2023年6月ドラゴンズ-立浪「監督」の限界?

総評-監督の適性?

監督を誰に代えようと今年の戦力では5位か最下位なのは明白ですが、立浪「監督」の限界を改めて知った6月となりました。全ての采配は確率の話に過ぎず、結果論で非難したくはありません。1軍の脇役はレギュラーになる見込みがない選手で固めてブライトや鵜飼を2軍で経験積ませてる点は立浪監督を評価できます。しかし勝つための監督ではないな、といえるほど采配は良いと言えません。勝てる戦力がない今年はどうでも良いですが、来年の途中か終わりには監督を代えて2025年を迎える必要があるでしょう

6月15日のロッテ戦は勝てる確率を落とす采配を連発した結果、引き分けとなりました。一例は12回に村松の打席でバントの指示。仮に村松がバントを成功し2死2塁になっても岡林、伊藤、祖父江と続く打順。ベンチに残る野手は石川昂弥のみ。岡林と石川を敬遠されたら勝つには投手か伊藤が打たないといけません。伊藤は外野守備と走塁要員で貴重な戦力ですが、打者の伊藤は打ちません。投手はそれ以上に打てない中で、打つ確率が高いと思われる村松にバントを指示した根拠が良く分かりません

接戦で終盤を迎えると毎度代走を起用しますが、監督は控え選手に気を遣いすぎな気がします。点を取る確率が上がらないなら代走を送らないのも作戦です。ランナーの足が速くなる事で得点確率が下がるケースもあり、この点は英智さんが野球いっかんにて指摘をされています。終盤に代走起用を脳死で行う采配で得点の確率が何%上がると考えてるのか理解できません。点が入らなかった場合に次の打席や終盤の起用を考えているのでしょうか

3手先すら読めないなら監督に向いてません。視野が狭い采配で選手の足を引っ張り続けるならば監督は辞めるべきでしょう。京田と衝突して足りない遊撃手の層を放出せざるを得なかった事、左右病気味の起用、我慢できない動きすぎる采配の3点で監督の適性を疑っています。中日ドラゴンズに立浪和義さんの力は必要と思いますが、立浪「監督」は必要でしょうか。私には分かりません

今年結果が出ないのは昔のスカウトが野手の獲得を軽視し続けた事が80%超で立浪監督の責任は15%程度だと私は考えています。ただでさえ野手が弱いドラゴンズの主力打者が高齢化するタイミングでの監督就任は不運でした。無責任な外野が小銭稼ぎで監督の全てを非難してますが、非難すべきは週に1度程度の理解不能な采配ぐらいだと私は思っています

よって誰がやっても最下位を争うだけの今季は続投派である一方、来年以降に戦力が揃い始めるドラゴンズの監督にはもっと良い監督で戦う準備をする必要があると感じています。個人的には和田・中村紀洋の豪華な打撃コーチを維持したい事、豊作と噂の今年のドラフトで最終チェックを頼みたい事。この2点から立浪監督の来季での契約満了、または途中での休養が最適ではないかと思います

真の問題

真の問題は間違いなく1989年~1998年に生まれた野手のスカウトミスです。下表を見れば編成ミスだとはっきり分かります。

2005年以降のドラフトで入団した選手など
(太字はドラフト1位2位の上位指名、下線はトレード・FA・外国人)

この世代分布をみる限り1990年~1998年に生まれた選手が主軸になるべき2023年~をどう乗り越える気だったのか全く理解できません。木下がリーグの中で上位の捕手となり、高橋周平は故障で成績を落とす前は及第点の成績を残しました。京田も守備だけやる8番遊撃手では及第点の選手でした

しかし野手は8人必要です。2人の助っ人外国人が両方当たる前提の編成でも足りません。実力の高い大島が30台後半まで衰えず、3年目の岡林の覚醒、福永が指名漏れ続きで運よく下位で取れた事、細川が現役ドラフトで覚醒できた幸運がなければ勝率30%すら怪しい野手軽視のドラフトでした

確かに監督の采配で1~2点を損したと思われる試合は多くあり、采配が良い監督なら借金は9~10だった可能性はあります。しかしそれでも5位。確率の高い采配をする監督でも勝てない戦力である事まで立浪監督の責任にするのは間違っていると言えるでしょう。今季のドラゴンズは貧打×好投手で監督の采配で勝てる可能性があった試合が増えてますが、戦力的には勝率45%が限界と思えるほど戦力が不足しています

弱いチームに立浪監督の采配がトドメとなっているのは事実でしょう。ただ全てを批判している層はこの戦力で勝てると思っているのでしょうか?確率が高い采配を振るえる論理的な思考力を持った人間は、悲惨な今のチームを率いる事なく安全な外野から見守るに決まっています。次の監督こそが勝負の監督であり、繋ぎの監督として立浪監督はチームの膿を出す仕事では最低ラインはクリアしているような気もしています

また現ドラゴンズに最も必要な野手に良い選手を獲得して起用するという点で立浪監督はドラゴンズに貢献しました。立浪監督にはスカウト部長に転身してもらって、強いドラゴンズを作りあげてアンチを見返して欲しいと強く思います。私は2024年以降は立浪監督の続投に反対ですが、悲惨な野手陣を立て直そうと奔走する監督を退任の日まで応援しています

トレード

またも物議を呼ぶトレードは損な取引にも思えます。ただ宇佐見を取るため山本が必要だったいう誰かの見解を読み、年齢を無視して実力を見れば釣り合いは取れているのも事実だと感じました。山本と郡司が一皮剥けるケースや4人全員が現状のままなら年齢分の損失です

郡司は1軍でもOPS.600-650程度と今1軍に居る選手より打つ可能性が高く、山本も決め球を身に着ければ化ける可能性があります。今季2位以上になる事は絶望的なため石橋を休ませる日に郡司を使えば良いとは私も思います。若手の成長次第で大損の可能性があり、良いトレードとは言いにくいです。ただ現時点では投手よりも打てる野手の価値が高いのも事実です。山本より松山、郡司より石橋の方がポテンシャルを感じるので大打撃とは思いません

宇佐見が期待以上に打ち一軍戦力になれば捕手の戦力不足が解消され成功と言えるでしょう。木下、石橋、宇佐美で固まれば石橋と争う次世代捕手までの時間が稼げます。山浅はキャッチングでだいぶ苦戦中の印象ですが、味谷と山浅は綺麗なスイングで4年後ぐらいには戦力になる可能性は高いと思います。そうなれば石橋と争う即戦力の捕手を取る必要はなくなります。また齋藤は過去の左打者の成績はイマイチですが、スライダーの制球を上げれば化けて良いトレードになる可能性もあります

昨オフも若い小さな幹の為にトレードで大きな枝だった阿部、京田を放出。大きな物議を呼んだトレードでしたが、龍空の守備と元気な時の石川を見ると分からなくもない取引でした。長期的な視点で色々とたまった問題が解消する事を期待したいところです

結果

1週4戦2勝2敗9得点(平均2.3)16失点(平均4.0)
2週5戦2勝3敗15得点(平均3.0)11失点(平均2.2)
3週6戦1勝1分4敗13得点(平均2.2)15失点(平均2.5)
4週4戦3勝1敗13得点(平均3.3)8失点(平均2.0)
5週4戦2勝分2敗9得点(平均2.3)22失点(平均5.5)
合計23戦10勝1分12敗59得点(平均2.6)72失点(平均3.1)

野手

石川の復帰とビシエドの復調で打線は戻ると思っていた私の予想能力の負けで相変わらずの貧打でした。OPSは4月までの.600、5月の.638を下回り.587。月間OPS.334と少し打てる投手レベルだった石川が大きく足を引っ張った。石川はケガ明けなので同情する部分もありますが、1年どころか2か月プレーする体力もないのは厳しいです。肉体的に良い状態でないと実力不足な部分も大きく、将来も1年を通した戦力になるか未だ分かりません

6月も細川&岡林に続く選手が足りませんでした。鵜飼も石川と大差がない数字に終わり、ブライトは相変わらず代打の結果はサッパリ。大島の2000本を早く達成させてスタメンを奪える環境になるまで2軍でも良いでしょう

6月のプラスは龍空。会社によりデータが異なり正確と言えないUZRですが、12球団1位に輝き守備指標を稼げなった昨季の京田を超えました。8番か9番の守備専門型な遊撃手として10年安泰です。月間OPS.551は彼の現在の実力で成長が必須ですが、誰も居なかった遊撃手に安定をもたらしました

問題は京田を放出した事で2番手の遊撃手が居ない事です。理由は不明ですが春先はプロ入り後3年パッとしない成績を繰り返しており、2番手の選手や彼を超えるスター選手も余裕があれば欲しい所です。宗山は村松を遊撃から二塁に回す龍空に近い守備力は即戦力。打撃も1年目でOPS.600弱、3年目にOPS.700を目指せる選手でしょう。今秋ドラフト下位で守れる遊撃手で獲得し、龍空の打撃の成長次第で宗山に突撃するか見送るかを決めたいですね

投手

小笠原と松葉と福谷が月間防御率3点ほど。柳は炎上が響き月間防御率3.8強と荒れましたが西武戦とロッテ戦で連続して9イニングを消化と貢献。涌井も3登板で20イニング防御率1.8と実力を見せた。圧巻だったのは高橋宏斗で初完封を含む4登板29と2/3イニングで4失点自責2の大活躍。ストレートの質が戻って圧巻の投球だった。3年目にして圧倒的なエース格の投球。大野が戻れば3~5年後に誰も残ってなさそうな点以外に先発陣は何も心配がない

中継ぎは監督と落合コーチのマシンガン継投の弊害を受けて疲弊した。最大の被害者は福と祖父江。福は故障明けなのに理解不能な登板ペースで再離脱して祖父江は防御率7点台にダウン。勝野も月間防御率が0点台から2点台に悪化傾向。一方で清水は休養を挟んで月間防御率1.04と回復したように休養を自主的に入れて自分の身体は自分で守ってほしいところ

上田が藤嶋とロングリリーフ役をこなして職場環境が改善されることに期待したい。上田のリリーフ起用に文句を言う人は吉見やチェンがこの環境からキャリアをスタートさせた事をご存じないのでしょうか。高橋宏斗のように凄い球を投げてオープン戦で抜擢されて突如として現れるケースは稀です。二軍の先発修行より、どんな場所でも一軍で活躍した方が金にもなります。プロ野球は徐々に首脳陣の評価を上げて自分の居場所を奪いとるのが普通の世界です

今後の課題

繰り返しになりますが、故障で高橋周平の育成に失敗した事、木下と京田を除き戦力が0だった90年代前半に生まれた世代のスカウトミスが最大の問題です。プロで戦える素材を2000年前後生まれ世代で獲得しましたが、彼らの経験値は低いので戦力が大きく他球団に劣っています。この状態で立浪監督の采配が最後のトドメとなって最下位にいます。しかし故障がなければ彼等の経験値が増える2025年辺りに戦える戦力が揃ってくると思われ、立浪監督の契約が切れて新監督を迎えるであろう2025年が勝負の年になるでしょう

まず細川と岡林に続きビシエドのOPS.790と大島の.740に匹敵する柱となる選手が左翼、一塁、三塁から最低2人必要です。プロ1年目から活躍する新人野手は殆ど居ませんのでビシエドや大島や周平の再起に加え石川やブライトや鵜飼や福元といった若手野手の成長、守備が課題の福永を三塁転向などが必要になります

福永は直球にはめっぽう強く、横の変化も最低限の成績を残す一方で落ちるボールを明らかに苦手としています。守備に課題を抱え、器用さに欠け2番で出場した試合では結果を出せていません。6月から数字を下げているように攻め方次第で成績を落とす危険性もあります。ただ一軍に欠かせぬ戦力にはなるでしょう

また村松は直球と落ちるボールは打てていますが、横の変化球に弱いです。外に逃げる左投手のスライダーに空振り、手元で小さく曲がる右のカット系に手を焼いています。ただ来季は課題を克服すればリーグ平均OPS.700級の成績を残す可能性があると私は信じています

肩の故障からリハビリ中の田中も期待が大きいですが実力的にOPS.650~700の選手と思われます。足という武器があり完成度の高さから実質的な1年目となる来季から成績を残す期待は大きいものの、過度な期待は禁物です

龍空が遊撃手でトップレベルの守備力を見せて戦力化しましたがOPS.550級の打撃は改善が必須です。田中の肩の状態が読めない事もあり、下位指名で本職の遊撃手も獲得する必要がありそうです。資金難に加えて山川の事件もあり打てる野手の獲得は絶望的。現役ドラフトを計算にはできません。またメジャーの給与アップと日本人投手のレベルアップで打てる外国人が来なくなりました。来季いきなり強力打線が完成するとは考えにくい状況ですが、未来を見据えて1位2位の上位と3位4位の中位で2人は指名を続けたい所です

投手は次世代の先発が不足してること、2軍でも結果が最悪の選手が多い事と首脳陣の運用が雑な事が問題です。ただ12球団で上位4チームに入る質と層があり、壊れる前に入れ替えるため肘と肩を壊す選手が少ないのはチームで唯一の救いといえます

柳のFA、涌井と大野の高齢化、小笠原と高橋のメジャー挑戦を考えると5年後に先発が誰も残らない危険性も残ります。中継ぎ陣も祖父江と福と谷元と田島の高齢化が進行しており即戦力が欲しい所です。岩嵜の復帰も期待されますが計算はできません

橋本、石森、近藤といった中継ぎ左腕の防御率が悲惨な影響から砂田と齋藤を獲得しました。2人は防御率3点台、30試合登板、30イニング前後と谷元のように便利屋の仕事で期待されます。ここに松山、仲地、根尾、梅津の成長次第では目先の投手力は維持できそうです

ただ数年後のエース候補、3年以内に開花する強打の内野手、守れる遊撃手は今年のドラフトで指名したいところです。まだ補強ポイントが多く大変ですが、2023・2024のドラフトを成功させれば強いドラゴンズが蘇る可能性が出てきました。緩ーく期待したいと思います

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