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HSPってこんな人 | DOESの紹介と自分を愛でようという話

少し前に流行ったHSP。皆さんご存知ですか。
「繊細さん」のことです。
ざっくりとしか覚えていない(私と)皆さまのために、改めて整理したいと思います。

HSPとは

HSPは、ハイリー・センシティブ・パーソンの頭文字です。

H …Highly  (とても・ひと一倍)
S …Sensitive  (繊細な)
P …Person  (人)

HSP …  The Highly Sensitive Person

1996年に、アメリカ人の心理学者である、エイレン・N・アーロン博士が提唱した概念です。

繊細というと日本語の語感に引っ張られて、
「私、か弱いから大切に扱ってね。心がガラスでできているの。」と自分から言っているように感じ、躊躇する人もいるようです。でもそれを言いたいのではなく、内外から受け取る性質が生まれつき強いのよね、と言っているだけですね。

光を眩しがる人や、大きな音が苦手な人など、感じ方には個人差があるので、感受性が強い人がいることは理解できますよね。

人口の20%ほど、約5人にひとりの割合で存在します。人間だけでなく、生物にも存在することや、自然淘汰されていないことから、種の保存にとって必要なものだと考えられています。

HSP特有の感受性とは

アーロン博士が提唱しているのは、感覚処理感受性のことで、生まれつきの気質です。

感覚処理感受性とは、脳内で受ける感覚情報(痛覚、視覚、聴覚、味覚など)を処理する際の受け取り方のことで、個人差があります。ただし、HSPの人は特定の器官が優れているわけではありません。HSPの人が知覚したときに活発になる脳の領域は、感覚情報をより複雑に処理しています。

複雑に処理するとは、たとえば、言葉を例にすると、形から文字を認識したり、文字を読んだりする脳の領域が発達しているというわけではなく、言葉の微妙な意味を読み取るということです。

この感受性が高いと、刺激を受けたときのしきい値が低いために、通常よりも小さなことが刺激となります。それで、疲労感や心への衝撃を他人より強く感じるのです。脳の反応としては、興奮状態になるという感じです。

HSPの4つの指標(DOES)

ただ、HSPは4つの指標すべてに当てはまるかで判断されます。一般的な人の「感受性が強い」ということや、「神経症である」ということとは異なります。

D 処理の深さ
 (Depth of Processing)

情報をより深く処理する傾向は、HSPの人の基本的な資質で、あらゆることを過去の類似する経験と関連付けたり比較したりします。それは意識的、無意識的に関係なく生じます。意識的におこなう場合は、様々な選択肢を考慮するので、人よりも判断が遅いと見られることがあります。無意識的な場合は、直感力となって表面化します。HSPの人の脳内では、身体内外や感情などの情報を統合する「島皮質」という領域が活性化しているそうです。この場所は、「意識の座」とも呼ばれます。

O 刺激に過敏
 (Overstimulation)

HSPの人は、状況から感じ取る情報が多いので、処理する情報も多くなってしまいます。通常よりもストレスを感じやすいですが、わずかな違いを見つけることに長けているとも言えます。いずれにしても刺激として感じるため、静かな場所で休むことを必要とします。休めば復活できるところが、ほかの病気とは違うところです。

E 情緒的反応
 (Emotional Reactivity)

HSPの人は、ネガティブなことよりも、ポジティブなことに、より反応をします。また、共感性にも優れており、他者の気持ちを理解するだけでなく、場合によってはある程度、相手と同様の気持ちになり得ます。感情は、非論理的思考に導くというネガティブな考え方がありますが、実は感情が動くからこそ、そこから学ぶことが多いし、それを忘れないということが研究されています。感情は、知恵の中心だとも言えるのです。

S 些細なことにも気づく
 (Sensing the Subtitle)

HSPの人は、ひとつの事象から、関連する過去や未来を結びつけたり、自分が感じる感情のひだを自覚できるので、取り入れる情報が多くなります。環境から受け取るものや、相手の微妙な表情の変化、何を求めているかといった様々な可能性を自然に気がつくことができます。

以上の4つの指標すべてに当てはまる方は、HSPの可能性があります。

HSP診断テストは、ネットで気軽にできるものもあるので、遊び感覚で試してみるのは楽しいと思います。一般的には、精神科医が診断するような部類のものでありますが、日本ではまだまだ歴史が浅いので、専門家は少ないでしょうね。

個人的な見解をお話しすると、HSPかどうかは自分がわかっていれば良いことなので、わざわざ医者に診断してもらう必要はないと思います。日本ではどちらかというと、教育分野でHSPを取り上げることが多い印象です。診断書のようなかたちで、どこかに証明書を出さないといけない場合は、医学的な根拠は便利だとは理解しています。HSPなのに、ほかの病気だと誤診されるのはやっかいなので、理解のある専門家に相談するのが理想です。

※アーロン博士のサイトでセルフチェックできます。

HSPは病気なのか

HSPは病気ではありませんが、刺激に敏感な疾病と混同されることがあります。たとえば高機能自閉症の人は、社会とのつながりに訓練を必要とすることが多いようですが、HSPの人は社会的な変化に目ざとく、概してそのことを楽しんでいます。ただ、刺激も同時に受けるので、休息が必要になるのです。

HSPは生きやすさを優先しよう

HSPはマイノリティではありますが、奇特というほど珍しくもありません。また、個人差があることです。自分がHSPだと感じる人は、自分の過ごしやすさ(環境)、生きやすさ(感情)を最優先して日々を過ごすことをおすすめします。理解されないことで悩む方もおられるでしょうけれど、大事なのは自分が自分を理解すること。理解してくれない人は放っておくか、必要に応じて距離をとってください。環境を変えるほうが快適な場合もあるかもしれません。

生物学的には人類にとって必要な資質であると知れば、「自分が悪い」と卑下することはなくなるでしょう。「自分は必要な存在なのだ」と自分で理解することが、自分を楽にしてくれると思います。感受性が強い分、しんどく感じることも多いかもしれませんが、ポジティブな影響を受けることも多いのです。一般の人よりも喜びが大きいとか、感動が多いということは、なかなか比べられることではありませんからね。良いことがあるたびに、他人よりも喜びが多いことを誇りに思いましょう。

根拠のない自信でも良いんです。
感じるために、経験するために生まれてきたし、「体験できただけ」で価値がありますからね。

別の記事では、もう少し細分化した「HSPの種類」や、私が感じる「HSPならではの敏感さ」を取り上げます。たぶん。


参考文献:「敏感すぎる私の活かし方」
     パンローリング株式会社



HSPに触れた過去記事は、こちらからご覧ください。






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