見出し画像

田中俊行氏を求めて~弘前3時間店長編~

7月1日、私はあるTwitterの投稿を見て5秒で弘前行きを決意した。
それは、田中俊行さんが弘前のBARで3時間店長をするという情報である。

私がいかに田中俊行さんに熱い思いを抱いているかは、祝祭の呪物展2レポにて熱く語ったため、そちらを読んでいただけたらと思う。

現在仙台に住んでいるため、弘前に行くとなれば、東京に行くのとそう大きな違いは無いのだが、田中さんが東北で、しかもBARで怪談を話すとなっては、もう移動費や時間なんて気にしている場合ではなかった。
もしかしたら私が集めた怪談を提供するチャンスがあるかもしれない。
そしてあわよくば先日購入した田中さんの著書「あべこべ」にサインを貰いたい。
そういった様々な欲望を抱え、新幹線のチケットを取った。

そして7月4日。
Twitterでは19:00~22:00の3時間、田中さんが店長を務めるとのお知らせがあったため、現場19時着の予定で行動していた。
駅に発車時刻ギリギリに到着した私は、出発時間を頼りに新幹線を探し、乗り込み発車を待った。
そして無事発車し一息ついたところで信じられないアナウンスが流れる。
「はやぶさ○○号、東京行き〜…」
ファッ?!真逆じゃん?!
こうして、同じ発車時刻の反対方向に向かう新幹線に乗っているという絶望的な状況に気がついた私は、もうなりふり構っていられないと、車内で折り返す新幹線のチケットを取った。
1万円ほどドブに捨てたがもう引き返せないところまで来ていた。

そこからのリカバリーは我ながらかなり上手く、何とか1時間ほどのロスで済んだ。
新幹線で新青森駅まで、奥羽本線で弘前まで、そしてタクシーに乗り込み、会場のBar35007さんにたどり着いたのが20時頃。
BARに近づくと何やら店先から声が聞こえてきた。
そして恐る恐る店前に立つとそこには、今回の主役、田中俊行さんがいた。
嬉しさと緊張で震えたが、さっそく声をかけ、会うために仙台から来たこと、呪物展でお世話になったことを伝えた。
今回のお客さんはほとんどが弘前の方だったようで、仙台から来たと言うと周りの方もとても驚いていた。
田中さんは呪物展で会った時にちゃんと喋れていたかどうかをしきりに気にしており、めちゃくちゃ可愛かった。

そして店の中に入ると、多くの方が楽しげに談笑しており、立ち飲みの方もいた。ちょうど20時台の怪談タイムが始まるところだった。

小声でドリンクを注文し、待ちに待った田中さんの初生怪談に聞き入る。
呪物の披露があり、実際に匂いを嗅がせてくれたりしていた。
私は、ここ数年で1番楽しい気持ちになっていた。
動画でいつも楽しませてもらっている分、しっかりとお金を払って生で聞くことが出来るということに嬉しさが込み上げてきた。

怪談の後、思い切って話しかけた。
そして本を見せたら、サインを書いてくださった。
これはもう冗談抜きで家宝である。
自分の想像の5倍くらいの声量で
「やったあ!!!!!ありがとうございますゥ!!!」
と言っていた気がする。
まさか落ち着いてあんなに話が出来るとは思っていなかったのでこれはまさに棚からぼたもちだった。

そして田中さんがテーブルを回ってる間、近くに座っていたお客さんや店員さんとお話をした。友人に聞いた怪談もお話したりして、かなり盛り上がった。
そうしていて気づいたのだが、弘前の方は尋常でないほど優しいのだ。
フランクに話しかけてくれ、どんな話でも楽しそうに相槌を打ってくれた。
また、私が1人で仙台から来たことを気にかけて、沢山質問などで話を盛り上げてくれた。
本気で今まで降り立った土地の中で一番人が優しいように感じた。

今回のイベントは怪談作家の高田公太さんが企画してくださったそうで、高田さんも途中からいらっしゃって、気さくに声をかけていただいた。
また、高田さんの他の弘前乃怪の方々もいらっしゃっており、全員が限りなく優しかった。

高田さんの提案で、あるテーブルに混ぜていただくことになり、そこには素敵なお兄さんお姉さん方がいた。
どうやって来たのかや、泊まるところがあるかどうかなど見ず知らずの私に対しても優しく声をかけてくれ、お兄さんの面白い怪談を聞きながら美味しいお酒をみんなで飲んだ。
この幸せ空間は一体なんだと思い、とても感激した。

そして再び田中さんとお話するチャンスが巡ってきて、動画を見て疑問に思っていたことを質問することが出来た。
なぜ家の鍵をかけていないのかや、近所のおばあさんはどうなったのか、失礼なことを聞いてしまったかとも思ったが、田中さんはなんでも答えてくれた。もう最高。神はここにいました。

また、かの有名な激アツ銭湯の話など、田中さんとお客さんとみんなで楽しくお話が出来た。
もうこの時点で私の目的は果たしすぎなほど果たされているのだが、ここに来て千載一遇のチャンスがやってきた。
私が集めた怪談を田中さんが聞いてくれると言うのだ。
私なんかが目の前の尊敬する怪談師の前で怪談を話していいのだろうかという気持ちと、何としても田中さんに話を提供したいという気持ちに挟まれつつも何とか話し始める。
私の話に田中さんが相槌を打ちながら耳を傾けてくれているというこの現実。
この世はなんて素晴らしいんだろうか。神様ありがとう。
そして田中さんのスマホに録音された私の怪談。
神様ありがとう。
何とか話し終え安堵した。

そこから30分ほどたった頃だろうか。
また田中さんの怪談タイムが始まった。
すると気前のいいお姉さんから田中さんへテキーラがプレゼントされ、それを勢い良く飲んでいた。
私の記憶違いでなければその時既に田中さんはテキーラを3杯ほど飲んでいる。
場の盛り上がりは最高潮だったが、流石に大丈夫だろうかと心配する方もいた。
結果素晴らしい怪談が披露され、流石、酒に負けるような田中さんの怪談では無いなと密かに感動した。

その後も田中さんに怪談を聞いていただいたり、お兄さんお姉さんの怪談を聞いたりと、最強ワクワクハッピー怪談タイムを満喫して、ついに2回目の田中さんとのツーショットまで撮っていただいた。
また、なんと同じテーブルのお兄さんは私の宿泊先を心配し、ホテルに電話までしてくれた。
なんて優しいの!?本当にありがとうございました!!

22時までのはずだったが、その後も弘前乃怪の皆さんや田中さんはお店に残ってくれていたため、沢山お話できた。
流石の田中さんもフラッフラになってきて、それでも薄れゆく意識の中怪談を聞いてくれた。もうなんかほんとにありがとうございました…。

そして遂に田中さんが退場する事になり、お店の全員で盛大にお見送りをした。

その後、残ったお客さんと弘前乃怪の方々とテーブルをくっつけて長い時間沢山お話をした。
怪談を聞かせていただいたり、色々なエピソードを聞かせていただいたり、ただの怪談好きの一般人が参加するにはあまりに贅沢すぎる空間だった。
結局閉店まで楽しみ尽くしてしまった。
こうして私の超絶ハッピー弘前旅は終わりを告げた。

こう文章にしてみると改めて感じるが、今回の旅は本当に人の優しさに助けられたと思う。
こんな素敵なイベントを企画してくださった高田さん、最高の怪談を沢山聞かせてくれた弘前乃怪の皆さん、素敵な場所と美味しいお酒をご提供くださったBar35007さん、見ず知らずの人間にとんでもない量の優しさをくださった弘前の方々、そして忙しい中、思っていた以上の幸せをくれたサービス精神旺盛な田中さんに心からお礼を申し上げます。

弘前万歳!田中俊行万歳!
イェイイェイ!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?