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小説 占い師ケン

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繁華街で占いをして生計を立てているオレ。まあ、スナックのお姉さんたちがメインのお客さまだが、たまにサラリーマンやOLさんもやってくる。営業時間は夕方から2、3時間。そんなまったり…
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#スナック

占い師ケン 第1話

 オレは占い師。いろんな占いがあるけれど、それはまあ、たいていは統計学上の占いが多いと思う。遠い昔から占いはされてきたんで、それなりにかなり研究されて、当たる確率が高いものが多いと思う。でも、オレのは違う。多分そのどれにも当てはまらない。  オレはいつものように、夜7時くらいに占いを始める。店は繁華街の路地に構えている。だけど、ものの2~3時間ほどで、店仕舞いだ。それでも、一応、毎日やることにしている。まともにサラリーマンをやってもよかったんだが、自由気ままにやれるこの仕事

占い師ケン 第3話

 小声とはいえ、オレにはしっかり聞こえた。オレの善意は、あの映画の犯人と同じなのか。あまりにショックだった。おもいっきり、落ち込んだ。その日は部屋で寝込んだ。誰の電話も出なかった。翌日も寝込んだ。食事も採る気もなかった。その次の日、オレの部屋のドアのベルが鳴った。何回も、何回も・・・そのうち、ドンドンと音がした。でも、オレは出る気が起こらなかった。だが、しばらくしてドアは開かれ、人が入ってきた。 「ケンちゃん、大丈夫なの?」 「あれ?ゆうこママ?恵子も?」 「ほんと、心配し