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「こんにちは。」 声を掛けたが、誰も出てこない。人いるのかな。いつまでたっても、誰もでてこない。やっぱりダメか。諦めて帰ろうとして振り返ると、目の前に女の人が立っていた。 「うわっ。」 全然、気配がなかったので、びっくりした。 「お泊りですか?」 「はい。」 「一泊ですか。」 「はい。」 この人、全然表情ない。幽霊みたいだ。髪の毛長いし、前を隠して白い衣装きたら、あの怖い映画の人みたいだ。大丈夫なのかな。 「夕食と朝食付きで、8千円です。」 「あ、はい。」 安いな。金額的
とにかく、あの女のそばから離れてしまいたかったので、くるまを走らせた。連絡先の交換などしてなかったので、二度と会うこともなかろう。俺は公園の駐車場にくるまを止めて、寝ることにした。人の善意を無茶苦茶にするやつもいるもんだ。改めてそう思った。 翌朝、俺は更に北上を続けた。のんびりした田舎の方がいい。まだまだ、お金の方は大丈夫だ。のんびり行こう。 数日後、俺は切り立った崖から海を見つめていた。水平線が上下に分ける海と空。下を見ると、波が水しぶきを上げている。潮風は気持ち
ふと気が付くと、雨は小降りになっていた。もうちょっとしたら、走りにいくかな。 「コービー飲む?」 「苦いの苦手。」 「そっか、それじゃ、ミルクと砂糖入れたら?」 「それなら、飲む。」 俺は甘目のコーヒーを作ってあげた。 「おいしい。」 こんな甘いのがいいのか。コーヒーはやっぱり、ブラックなもんだろ。 雨はそのうちやんだ。俺たちは念のためカッパを着たまま、走りだした。景色のいいあの場所へいくのだ。 「あ、虹・・・」 「ほんとだ。」 その場所に着くと、虹が見えた。広大な景色