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《サンクトペテルブルクのパラドックス》〜あなたはこの賭けの参加料いくらなら乗りますか?〜

友人
「日本のカジノ構想って今どうなってるの?」

キュイ
「有力なのは、大阪の夢洲とハウステンボスみたいキュイ。横浜は撤退しちゃったキュイ。」

友人
「え〜。横浜良かったのになぁ。残念。」

キュイ
「じゃあ、仮想カジノゲームでもするキュイ?」

友人
「そうね。オンラインカジノは事件があったばっかだし、想像上で我慢するよww」

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キュイ
「これはコイン投げゲームだキュイ。コインを表が出るまで投げ続け、初めて表が出たのが何投目かで獲得賞金が決まるキュイ。1投目で表が出たら賞金は1円キュイ。1投目は裏で2投目に表が出たら2円。2投目までは裏が続き、3投目が表だったら4円…、というように、表が出るまでの投数が1つ増えるごとに賞金が倍になっていくというルールキュイ。」

友人
「なるほど。裏裏裏表で4回目に表が出るなら、2の(4-1)乗で賞金は8円ってことね。」

キュイ
「理解が早いキュイ!ちなみに表が最初に出るのが20回目なら、賞金は52万4288円キュイ。上手くいけば結構イイ金額になるキュイよ?」

友人
「まあね。でも、元手はいくらかかるのさ?」

キュイ
「お察しが良いキュイ。参加料は勿論必要キュイ。さて、参加料がいくらまでなら挑戦してみようと思うキュイ?」

友人
「また期待値の話かぁ。え〜っと、1投目に表が出る確率は1/2で賞金は1円、2投目に初めて表が出る確率は1/4で賞金は2円、3投目に初めて表が出る確率は1/8で賞金は4円…。n回目に表が出る確率は1/2のn乗で賞金は2のn-1乗だから計算すると、1/2+1/2+1/2+……+1/2。ん??」

キュイ
「どうしたキュイ?」

友人
「期待値が無限大になるぞ?なんか変だ。参加費がたとえいくらであっても、ゲームに参加した方がいい事になる。そんなゲーム、胴元は許さないはずだ。」

キュイ
「!!(*⁰▿⁰*)」

友人
「ちょっと聞いていい?このゲームって、投数制限ってある?」

キュイ
「いや💦最初からは決まって…ないキュイ…。」

友人
「じゃあ、胴元の支払い能力は?賞金の上限ってあるの?」

キュイ
「(すっ、鋭いキュイ💦)マカオの売り上げは、1日3.5億円といわれてるらしいから…。」

友人
「はは〜ん…分かって来たぞ!そもそも、10投目に初めて表が出る確率は1/1024であり、その場合の賞金もたかだか512円にすぎない。確率が1/1000未満なのに、賞金はほぼ500円…期待値は5円だなんて。参加料100円でも全然割に合わないぞ!」

キュイ
「バレたかキュイ〜😅期待値が無限大になるのは、賞金に上限がなく、胴元が無限大の賞金を用意できることが前提だキュイ。でもそれは不可能キュイね。仮に胴元が1億円をもっていたとしても、27回連続で裏が出るだけで、賞金は1億
円を超えてしまうので、26回裏が出た時点で打ち止めで、27投目は裏でも表でもOKキュイ。その場合の期待値をあらためて計算すると…。」

友人
「1/2×26+1=14…えっ…14円じゃん!」

キュイ
「このパラドックスは、300年くらい前にスイスの数学者ダニエル・ベルヌーイが発表したものキュイ。ベルヌーイが住んでいた地にちなみ、“サンクトペテルブルクのパラドックス”とよばれてるキュイ」

友人
「ベルヌーイって、あのベルヌーイの定理の?」

キュイ
「そうそう…博識キュイね🧑🏻‍🎓✨」

友人
「ベルヌーイの定理って何だっけ?」

キュイ
「 wwザックリ言うと、『管の中を流れる粘性のない液体の、流れる速さと圧力の合計は、管の断面積によらず常に一定』ってやつキュイ。」

友人
「そうだったけかな?…それにしても、これってあんまり儲かるゲームじゃないね。…14円の参加料を回収するには、16円の賞金獲得しなきゃいけないから…2の5乗で…確率は、1/32か。かなりの確率で負けるね。」

キュイ
「でも、参加料が14円で良いのなら、かなりのローリスク・ハイリターン案件だキュイ💴✨胴元は参加料での回収率があまりにも低いので、ゲームの開催をしたがらないだろうキュイ」

友人
「あっ、そっか!!仮に26投目で打ち止めでも、賞金は6,700万円を超えるから元手14円が479万倍になるぞ💰14円なんて痛くない出費だから、宝くじなんかよりイイね❣️」

キュイ
「お!態度が急変したキュイね。そういうの何て言うか知ってるキュイ?」

友人
「知ってるよ!※プロスペクト理論って言うんでしょ」

キュイ
「違うよ。“とらぬ狸の皮算用”だキュイww」

友人
「ww」

                      fin.

※プロスペクト理論
行動経済学の基礎になる理論であり、人間は与えられた情報から、期待値に比例してものごとを判断するのではなく、状況や条件によって、その期待値を歪めて判断してしまうというもの。 
友人のケースでは、不確実な選択に対しておこなう決断が、損得や金額によって変わっている。

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