『不親切教師のススメ』松尾英明(さくら社)を読んで

 松尾先生が「おわりに」で書いていたように,本の題名が「不親切教師」とあるが,ここに書かれていることが本当は「親切教師」なのではないだろうか。子ども達に手取り足取り教え,教師が細やかに環境を整えれば,子ども達は安心して学校生活を送れると思う。しかし,その先生だからであって,学年が変われば対応も変わってくる。そして,年齢が上がり社会人へ近づいていくにつれどんどん主体性が必要になる。そのためには,子ども達をいい意味で突き放し,自分たちで考えて行動,悩みを解決できるような環境を与えていく必要があると感じた。

 総じて書かれているのは,これまで当たり前のように行われてきた「慣習」を見直すべきだということである。私自身も疑問を持たずに行ってきたことばかりであったが,そこに目がいくかどうかはその教師の哲学があるかどうかに違いがあると感じた。松尾先生はきっと確固たる教育哲学を持っているのだろう。私も自分なりの教育哲学を明確にし,勤務校の「当たり前」を見直していく。

 漢字練習や宿題に関する部分については全くの同意見である。ひたすら書かせ続ける漢字の書き取りや,一律の宿題は効果を感じない。漢字は小テスト→間違えや字だけ復習→再テストを繰り返して行っている。そうすることで,一人一人が自分に必要な漢字だけを練習するようになる。覚えられれば漢字の宿題も少なくなるので,意欲も高まるだろう。自学では子ども達が自分に合った学習を見つけられるように,学習の仕方を教えていくと良い。

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