利益率9割は゛ボッタくり″。やはり政治資金パーティは禁止すべきではないか。 

 筆者(鳥居)は、労働組合の専従を経て国会議員の公設秘書となり、永田町生活で政権交代を2度体験した(自民党政権から民主党政権、民主党政権から自民党政権)ことから、最近の「政治とカネ」の問題について「またか」という諦めを拭いきれません。

 かつて労働組合に勤務していた時の出来事です。会ったことも直接関係もない国会議員秘書の方が労組事務所に来られ、政策秘書の名刺を出してきた。用件を聞くと「議員が政治資金パーティを開くので、パー券を買ってほしい」という。
 まずは、会ったこともない無関係の議員だったことにビックリ。私(鳥居)から「政策秘書がパー券のセールスですか。政策秘書の業務は、国民生活や法制に関わることではないですか」と質問すると、「そんな対応されたのは初めて」と言われたことを覚えています。
 与党の政治家は業界団体が、野党は労働組合がパー券を大量購入するのが当たり前と思い込んでいます。おそらく今もそうであろう。
 パーティ券は、東京都内では一枚につき2万円であり、実際にパーティに出席すると、長いあいさつが続き、乾杯のあと飲食タイムとなりますが、料理は少なく行列ができ、すぐに無くなります。しかも大体において料理の追加はありません。 
 つまり飲食の代償としてのパーティ券の代金となりますから、政治資金パーティの利益率は高く、9割を超えるケースもあり「ボッタくりバー」もビックリです。
 いま政治家への献金(寄附)は、個人と政治団体、政党支部に限られ、企業、団体、労組からは禁止されています。 
 ちなみに政治団体とは、医師会の所属医師加入の日本医師連盟、日教組の教師加入の日本民主教育政治連盟などです。政党支部とは、自民党**県第○区総支部、立憲民主党**県第○区総支部です。
 一方、政治資金パーティは、1カ所で20万円を超えた場合のみ、購入者を収支報告書に記載しますが、企業、団体、労組、そして外国人からも自由に集金できます。
 いま国会で審議中の改正案でも、1カ所で5万円を超えた時のみ、収支報告書に記載となります。 
 審議中にもかかわらず、パーティー禁止を訴える政党の一部幹部は、公然と政治資金パーティを実施しています。これはパーティ禁止が否決されることを見越して、党利党略でパーティ禁止と訴えているようなものです。パーティを禁止されては困る政党や議員の主張ですから、説得力がありません。   
 30年前に政治改革法が成立したときに、カネのかかる政治からの脱却の一つとして、政党助成法が新設されました。国民一人当たり250円分を議席数や得票数にあわせ、国から政党に交付するという制度です。
 当時は、政治資金パーティにも改革のメスが入ると期待されていました。ところが、その後も議員や候補予定者は資金集めに余念がなく、パーティは選挙が噂されると活発になっていく傾向です。
 いま政治資金パーティ券の還流問題や不記載で、政党・派閥のパーティについては、各党から自粛が表明されています。しかし個々の国会議員のパーティは野放しです。

◆パーティ実施で、議員本来の業務が疎かに
  
永田町で勤務してビックリしたことは、政治資金パーティを行うことによって、国会議員本来の政策活動が疎かになることです。
  まずパーティの準備は数カ月前からです。パーティの企画、会場の確保、発起人の依頼、ホテルとの打ち合わせ、などから始まり、議員本人はもとより秘書もフル動員で、パーティ券の販売に追われます。
  またパーティ当日は会場の設営、受付体制のチェック、挨拶を依頼した方への根回し、記念品やお礼状の手配など。そしてパーティが終われば財政処理、そして主要なパーティ券の購入者へのお礼と挨拶まわり。
 国家資格である政策秘書が、国会議員事務所で政策の勉強もせず、パーティ券の販売や選挙応援で動員され、失望して国会事務所を辞めたケースも多くあります。政策秘書の看板に偽りありです。
 もちろんパーティをやらない議員もいることも事実です。
 パーティ券を売りつけられる側、とくに付き合いがある企業・団体、労働組合は、議員側の要請を断るのに気がひけます。しかもパーティ券一枚につき2万円というのは、あまりにも高額です。
一 般に、同窓会や忘年会、定年退職者などの感謝の会などでは、ホテルで10,000円以内というのが相場です。しかも料理は参加者分は十分に確保されています。
国会議員、公設秘書やスタッフは、やはり国会議員本来の政策活動に専念すべきです。
 政党助成金制度がある以上、政治資金パーティは原則禁止すべきではないでしょうか。仮に政治資金パーティを容認するとしても、政党助成金の対象とならない新興政党に限るべきでしょう。

 

 

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