22-23シーズンプレビュー

リヴァプール総括

2022年-リヴァプール夏の宿題と優先度

1 サラーの契約延長→〇
2 IHレギュラー育成or獲得→〇カルヴァーリョを獲得
3 チアゴの控え獲得→×?
4 世代交代の種を蒔く→〇ヌニェスとラムジー獲得
5 フィルミーノ契約延長→?
6 余剰戦力の売却(特にチェンボ)→△
(7) ケイタの契約延長が失敗なら売却→代役確保→×?

夏の宿題はサラーの契約を延長し、カルヴァーリョが予想通りに凄かったので85点。ヌニェスは金額だけ納得いかないがチームに足りない決定力特化のFWで長期的に見れば必要な世代交代と言えるだろう。金額についてはマネの退団が内定しており誰かを取らないといけなかった為に価格が跳ね上がってでも誰かを取らなければならない点は不運だった。金額は忘れて長い目で回収していきましょう。ラムジーも将来的な世代交代の種としては金額に見合うポテンシャルを感じる良い補強になりそうだ

マネは昨季から移籍願望を内々明らかにしていたようでシャキリと同じく1年待たせたゆえのご奉仕プライスで売却。一方でカップ戦要員などは高値で売却に成功と戦力の処理もそれなりの結果を残したことも評価されるべき

一方チアゴの控えが居らずチアゴ離脱時に勝点を落としやすい問題への対処は未だ終わっていない。チアゴがフル稼働する事は殆どないので出場機会の問題はないと思われるが、ワールドカップを控えて夏の移籍をしたくない選手がワールドカップ後に動く可能性も高いと私は考える。何故なら昨夏と同様に明らかに補強予算を余しているからだ

今季の予測

リヴァプールは今季も4(+1)冠を争う。マネ退団によるマイナスはヌニェス加入によるプラスよりも大きいものの、80%以上は埋まるはずだ。ディアスがフルシーズン働く事もあり、リヴァプール最大の弱点である4枚目のアタッカーとなるMFにカルヴァーリョがブレイクすればマネ退団によるマイナス以上の成果を得られるだろう

また故障者が出なければGKとCBのクオリティが世界トップレベルすぎてカップ戦を簡単に負ける事が出来ず全てのタイトルを争うことになるだろう。今季はオリギと南野というカップ戦用のエースストライカーを持たない為、カップ戦で点を取る人間が不在なのは苦しい。だがカップ戦の序盤でプレミアの強豪を引かない限りは勝ち抜いていくだろう。既に手にした1つのタイトルに加えて4つのタイトルを争ったとしても、昨季同様に4冠を同時並行するだけの戦力を揃えている

PLのライバルはシティ。CLのライバルはマドリー。カップ戦のライバルはトッテナムやチェルシーではないかと予想される。サッカーというものはMFより前で支配してしまえばCBがナットとリースでもPLの中堅クラブにも勝てるのである。シティはMFより前に優れた選手を抱えており、崩しの再現性が高いので弱いチームには高い確率で勝てる。この為リーグでは滅法強いが、今季のスカッド構成は8月1日時点では不安も大きくつけ入る隙はあるはずだ

PL

勝点・順位予想
95
1位リヴァプールLIV 2位マンチェスターシティMCI
85
3位トッテナムTOT 4位チェルシーCHE
75
70
5位アーセナルARS
6位ウェストハム・ユナイテッドWHU 7位アストンヴィラAVL 8位マンチェスターユナイテッドMUN
55
9位ブライトンBRI 10位レスターLEI 11位クリスタルパレスCRY 12位 ウォルバーハンプトンWOL
13位ニューカッスルNEW 14位リーズLEE 15位サウサンプトンSOT
40
16位ブレントフォードBRE 17位エヴァートンEVE(勝点剥奪なら18位) 18位フラムFUL 19位ボーンマスBOU 20位フォレストNOT

優勝争い

リヴァプールvsシティと思われるが、リヴァプールはマネ退団によるマイナスが大きく、シティは選手の購入と売却を同時に進めなかったので今の所は選手層が大きく落ちた。2チームの戦力を比べると下記の通りです

昨季の出場時間で考えても現状の総合戦力では明らかにリヴァプールが上です。ただシティは登録枠を余しておりFWとDFで即戦力となる選手を各1人獲得すれば優位に立てるだろう。また仮に補強に失敗してもMFだけ大きな弱点があるリヴァプールの方がリーグでは不利と言っても過言ではない

しかしながらリヴァプールを1位に予想したのは選手層が20チームで最も優れている事に加えてシティには新加入選手が多いので勝点を取りこぼす可能性が高いと考えているからだ。つまりリヴァプールは昨季同様に勝点90くらいを獲得するが、シティの勝点が85~88ぐらいに止まるという予想である。彼らがケインを獲得していたならば完全にノーチャンスでPL制覇は絶望的だったのだが、ハーランドはケインほどのレベルにはない。ハーランドの決定力がいかに優れていようとも、ブンデスリーガと違ってCBもGKのレベルも高いプレミアリーグでは苦労すると私は予想する。故障がなければ15得点は堅いだろうが20得点は厳しいのではないだろうか

もちろんリヴァプールは相変わらずチアゴとファビーニョに次ぐMFがヘンダーソンとケイタの争いでレベル不足は否めない。本来なら彼らに割って入るはずのカルヴァーリョをプレシーズンで何故かWGや偽9番で起用し、WGとしては縦への仕掛けで勝てない突破力不足を露呈している
一方でカルヴァーリョは周囲を使う技術だけでなく、周囲に使われるオフザボールの動きも連携でも素晴らしいものを披露している。まだまだミスは多いもののボールタッチも非常に優れており、狭いスペースでもプレーでき守備も的確で運動量も備わっている。リヴァプールが4枚目のアタッカーとして求め続けていたララナのようなスキル構成である

クロップは非常に保守的でシステムもレギュラーも変える事が少ない監督だが、圧倒的な能力を見せれば必ず序列を変更する監督だ。スタメンが消去法で決まるリヴァプール唯一の弱点である攻撃的なMFのポジションをカルヴァーリョが獲得し、勝点を積み上げていくことだろう。クロップの保持時の攻撃は選手を並べて後は選手に丸投げのサッカーなのでカルヴァーリョがハマると手が付けられない攻撃を披露する可能性も残されている

リヴァプールが崩壊するルートはチアゴが故障でシーズンの大半を離脱するか、ダイクが長期離脱→マティプとコナテとゴメスが相次いで故障しハイライン守備の要である速くて高くて強いCBという根幹が崩れる道の2つだけである。高い確率で勝点は85以上取って優勝争いを繰り広げるだろう

3位争い

リーグの2番手はトッテナムとチェルシーで、その2チームにアーセナルが何処まで迫れるかという争いになる。トッテナムは選手層の問題を解決し、ケインとソンという世界最高レベルの2人に丸投げするシステムを構築した。ケイン的な役割も少しできるリシャルリソンの加入もあり勝点80前後を勝ち取る可能性が高い。しかしながら押し込んだ時の打開力では2強に及ばないため優勝争いが例年通り勝点90を超える戦いになればついていけそうにない

チェルシーはクリバリの加入によってリュディガーの穴は質的には埋まったが、5000分も働いた稼働率の穴埋めするのは大変になりそうだ。クリステンセンも退団したため、CBは作り直しである
おまけに最大の課題である前線のクオリティが今夏も上げられなかったので上の2チームが落ちてこない限りは優勝争いに加わる事は難しい。またトゥヘルは素晴らしい戦術家である一方、長期政権の実績は少ない。ドルトムントでもパリでも3シーズンで終了となっており空中分解すればCL権を失う可能性も否定はできない

アーセナルはポルトガルの若き王、シティのお下がりを獲得して選手層の改善に成功した。一方でパスを出せる3列目のMF、脆弱な最終ラインに普通のGKという問題には身体能力に優れポテンシャルの高いサリバ以外は手がついていない。2シーズン前に見た時のサリバはフォファナの方が優れていると思わせる出来だったが、昨季は一昨季のフォファナ以上のポテンシャルを見せている。彼が何処までPLで通用するか見物である
ただ昨季は大金を払って守備陣を改善したと思い込んでいるが、現実は48失点でリーグ8位に過ぎない。2019−20シーズンの55得点39失点から61得点48失点と失点数・得失点差も悪くなっており、質的にはパレスの最終ラインにも劣るバックス。更に失点期待値と失点数との観点からトップクラスとは言えないGKも上位4強からはかけ離れた位置に居り、サリバ1人で改善されるとは思えない
またEL参加による試合数の増加も重くのしかかるだろう。ウーデゴー、スミスロウ、ヴィエイラを抱える攻撃的なMFのクオリティはリヴァプールを上回るが、守備的MFやRBやGKなど控えの質が足りないポジションも多い。トーマスが離脱するような事になれば守備は昨季同様に壊滅して8位くらいに沈む可能性も十分に残されている

今のオーナーが100%経営を握るようになってから過去の蓄えを使いまくってる為2020年5月末に£288mあったのが£107mの赤字で21年5月末で£181mになった。23年5月末で過去の蓄えの殆どが消失するだろうから、これ以上の補強も放出が進まないとなさそうだ
積極的な補強の甲斐あって2列目には優秀な選手が揃っており、少しだけ成果が出ている。オーナーの金ではなく過去に稼いだ金なのでFFP上は苦しいかもしれないが、他ファン視点で見てもアーセナルが金を使う事には何の問題もない。いざとなれば来夏サリバやサカなどを放出して帳尻を合わせるだろう

6位争い

6番手はマンチェスター&ウェストハム・ユナイテッド、ヴィラが争うだろう。ヴィラは的確な補強で弱点を埋めており、飛躍が期待される。ただしプレミアで残留する為に積極補強した選手が不良債権化しており、彼らの処理が終わらないとこれ以上の補強は難しそうだ。最終的な勝点はストライカーとGK次第で大きく上下するので得点力の点で少し苦しく最高でも6位を争うレベルに終わるだろう

ウェストハムは相変わらず独自路線の補強とスカッドの都合で優先度が低いリンガードを見送った点も評価が高い。天才モイーズ就任以降は着実にチーム力を上げており、エヴァートン時代のようにトップ6を脅かすチームを作り上げている

マンチェスターの方のユナイテッドはマティッチのような中盤の潰し屋ではなくフレンキー獲得を目指し、既に決まった獲得も相変わらずの普通の選手に高額移籍金のお笑い補強で選手のクオリティが落ちている。後ろから繋ぐ方針を取りそうだが、バイリーなどはリヴァプールのユース選手のプレスにも苦戦する有様なので故障者次第では更なる低迷もあり得るだろう。ロナウドの決定力とブルーノ、デヘアはビッグ6以外と明らかな差があるのでトップ10を逃す事は想像しにくい。ただエランガだけでなくガルナチョにまで期待しているファンを見るとアイヴやオジョに期待していたファンが居た弱すぎる時代のリヴァプールを思い出してしまう。彼らはPLで10得点できるようなグリーンウッド級の戦力となれる選手では到底ない

9位争い

ウルヴズとブライトンとパレスにユナイテッドと同レベルのFWが居ればマンチェスターユナイテッドを逆転する事も可能だろうが、ネトやザハを除いて質が足りない。ブライトンはククレジャを失ってもそこまで問題になるとも思えず、ウルヴズのネベスやパレスのザハ以外は引き抜かれても大きな問題は起きないはずなので3チームは安定して10位前後を争う事だろう

またレスターは財政難により補強が全く進んでおらず、主力選手を放出する可能性が高いので昨季の8位から少し順位を落とす可能性がある。ただブレンダンの病気によって同じレベルの選手を何人も揃えたため、階層が1個2個落ちたとしても残留争いに巻き込まれる水準までは落ちない

9位争いにもチャレンジ可能な13~15位

この4チームを近い位置で追いかけるニューカッスルは戦力を上積み出来ず。脅威的な勝負強さで勝点を取った後半戦の魔法が解ければ15位程度に沈む可能性も高い。ただ降格の可能性が高い5チームに比べると完成度も戦力も整っているのでそれ以上に落ちることは殆どなさそうである

リーズはラフィーニャとフィリップスの売却資金を使って現在のチームレベルに合った選手を多数獲得した。昨季までリーグ最低レベルの選手層の薄さが改善され、10位争いに進出する可能性もあるが15位前後の争いの可能性が高い

一方セインツは明らかにFWのクオリティが足りない。チェルシーのレベルには足りないブロヤのローンを継続できるかがカギで補強したマラでは話にならない。今後の補強が上手くいく前提で15位と予想したが、仮に補強がなくてもウォードプラウズが引き抜かれない限りは17位での残留は濃厚だろう

残留争い

降格の可能性が高いのはブレントフォード、エヴァートン、フラムで降格濃厚なのはボーンマスとフォレスト。特にフォレストは去年出場時間500分以上の選手から出場時間にして47%得点にして41%強が退団しているため完全に別チームでのスタート。95%以上の確率で降格するだろうが、残留させたら監督は神と言える

最近の昇格組で残留を果たしたチームは
2122ブレントフォード→基本残留組でスタートダッシュ成功→失速→エリクセンブーストで逃げ切り
2021リーズ→ホワイト以外は基本残留でラフィーニャが成功。CB補強は微妙
1920シェフィールド→ほぼ昇格時のメンバーで堅守を武器に残留
1920アストンヴィラ→狂った無秩序な補強もボーンマスに不運な判定が続くギリギリのラッキー残留
1819ウルヴズ→パトリシオ、ジョニー、モウチーニョ、ヒメネスの神補強

このように昇格組で残留するチームは出場時間の多い選手7人くらい残して全く同じ戦い方で弱点のポジションにピンポイント補強できるチームが殆どだ。近年の大型の適当補強が当たって残留につながったのは£140m使った1920ヴィラだけと選手の半分を入れ替えて勝てるリーグではない。唯一の救いはヴィラが残った時と同様にプレミア組に危ないチームが多く昇格組が2チーム残留する可能性が残されている事である。監督がチームを上手くまとめ上げる事が出来れば残留する可能性が10%ほど出てきてもおかしくはない

ボーンマスは昨冬のギャンブル投資でプレミア昇格に成功したものの、財政的な余裕はなさそうで苦しい。ただフォレストに比べると昨季の主力が残留しておりMFより前のレギュラーは残留の可能性が少しだけある。CBが手に入り、故障者が出ずエースのソランケとGK次第では残留の可能性が15~20%は出てくるだろう

フラムとノリッチは2部で王者の戦い方をして王者になっては降格を繰り返している。PLは基本2部上がりが殴り勝てるリーグではなく、今季もCBとGKに課題を抱えるチームは変わらない。更に今回のフラムは前線の選手を繋ぐリンクマンとして攻撃の中心だったカルヴァーリョの退団で苦戦しそうだ
一方でなんだかんだプレミアでも2桁近く点を取るミトロヴィッチは心強く、セットプレーからの攻撃に脅威をもたらすウィルソンも居る。優れたGKであるレノを獲得できれば残留の可能性は高まってくる。昇格組の中では残留する可能性が最も高いが60%程度の確率で降格するだろう

ブレントフォードは昨季スタートダッシュに成功も完全に失速した。そこでエリクセンが加入して再ブーストに成功し昨季の昇格組で唯一の残留を勝ち取った。しかしながら攻撃のキーマンとなったエリクセンは抜け、放り込み戦術にも対策が取られてくると今季は厳しくなるだろう
過去にリヴァプールも追いかけていたと噂があったストラコシャは良いGKであるがラジャはPLでトップクラスのセーブ率を誇っている。ラジャが故障離脱した事で一気に落ちた為、保険としての価値は高いが全体的なレベル不足は否めない。その割にはヒッキーという微妙なLBに大金を払う大盤振る舞いでチームはあまり強化されていない。歯車がかみ合わなければ降格する危険性をおおいにはらんでいる

エヴァートンは戦力的には残留しなければならないが、チームとしては機能しておらずFFP違反の処分で勝点を剥奪される事になれば降格候補の筆頭になる。降格は5チーム中の3チームになる可能性が高くちょっとした補強や処分の違いによって大きく結果が変わるであろうことから現時点で正確に予想するのは不可能に近い

CL等カップ戦

CLは守備力勝負な所が強いのでクルトワとアリソンを抱えるレアルとリヴァプールが本命。1歩離れた所をパリとシティが追う展開になるだろう。レアルは選手層が薄かったCBにリュディガーを補強し、その他は現状維持。リヴァプールはダイクの衰えはあるものの、統率を取るタイプのCBとしてはダイクの対人スキルはトップクラス。おまけにコナテが対人面ではバケモノになりつつある

パリはこの2チームに比べると守備力で劣るが総合的に強いメンバーが揃っており間違いなく強いチームである。強いチームにはそぐわないワイナルドゥムに戦力外通告で放出の方針もチームの本気度を感じさせる
一方シティは組織的な守備力(トッテナムチェルシー・サウサンプトン・パレスなど)or個で強力な守備力(リヴァプール)を持ち、単騎でボールを運べるWGが居るチームに負ける再現性が勝つ再現性と同じくらい高い。PLでもトッテナム、サウサンプトン、クリスタルパレスといった同じ相手にポイントを落とし続けており、CLでも組織的な守備と強力な個を持つマドリーの守備力の前に同じやられ方をしている

そのためトッテナムやチェルシーがCLでぶつかればリーグでの強さとは裏腹にシティが敗れる可能性も高い。脅威のキック精度を持つがジョゼ・サーより劣るエデルソン、リカルド・カルヴァーリョのようなバランスを取れるルベン・ディアスは居るが技術重視でデュエルに強いCBが不在、FBも控えの質も足りていない

この次を最終ラインに課題を抱えるバイエルンとバルセロナ、FWの質が足りないチェルシー、負けないサッカーが得意なコンテのトッテナムが3番手を争う事になるだろう

CL優勝は決して楽な道ではなく決勝トーナメントの対戦相手とタイミングによってどこまでいけるかは決まるだろう。だがベスト8に残る確率は非常に高いと断じて問題ないはずだ

私の出現頻度は宣言通りNoteだけでなくTwitterも大きく落ちると思いますが、少なくともあと3年は続くリヴァプールの黄金時代を楽しみましょう。今季もよろしくお願いいたします

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