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いつまで経ってもゆで卵はうまく作れない

不本意ながら、「岸辺露伴は動かない」みたいなタイトルになっていた。

私は、ゆで卵がうまく作れない。卵を沸騰したお湯に入れ、卵の硬さ加減によって茹で時間を調整し、お湯から取り出したあとは暫く冷水に漬ける。そんなことはわかっている。
茹で時間にいてもたってもいられなくなって、すぐにお湯から取り出してしまうのだ。

そして、ワクワクとした気持ちで卵を箸で割ると、半熟どころではないドロッドロの黄身が現れる。その度に、ウワーッ!騙されたーッ!という気持ちになる。なにに騙されたのかは分からない。ドロドロの黄身は卵かけご飯で食べるとあんなにも美味しいのに、ドロドロゆで卵として食べるとあまりにも残念な味がする。なんか泥とキスしてんのかと思う。

カップラーメンの3分ならまだしも、私の理想の硬さのゆで卵を作るには8分くらいかかる。18歳女性の8分間をゆで卵なんかで消費していいのだろうか。ゆで卵を10回作ったら80分。私の家からおばあちゃんの家まで行けるしね。

多分、私はこれからもずっとゆで卵を上手に作ることはできない。永遠の愛の代わりに、永遠のゆで卵不得意をここに誓おう。

ゆで卵の茹で時間すら待てないということは、私の思慮の浅さを象徴していると思う。

私は、エサを待てない犬、紙コップのフチを噛む子供、金ないのに自販機で飲み物を買う大人、起きるのが怖くて寝れない、映画を観る前に口コミを見る、溜まった洗濯物、学校を休んだ日にヒルナンデスを見ながら食べる冷凍チャーハン、なのである。いつまで経っても、治らない。

私はこの思慮の浅さを誰かに見透かされたくない。特に、異性には"浅い女"だと思われたくない気持ちが大きくて、だから自分より明らかに格上だと思う異性とは関わりたくない。私は思慮の浅い部分をなんとかアイデンティティのように見せかけようとしている部分があるが、それがバレそうな異性は怖いのだ。一言でまとめると、プライドが高いんだろう。トホホ。

ゆで卵すらまともに作れなくて、ただただ惰眠を貪り、なにも頑張ってないのに1日2個アイスを食べて、TikTokを見てはバカにして、TwitterのタイムラインとYouTubeショートを行ききするだけの毎日だが、どうしようもなく愛しくて、嬉しくて、大好きに思えてしまう瞬間がたしかにあって、それはなんでだろうか。大好きで、大好きで、大好きなのだ。


あと、なんのバチかはわからないけど、最近コンビニまでダッシュしていたらその道の途中で一万円を落とした。だから、最近は美味しいと思ったものに対して自分で価値をつけてそこで一万円を取り返そうとしている。この前食べたマックの照り焼きチーズバーガーセットみたいなやつは1000円くらいだったけど美味しさが5000円分だったので、4000円も回収することができて、嬉しかった。てか、マックが1000円ってやばいですよね。冷静に。


ちなみに、春雨スープも上手く作ることができない。





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