなることは間違いない。福永が400打席数以上をこなせれば龍空と溝脇で二遊間は何とかなると予想する

二遊間は守備で稼ぐ龍空、打撃で稼ぐ福永、どちらも稼げる田中で他球団と比べてWARで大きく劣る可能性は低くなりそう。昨季の終盤は遊撃手が土田で二塁手は高橋周平をメインに溝脇と石垣が分担していたので進歩はした。阿部の放出によって代わりに三塁手が弱くなっているのは事実だが…

阿部の放出を咎めるのは理解できるが京田や三ツ俣の放出は妥当であった。京田は砂田と交換できたし、三ツ俣が居るのに若手を起用すればベテラン勢がやる気をなくして二軍に悪影響を及ぼしかねない。溝脇がいるので三ツ俣は有事の保険に過ぎず、その役割は育成の樋口が担えるレベルに過ぎない

一・三塁

三塁手は高橋周平がOPS.650程度しか期待できない打撃。村上や岡本や宮崎や佐藤に比べて大きくWARがマイナスになると思われます。今季の鍵は石川がいつ復帰するのか、復帰後に離脱しないか、去年より打撃成績が改善するかでしょう。彼らがコケたら二塁手に田中、遊撃手に龍空、三塁手に福永を配置するオプションは田中の故障によって期待薄になった

ビシエドとアルモンテの調子はイマイチながら、カリステは腕が伸びる外角低めの緩い球を逆らわず右中間を破って長打を打てるのは魅力。まだ打ち損じが多くOPS.660~.720ぐらいの印象。足が速いのと内野全て守れるのは魅力だがシーズンを通せばOPS.750~.800期待できるビシエドやアルモンテを超えるレギュラー起用は考えにくい。高橋周平の復活そして石川が復帰し飛躍するかが今シーズンの鍵を握る

そう思っていたがロドリゲスの亡命で高橋周平がダメならカリステを起用の道も出てきた。もはや代えが居ないのは岡林と木下と小笠原・大野・高橋のエース3本柱とマルティネスと清水のみになった

外野

守備指標が大きくマイナスだった大島をレフトに、守備指標が球界一の岡林をセンター、ライトがアキーノの予想布陣。控えを細川とブライトと鵜飼と三好の4人で争う。大島は昨季も休養を貰う試合もあったようにフル稼働は厳しく500打席数+αになるので4人の外野手を用意しないといけない。細川もブライトも三好もOPS.650~.700程度の成績を残すと思われ大島の控えは昨季ほど大きな穴にはならないでしょう

アキーノは打率は.220いけばいい方だと思っていたので、打てないのは予想通り。それでも四球と本塁打は稼ぐと思っている。正直に言って下位打線の6-7番に置けば最高の打者だが4番は厳しいと思う。今季の新戦力アキーノ、田中、福永は昨季の阿部のように良い6番打者ではあると思うが、3~5番でランナーを返すには苦しい打者だとも思う。だから得点は500点に届くか、届かないかの水準にまでしか回復しないと予想している。アキーノのOPSは.750~800ぐらいと予想する

投手

ロドリゲスが抜けても総合すればチーム防御率は3.0前後になると予想する。理由は涌井の加入で最後の6番目の先発不足は解消したこと、それに伴って勝野を中継ぎに回せる余裕が出来たことが大きい

勝野は初回被OPS.429、打者1巡目は被OPS.538とトップレベルの投手なのに打者2巡目以降が悪すぎて平均被OPS.784と先発では力を発揮できなかった。彼を中継ぎに回せるのは非常に大きい。また左キラーの砂田が加入し、鈴木博志が右キラーの成績を残している。彼らには黄金期の小林と鈴木のような活躍も期待したい。更には投手陣の中で最も成長したと言われる福島も控え投手陣は故障者が出なければ盤石である。腰に爆弾を抱える勝野だが、先発で長いイニングを投げる中で爆発してたのが中継ぎで改善する可能性も悪化する可能性も秘めている。そういう意味でロドリゲスの亡命は非常に痛いのだが、落合コーチは故障させない運用が上手い。やりくりを上手く出来れば十分にAクラスを目指す事は可能である

先発

高橋宏斗はWBCに参加して長いイニングを投げられていないので調整のため4月中旬以降の合流になりそうですが、この間の6連戦は僅かに1~2回で問題なくローテは回る。小笠原と高橋宏斗と大野はエース格の活躍が期待され、柳と涌井はローテ級の活躍をするでしょう。残る1枠は福谷がリード。ダルビッシュから学んだカーブで緩急が効いて好投を続けているのは嬉しい誤算である。エース格も酷使を避けているため故障リスクは少ないが、万が一にも鈴木博志に松葉に仲地も控えている

また今季の戦力としては期待しにくいが梅津はケガから復帰し松木平は二軍レベルの選手なら見下ろして投げられる球の力がある。際どいコースを狙って無駄な四球も多く、更なるレベルアップは必須だが短いイニングを投げる時の直球はいい。投手の方が才能がある根尾も来年には戦力になれる

中継ぎ・抑え

WBCでマルティネスがイニング跨ぎで起用された時はどうなる事かと思ったが中2日ずつの3試合4イニングで最大25球で大会を終えた。既にチーム合流も果たし、開幕には間に合うでしょう

中継ぎ陣の選手層も砂田の加入、福島の成長で福を酷使しなければならない状況は改善。昨季6月末から便利屋として活躍する森、好調時はえげつない球を投げる山本、腰の問題がなければ短いイニングでは打たれる要素が低い勝野で右投手も祖父江、谷元を二軍に送れる陣容になってきた

活躍するシーズンは左キラーの砂田

結論

総合すると優勝の可能性は元々少ないがほぼなくなった。一方でロドリゲスが退団して使えなかったとしても6位になる可能性も低い。今季は3~5位になる可能性が高く、最も可能性が高いのは4位か5位という結論である。今季の戦力でこれ以上の離脱がなく最下位になるならば立浪監督には3年契約で満了しGMやスカウト等の支援側に回って貰う必要があるかもしれません。戦力の弱点を改善する姿勢、現コーチ陣を考えると長期政権を期待したいので最低限の結果は出してほしいですね

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